軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第五部 プロローグ

「あ、冷蔵庫、簡単に動きそう」

肩を寄せあっていた早川が腕を伸ばして冷蔵庫を引っ張りながら告げる。

間近に見える早川のワクワクした横顔がどこか眩しい。

「──早川、さすがにまずくないか。これは」

「えー。ユウトは気にならないの?」

「いや、まあ気にはなるけど。ほら、人には知られたくない秘密、あるだろ?」

「ふーん。ユウトもあるの? そういうの」

少しだけ冷蔵庫を引っ張り出したところで、早川は動かすのをやめてくれる。

「いや、俺はないけどさ。単なる平凡な高校生だし。ほら、戻しとこうぜ」

「はーい。……でもさ、この裏にゴキブリが隠れてないかは見た方がいいんじゃない?」

「うっ……ん。そうかも……」

「ほら、少しだけなら大丈夫だよ。目黒さんも準備に時間かかるだろうしさ」

「本当に、少しだぞ」

「じゃあユウトも手伝ってよ。その方が早く済むよ」

「仕方ないなー」

俺は両手で冷蔵庫を抱えるように持つ。隣にいた早川も、再び同じように冷蔵庫を持とうとする。

「──あ……一人で大丈夫だから。その、早川は、入り口の方、見ててくれ」

「あ、うん」

腕に感じていた温かい感触が離れたところで、俺は冷蔵庫を引っ張る。

まるでそう設計されているかのように、スムーズに冷蔵庫が引き出されていく。

「動かしたぞ」

「どう、いた?」

「いや、見当たらないな」

「残念。……やっぱりこれ、ドアだよね。ユウト」

「ああ。さ、冷蔵庫戻すから。早川、下がって」

「ね、少しだけ開けてみようよ? えい」

「あ、こら」

俺の背後から手を伸ばした早川が、ドアらしき壁に触れる。向こう側に開くように移動する壁。

それは、やはりドアだった。

その開いたドアの先が見える。

下へと向かう階段がそこにあった。