軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

目黒と加藤

玄関ドアから歩き出てきた目黒は、とても落ち着いた様子だった。

それは、空から目の前に、加藤たちが舞い降りた時でも全く揺らぐことがなかった。

「こんにちはです、加藤先輩」

「うわっととっ……目黒。説明を聞かせてくれるか?」

黒雪だるま化したクロの小脇からぽいっとされた加藤はアスファルトの地面に四つん這いで着地すると、慌てて立ち上がる。

手にした七武器の一である短槍の穂先は、まだアスファルトへ向かって下げられている。しかし、いつでもその穂先は目黒へと向けられる状態だった。

見ると、クロとオボロは一歩引いて加藤たちの様子を見守るようだ。

特にオボロなどは、早川の家の道路を挟んで反対側の家の壁に寄りかかるようにして、寛いでいる。しかしその手は腰に佩いた刀の柄に置かれている。

そしてその横に佇むクロはまだ黒雪だるま化していた。

「七武器を持つ加藤先輩と対峙するのは初めてです」

「目黒、答えろっ! なぜこんなことをしている? これはお前の意思なのかっ!」

「すでに言葉は、不要でしょう? 加藤先輩」

だらんと両手を下げたまま告げる目黒。

加藤はその言葉に本能的に一歩飛び退くと、短槍を目黒へと向ける。

「ここで争うのは、偉大なるお方の良き隣人たらんとするお互いにとって、望ましくないです。ですよね、加藤先輩?」

「残念ながら、逃がさんっ」

本能が告げる危機感を意思の力でねじ伏せ、前へと踏み出す加藤。

その一歩は、加藤のこれまでの人生のなかで最も鋭い踏み込みだった。

その踏み込みの勢いにのせ、短槍を突き出す。

「 空白(スペース) っ!!」

裂帛の気合い。

放たれた加藤のユニークスキルの乗った時を穿つ短槍が、目黒へと迫る。

それをただ落ち着いた表情で見つめる目黒。その目黒の様子に加藤の中の危機感が最大限に膨れ上がる。

しかしもう、止まらない。

そうして加藤の放った槍の穂先が目黒へと触れた瞬間だった。その目黒の体が、まるで爆発したかのように飛び散る。

それは、超小型の無数のドローンだった。

一瞬前まで目黒だったはずのそれが、なぜか無数のドローンに変貌して、周囲へと凄い勢いで飛びさっていく。

「ムカつきますね。真似されるというのが、ここまで不快だとは」

「ふ、クロにしては口が悪いな。あれは目黒がクロコの力を取り込んだからか?」

「そうでしょう。無数の超小型ドローンを集めた姿を、マジカルメイクアップで目黒に見せていたのでしょうね」

「──あだっ、いてててっ──」

無数の超小型ドローンがバシバシと全身を打ち付けて、痛みを訴える加藤を他所に、クロとオボロは冷静に状況の推移を見ていた。

「あのドローンが目黒の本体なのか?」

「──違うと思います」

「なるほど。で、追えそうか?」

「当然です。私のワケミタマドローンはあんな紛い物には、負けません。誘導します」

そういうと、クロの小型のワケミタマドローンが一つ、オボロの手元へと飛んでくる。

「だとよ、加藤。それじゃあ追うか」

そういって、色々と衝撃で茫然自失の様子の加藤をひょいっと肩に担ぐと、天躯で空を駆け上がるオボロ。

クロは全神経を集中させて目黒のドローンを追跡するため、その場にとどまりオボロと加藤が飛びさっていくのを見送るのだった。