軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

おい、触るな

『ガガガ! ガガガガガ!!』

巨大兵はまだ攻撃を諦めないようだ。野太い声を発しながら剣を押し込んでくるが、僕の宝剣はびくともしない。

『ガーッ! ガーッ!』

一応、巨大兵は本気を出しているみたいだな。

必死な声で剣を押し込んでくるものの、それでも僕は動じない。

まあ、レミアも《実験》って言ってたからね。そこまで強い相手ではないんだろう。出会い頭に強力な敵と戦わせられるなんて、 普通なら(・・・・) ありえないし。

「さて。いくぞ」

チートコード発動。

攻撃力アップ(小)。

「淵源流……一の型。真・神速ノ一閃」

『グ、グガァァァァァァアア!!』

僕の振るった高速の剣技が、巨大兵を的確に捉えた。

やはりたいした相手ではなかったらしい。

『ヌ、ヌアアアアッ……!』

その一撃だけで、巨大兵は崩れ落ちた。

『ば……馬鹿な』

どこからともなく、低い女性の声が聞こえてくる。

『私の魔導具が……こうもたやすく……』

「さて、これでいいでしょうか?」

僕はため息をつきながら、剣を鞘に収める。

「そろそろ開けてくださいよ。謎の宝石について、貴女の意見を聞きたい」

『…………』

レミアはしばらくの間黙り込む。

『元・剣聖候補よ……。巨大兵に剣を押し込まれていたはずが……まったく疲弊していないのか……?』

「ええ、そこまでは。貴女もさすがに、そこまで強い魔導具を出してきたわけじゃないでしょう?」

攻撃力を落としたとはいえ、ほとんど力を感じなかったからな。

『……っ』

しかしどうしたことだろう、レミアの声はひどく悔しそうだった。

『信じられぬ。私がここまで打ちのめされるとは……』

「あ、あの。レミアさん?」

『元・剣聖候補。名をなんといったかな』

「あ、アリオスです。アリオス・マクバ」

『アリオスか。いいだろう。通るがいい。連れの者も入るがよかろう』

シュイーン、と。

どんな仕掛けが施されているのか、目前の扉が自動的に開かれた。本当にすごい魔導具師みたいだな。

ともあれ、やっと認められたようである。

いまはなすべきことをなすまでだ。

「あ、ちょっと待って」

不安そうなレイが、またしても腕を絡ませてくるのだった。

偏屈な魔導具師、レミア・レイアス。

あのアルトロをしてくせ者と言わしめた人物。

どんな人だろうと思っていたが――思いがけず、随分と小さかった。

うん。

実際に口には出さないけれど。

小さかった。

「……わかっておるぞ。おまえがなにを考えておるか」

頬を膨らませて僕を見上げるレミアが、悔しそうに声を震わせる。

「ふんだ。見た目なぞ関係ない。私は最高の魔導具師、よいな!!」

「はい。心得てます」

「微笑ましい目で見るな!」

うるうるした瞳で怒られた。

まあ、アルトロいわく実年齢は22歳みたいだからな。僕よりは年上なわけで、だから態度を崩すわけにはいかない。

「……でも、ここの仕組みにはびっくりしました。すごいですね」

「ふん。そうだろう」

ちょっぴり嬉しそうに頷くレミア。

もちろんお世辞じゃない。

実際にも、この家――研究所といったほうが適切か――は普通とは明らかに違っていた。

レミアが呼んだだけで歩いてくる人形とか。

さっきの鎧をすこし小さくしたような兵士が歩いていたりとか。

凄腕の魔導具師であることには違いないだろう。

「すごいと言えば、アリオス、さっきのはなんじゃ。あの鎧兵士は指定Bクラスの強さはあったはず。それを事もなげに倒すとは……」

「へ……?」

指定Bの魔物クラス?

嘘だろ?

というか、そのクラスの敵を普通にけしかけてくるとは……アルトロの言っていたことは本当だな。

「しかも攻撃を受けて平然としておるとは……いったいどんな身体をしておるのじゃ。どれ、研究してもいいかのう」

「いやいやいや! やめてくださいって」

ペタペタ触ってくるレミアを、僕はなんとか制したのだった。