軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

束縛と拘束

俺がモニターを見守っていると、ドーバーナとメラニーの二人がほぼ同時に目を覚ます。

恐る恐るといった様子で周囲を伺っている風の二人。

──うわ、やっぱり怖がらせちゃった、よな。

罪悪感を感じつつも、今ならどこか冷静にそういったことも判断出来る。

──そうか。俺の感情とか、情緒って、フルダイブ中はかなりユシの体の反応に引っ張られているんだ。

俺は、自分が今のドーバーナとメラニーの様子をそこまで傷つかずに見られていることで、逆にそう理解できた。

モニターのなかでは、ドーバーナとメラニーが恐る恐るといった様子で、俺の置いていった宝物に近づくと、手に取る様子が映っている。

──そうか。ゲームなのにいぶの死があんなに引っ掛かっていた気持ちの何割かはユシのものだったんだ。

その気づきは、すとんと俺の中に落ちてくる。たったそれだけのことなのたが、少し気が軽くなった気がしていた。

俺が気付きの切っ掛けをくれたドーバーナとメラニーを、感謝の気持ちで眺めていると、二人とも宝物を手にして必死にキョロキョロクンクンと周囲を確認していた。

──どうしたんだろ? 周囲にモンスターとかはいないはずだけど。やっぱり、何かを怖がってる?

そのときだった。

二人が手にしていた宝物の首飾りがグニャリと形を変える。

そしてそれらが勝手に動き出すと、まるで軟体生物かのような動きで二人の腕をかけ登り、首へと巻き付いていく。

「──あっ!」

俺はモニターを見つめながら思わず大声をあげてしまう。

モニターの中のドーバーナとメラニーも、驚愕の表情。

しかし、抵抗するそぶりも見せず、すぐに二人とも、まるでなされるがままに死を覚悟したかのような、諦念の顔へと変わっていた。

俺は慌ててメニュー画面を確認する。

すると俺から二人へ授与した首飾りが、MPで祝福したせいか、名称が変化していたのだ。

ドーバーナへ渡した赤い宝石つきの首飾りが「束縛の首輪」へ。メラニーへ渡した青い宝石つきの首飾りは、「拘束の首輪」へと変化している。

おれはメニューを閉じると、改めて二人の様子をみる。

ヘタリ込むように座った二人の首には、サイズぴったりに変形した、一切繋ぎ目のない首輪が、それぞれ巻かれていた。

呆然としていた二人だったが、メラニーの方が先に気を取り直したように自らの首に巻き付いた首輪の確認を始めている。

そっと首と首輪の間に指が通らないか試しているメラニー。しかしビッタリと首に巻き付いた首輪は指ひとつ分の隙間もないようだ。

そこまで確認したところで急に上を向いてメラニーが笑い出す。

そこでドーバーナも慌てて自らの首を確認し始める。ペタペタと首輪を確認すると、へたり込んだまま、うつむくドーバーナ。

ポタポタとへたり込んだ足の太ももの隙間の地面に、滴が落ちている。

地面のドーバーナの座った場所の周りの色が、湿って黒く変わっていく。

「ユウト、これは何ですか?」

「え、いや、その──」

俺の肩越しに画面を覗き込む、クロの声。

声自体は、いつもと変わらないはずなのに、俺は返事に詰まってしまっていた。