軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

内緒話

「ねえねえ」

ダークコボルド達の加藤コールに隠れるようにして、輪の中に戻ってきた白銀に、他のシロたちが声をかける。

「なーにー」

「さっきのあれはちょっとやり過ぎじゃない?」

「ハサミ、チョキンとしたこと?」

きょとんとした顔をする白銀のシロ。

「そうそう。あれ、バフとデバフ、両方あるでしょ」

「あれ? みんなにも見えてた?」

「もちろんっ。同じシロでしょ」「当然、見えるよー」

大鋏を取り囲むようにして、額を寄せあって話し合うシロたち。

その話題の中心たる大鋏は、鈍く輝き、その存在を静かに主張していた。

「絆を断つことを代償に、新たなる力を与えるんでしょ、その大鋏」

「そうだねー。ハサミの特性って感じ? それまでの形を棄て、切り出された新たなる形を作り出す七武器だね、この子」

「実際、さっきのでダークコボルド達はどれくらい強化されたの?」

「うーん。どうなんだろう。生まれ故郷の価値は、彼らにとって決して小さくないからね。それを代償に得た力だから、それなりって感じー?」

「それなりかー」「そうそう、それなりー」

「ダークコボルド達の帰属意識は何よりもその群れにあるみたいだしね」「そっかー。それに比べれば、それなりか」

小声で内緒話を続けるシロたち。その間に、加藤が七武器最後の一振りである「時の狭間を穿つ短槍」に、手をかけることへ成功していた。

加藤のそれは、真正の人類にとっては、初の快挙でもあった。

見守るダークコボルド達の一番外側にいた、同じ人類で、七武器の獲得を目的として大穴に来ていた探索者の二番──グスダボから、ひときわ大きく、どこか熱狂的な歓声が上がる。

すっかり日々を、スカベンジャースライムのお世話に費やしていたグスダボにとって、それはまさに福音だったからだ。

彼を大穴に縛っていた物がついに消えたのだ。

じつは大穴に来て暫くしたあとに、こっそり七武器へと挑み、あっさりと拒絶されていたグスダボ。しかしそのまま立ち去ることも出来ずに大穴に留まり続けた彼も、これで任務の失敗という結果を得てようやく人の世界へと戻ることとなるのだった。

そんな悲喜交々の歓声を背に、加藤の手にした短槍が引きぬかれる。

それはあっさりと加藤の手の中に収まる。

こうして、全世界の人類の支配者層がその行く末を注視する七武器、その最後の一振りの担い手が決まったのだった。

そして幸いなことに、クロがクロコの権限を完全に引き継げていない状況のお陰で、加藤の偉業が世界へと伝わるまでに、タイムラグが生まれることとなった。