軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

おい、緊張感が台無しだぞ

王都アルセウス。

地下通路にて。

「来たぞ、アリオスだ!」

「全力で迎え撃て!!」

侵入した僕を、兵士たちが武器をもって出迎える。

――予想通りだった。

レイの言っていた通り、地下通路には多くの兵士が常駐していた。

表向きの理由としては、《大型の魔物が出没した》ため。だから地下通路に通じる扉は固く封鎖されていた。

だが、僕にそんなものは通用しない。

女神から授かった二つ目の最強スキル――《原理破壊》。

これを用いれば、世の 理(ことわり) をことごとく蹴散らすことができる。今回の場合は《転移》を使ったわけだな。この能力さえあれば、鍵を使わずして内部に転移できる。

「おい、アリオスはどこだ!?」

「急に消えたぞ……!」

現在、兵士たちは大混乱に陥っていた。

そりゃそうだろうな。

奴らにしてみれば、僕はいきなり姿を消しているように見えているはず。

「おい馬鹿! 後ろだ!」

「へ……」

遠くにいた兵士が絶叫するが、もう遅い。

「おおおおおっ!!」

僕は数人の背後に転移すると、剣の柄に手を添え、抜きざまの一撃を見舞う。

淵源流、一の型。

冥府ノ一閃。

「かはっ……!」

「う、嘘だろぉ……!?」

かすれ声とともに倒れ込む兵士たち。

もちろん、攻撃の際に《攻撃力アップ(小)》をかけることも忘れない。これさえあれば、鍛え抜かれた兵士といえど一撃でノックダウンすることができる。

「くっ、誉れ高き19師団を一撃でだと……!」

「うろたえるな! 相手はひとり! 連携してかかれば、決して敵わぬ相手ではない!」

「イ、イエス・マイロード!!」

一瞬にして覇気を取り戻したのはさすがというべきか。

――だが、それでも僕は負けない。

スキル発動。チートコード操作。

使用する能力は《水属性魔法の全使用》。

ファルアスとの訓練後に身につけた新能力だ。

火属性の魔法だと、周囲の建造物にまで被害を及ぼしかねないからね。だから戦闘時にはあまり使ってこなかったけれど――水魔法ならその点は安心だ。

「む……! くるぞ、アリオスの魔法だ!」

兵士のひとりが大声をあげる。

「作戦Cを施行! チームCは前へ!!」

「イエス・マイロード!!」

数十名の兵士たちが前列に出る。そしてそれぞれ魔法を発動させるや、総員で半透明の壁をつくりあげた。

――なるほど。

魔法に対する防御魔法か。しかも質もかなり高そうだ。

さすがは王国軍なだけあって、動きが統率されている。僕に対抗しうるため、あちらも訓練を重ねたんだろうな。

いま、僕の目前には、見るも巨大な壁が作成されていた。

「さあ、やるならやるがいいアリオス! いかに上位の魔法といえど、容赦なく弾き返してくれるわ!」

うん。

あの防御魔法には相当の自信があるようだな。

たしかに 正面から(・・・・) 撃つのは得策ではないだろう。

であれば、背後から回り込めばいい。

スキル発動。《原理破壊》。

――――――

《原理破壊一覧》

・飛翔

・転移

――――――

選ぶ能力はもちろん転移。

これの有効範囲は半径5メートルのみだが、何度か繰り返せば奴らの背後に回り込めるはず。

「なっ……! また消えた!」

「ま、まさか……っ!!」

恐慌をきたす兵士たちだが、もう手遅れだ。

兵士らの背後に回り込んだ僕は、誰にも邪魔されることなく水魔法を発動。

上級魔法。ウォーター・ウォー。

瞬間、見るも巨大な一本の水流が、兵士たちに襲いかかる。

「う、うわあああああああ!」

「嘘だろぉぉぉぉぉおお!!」

「おい、誰だよこんなガバガバ作戦考えたのぉぉぉお!」

「ガバガバじゃない! アリオスが化け物すぎるんだっ!!」

悲鳴をあげながら水流に蹂躙される兵士たち。我ながらとんでもない勢いである。実戦では初めて水魔法を使ったが、火属性に負けず劣らずの威力だな。

そして数秒後には、すべての兵士たちが無力化されていた。

立ち上がる者はひとりもいない。身体をぴくぴくさせながら、ただ突っ伏すのみ。

これでいったん落ち着いたかな。

僕は地下通路の出入り口にまで歩み寄ると、内側から鍵を外す。すぐそこで仲間たちが待機しているはずだ。

まず僕が先陣を切り、常駐している兵士たちを全滅させる。その後に仲間たちと合流する――というのが、今回の作戦内容だ。

「ジャジャーァン!!」

一番近くにいたのは、あらかじめ召喚しておいた古代兵器――ウィーンだった。

ウィーンはかなり目立つが、この場所自体がそもそも閑散とした地域であるため、問題なく事前に召喚できたわけだな。

「アリオス様! 私、オカシクナッテシマッタカモシレマセン!」

「は? おかしく?」

「ハイ! 《大勢ノ兵士 VS アリオス様ヒトリ》……。コノ状況デ、私ハアリオス様ノ心配ガデキマセンデシタ!!」

「うんうん。同感」

レイもうんうんと頷いている。

「アリオスが負ける状況が、まったく想像できなかったわ」

「お、おまえたち……」

思わずため息をつく僕。

「練度の高くない兵士が多かっただけだ。油断はできないぞ」

「フフ、第19師団ヲ《練度ガ低イ》トハ……サスガデスネ」

含み笑いを発する兵器。

こいつは相変わらずだな。いるだけで場の緊張感を和らげてしまう。

「こほん」

僕は咳払いをして無理やり会話を中断すると、全員を見渡して言った。

「これより、王城への突入を敢行します。目的はアルセウス救済党の殲滅と、レイファー第一王子の陰謀阻止。油断することなく突入していきましょう。特にウィーン!」

「ハイッ!」

またしても緊張感のない返事をする古代兵器だった。