軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

おい、これは聞いてないぞ

僕はユウヤと一緒に戦線に 赴(おもむ) くことになった。

他の冒険者たちが代わりに見張りをする形だな。

「あれ? ユウヤさん、見張りはいいんですか?」

そう聞く僕に、ユウヤは苦笑いして答える。

「あの冒険者たちはジャイアントオークとの戦いで負傷してる。見張りがてら、身体を休めてもらわないと」

負傷。

その言葉にやや不安を覚える。

「……あの冒険者さんたちも、ユウヤさんと同じくBランクなんですか?」

その質問の意図を察したのだろう。

ユウヤはまたも苦笑する。

「うん。そうだよ。戦線ではAランクの方々が戦ってる」

……なるほど。

そういうことか。

指定Aの魔物と戦うには、Bランク冒険者では少々荷が重いはず。

だから戦場はAランク冒険者に任せて、Bランクのユウヤたちが見張りをしていたんだろう。それでもジャイアントオークに勝てないから、Bランクのユウヤたちが交代で戦闘と見張りをしているに違いない。

見るに、無傷な冒険者はユウヤを除いていなかった。

まさに彼の言う通り――猫の手も借りたい状況だということか。

「……一応、Aランクの先輩が三人いらっしゃるんだけどね。今回のジャイアントオークは格が違うらしい。私もあれほど大きい個体は見たことないよ」

「……そこまでですか」

「うん。とはいっても、戦闘開始からもう随分経ってるからね。さすがにもうそろそろ決着がつくと思うよ」

そうなのだろうか。

たしかにAランク冒険者が三人もいるのは心強いが……心なしか、僕は嫌な予感を拭えなかった。

――そしてその予感は、思いがけず的中してしまうことになる。

「な……んだ、あれは!?」

ユウヤが青白い表情で立ちすくむ。身体をぶるぶる震わせ、目をぎょっと見開き、かすれた声を発した。

「そんな馬鹿な……! 先輩方でも敵わないというのか……!!」

――戦場は、地獄絵図だった。

ジャイアントオーク。

一ツ目の化け物で、見上げんばかりの 巨躯(きょく) を誇っている。僕も正直、あの大きさを見ただけで恐怖を感じてしまった。

右手には巨大な棍棒が握られており、あれで殴られたら最期、意識を保てる自信がない。

そのジャイアントオークの周囲で、三人の冒険者が突っ伏していた。

言うまでもない。

Aランク冒険者たちだ。

もうすぐ戦いが終わる?

三人もAランク冒険者がいるから安心?

とんでもない。

これを――戦いと呼べるものか。

「くっ……! アリオス君、きみは帰りたまえ! このことをギルドに報告するんだ!」

厳しい表情で剣を抜くユウヤ。

自分は死ぬつもりらしい。

その心意気は立派だが――身体が依然震えている。

「でもユウヤさん、あなたひとりでは……!」

「わかってる! でもそれ以外に方法がないだろう! わかってくれ!!」

そう。

たしかにそうだ。

僕の《チートコード操作》もたしかに強力だが、まだ全容はわかっていない。ジャイアントオークに通じるかはいまもって不明。

どうする。

どうすべきなんだ――

「……助けて」

ふいに声が聞こえた。

女性のAランク冒険者だった。

うつ伏せに倒れ、悲痛な声を発している。

「やだ……死にたくない……助けて……」

「グルゥ?」

その声を聞きつけたのだろう。

「グルルラアアアアアアッッ!!」

ジャイアントオークが瞳をぎらつかせ、女性冒険者に向けて棍棒を振り上げる。

その途端。

僕のなにかが弾けた。

――チートコード起動。

攻撃力アップ(小)。

「うおおおおおおおおっ!!」

疾駆しながら剣を抜く。

マクバ流。

――神速ノ一閃。

父から教え込まれた最速の剣を、ありったけの力を込めてジャイアントオークの棍棒に叩き込む。

本来なら、圧倒的に弱いはずの僕が打ち負けるはず。

けど。

「グルァ……?」

僕よりはるか巨大なジャイアントオークは――大きく仰け反り、その場に尻餅をついた。