軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

光さす

「双竜寺課長、線状降水帯の消滅を確認しました!」

会議室に走り込んできたダンジョン公社のスタッフが叫ぶ。

本日二度目の、シロたちのご飯の準備の監督におわれていた双竜寺が、加藤にその業務を託すと、クロとイサイサ達の方へと戻ってくる。

「クロ殿、事態は無事に進捗したようですね」

「はい。ユウト様の勇姿、しかと確認しました。この素晴らしいお姿を皆も閲覧し、称えるべきでしょう」

目黒に付随させて侵入させたワケミタマドローンを通して事態を見守っていたクロ。その表情は恍惚としている。

その姿とセリフに双竜寺は一抹の不安と違和感を再び覚える。ここまで強い執着を表に出すのは、クロが眠りにつく前まででは見たことがなかったのだ。

そのユウトへの強い感情を抱いた姿はどこか、双竜寺にはクロコを思い起こさせるものだったのだ。

そんな双竜寺の懸念など気にした風もなく、クロは、空中に手をかざす。そこに、祭壇と化していたワケミタマドローンの一つが収まる。

「ゆうちゃんねるに、限定有料動画をあげました」

「っ! すぐにタブレットを!」

「こちらを!」

線状降水帯の消滅を告げに来たスタッフが、天気図を表示させていたタブレットを操作し、動画を表示させる。

受けとる双竜寺。その横にどさくさに紛れてピタリとくっつく白羅ゆり。

イサイサはあまり理解していないようで端然としつつ、とことことそこへ近づいていく。

シロたちのご飯対応におわれている加藤は動画を見たそうな様子を見せるも、手を離せない様子だ。ちょうど到着した食事をシロたちへとため息をつきながら配膳している。

「加藤、しっかり集中」「そうだそうだー」「めしー」「めしー」

それどころか、シロたちの文句の集中砲火を浴びせられている。

タブレットを覗き込む皆がそんな一角からそっと視線をそらすと、動画の再生が始まる。

「すごいですね。始まったばかりなのに、コメントがもうこんなに」「これが偉大なるお方の御姿。とてもカッコいいのですね」「今、世界中の有力者達が最も注目せざる得ない動画ちゃんねるだからな。ほとんどの国で、常時動画のアップを監視する体制がとられているときいている」

双竜寺達が見守るなか、ついにユウトの家にゴキブリと化した神──進化律が顕現する。

「ここにいたときよりも大きくなっていませんか」「はい。通りゃんせで移動した時点でワンタイムボディの効果が切れてます。ゆっくりと戻ってる最中ですね」「あ、潰れた」「さすがユウト君だ。剣閃が早すぎてほとんど追えなかった」「私は見えましたよ。とても素晴らしい御技でした」

画面のなかでは壁に新聞紙ソードを叩き付けたポーズをするユウト。

その時だった。

雨が急速にやみ、雲が晴れていっているのだろう。窓から日の光が一筋差し込み、ユウトを照らす。

それはまるで天然のスポットライトのようだ。停電で薄暗い室内のなか、ユウトの姿だけが鮮明に浮かび上がる。

「偉大なるお方、美しくです。まるで神を殺し新たなる神となったのを祝福されているかのよう」

イサイサのやや大袈裟とも言えるそんな感想。しかし、その場にいた誰もが、その感想を否定できなかった。