軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

ソラミミ

「白羅さんっ! どうやってここに! いくら貴女でも、ここは部外者立ち入り禁止だ!」

イサイサの視線をおって振り向いた双竜寺が語気鋭く告げる。

そんなことはお構い無しとばかりに、朗らかに応じる白羅ゆり。

「こんにちは、双竜寺課長。もちろん、私のユニークスキルによって、ですよ。ご存知でしょう? 空耳(ミスヒアリング) のことは」

ぐっと詰まる双竜寺。

「……もちろんです。ハードラックやハローフューチャーと並ぶ運命操作系。その制約と代償の多さの代わりに必ず、ソラミミした運命が必ず実現するというユニークスキル。いったい、誰の発言をソラミミしたのですか」

「もちろん、ユウトさんですよ。彼は最も力ある存在、でしょう?」

「そうか、あの時か……。いったいなんと聞こえたか、お教えいただいても?」

加藤は、そんな二人のやり取りを聞きながら、自らの近接戦闘特化のユニークスキルの発動を構える。そして、そっと双竜寺に確認をとる。

OKが出れば、いつでも動けるようにしながら。

「課長、いいんですかい? 追い出さなくて」

「ここに白羅さんがいることがユニークスキルによる運命なら、そんなことは無駄だ」

「……わかりました」

「あらあら。ユニークスキルを使われるのでしたら私の 博愛(ラブ) を与えようと思ったのですけど」

「結構ですっ」

そんな加藤に少しからかうように声をかけるイサイサ。

「ふふ。そういう訳で、私はここに居てよろしいようね。さて、ソラミミしたのはユウトさんの名乗って頂いたお名前です。 白羽黝人(シラハユウト) 」

その場にいる誰もが黙り、白羅の次の言葉に耳を傾ける。

しんとした室内に、処置室から届く野太い悲鳴だけが響いている。

「私のユニークスキルで、『シロはクロと』とソラミミしましたの。クロさんは、今こちらの施設にいらっしゃるのでしょう? そしてこれから産まれてくる女の子たち。彼女たちこそが、クロさんと対となる『シロ』たる存在なのですよね、イサイサさん」

白羅ゆりの問いにただ、微笑みで返すイサイサ。

白羅ゆりも、それだけで満足したように笑っている。

「いや、それ。耳悪すぎないか。というか、漢字の読み方が変わってるから、そもそも空耳じゃないんじゃ……」

そんな加藤のツッコミは、残念ながら全員からスルーされてしまったのだった。