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【短編】実の子が見つかったからと邪険にされたので屋敷を出た養女の話

作者: 山田 勝

本文

「「「メアリー様、誕生日おめでとうございます」」」

「みなしゃまありがとうなの~」

私はメアリー7歳の誕生日を迎えたぜ。

ガーデンパーティーで誕生日を祝ってくれるぜ。

私は養子、もうすでにこの家に来て三年目だ。

義父はゼクト伯爵。

「メアリー、おめでとう。プレゼントの宝石箱だ」

義母様は体が弱い。

「グスン、メアリー、これから、沢山宝石を買ってあげるわ」

「みなしゃまありがとうなの~」

「そうだ。今年から正式に令嬢教育をしてあげよう」

「嬉しいの~」

貴族のお姫様か。これは嬉しいかも。

「メアリー、他に何か欲しい物があるか?」

「お外にでたいの~」

そうだ。この家に来てから一度も外にでていない。

「外か・・外は危険だ」

「そうよ、メアリー、もう少し大きくなってから。ねえ?」

その時、突然、執事長が飛び込んで来た。

「メアリー様が現れました!」

「ハニャ?」

私はメアリーだ。意味不明だ。

皆に聞いたが答えてくれない。

「今、門の所に来ております」

あっと言う間に人がいなくなった。

私はロウソクも消していない。

ぼっち誕生日だ。

だいだい分かって来た。

ちゅうど4年前にメアリーがいなくなった。お義母様と市場に行ったときに行方不明になったのだ。

一年後、寂しさを紛らわすために孤児院から私が養子として引き取られたのだ。

来たのは金髪アイスブルーと世話をしたおば様だ。アマンダ様。

「お父様・・・お母様・・・」

「「メアリー!」」

感動の再会だ。良かったな。

だが、その日から私の待遇は変わった。

部屋は移動、これは仕方ない。本物の総領娘が入る。

私は・・・

「貴方はここです」

「はいなの~」

日当たりはまあまあだと思ったが。家具は大人の物だ。

ドレス室は本物のメアリーの物になった。私は立ち入り禁止になった。

お付きだったメイドスージーは本物のメアリー付になった。

私はどうなるのだろう。

食事は届けてくれるようになった。食堂は立ち入り禁止だ。

もう、あの家族の団らんに戻れない。

普通だったら混乱するだろう。

しかし、私は転生者だ。前世は日本人だ。

「ギャアアアアーーー!」

ハニャ?

メアリーが暴れ出した。

アマンダが解説する。

「メアリー様は貧しくて心に傷を負いましたわ。もっと宝石とドレスを揃えて下さいませ」

「分かった」

本物のメアリーに宝石とドレスが渡るとどんどん私の態度が悪くなる。

本物のメアリーは癇癪持ちだ。使用人を蹴飛ばしたり・・・これは子供じゃないか?いや、子供だ。

「ニャン!ニャン!」

「あ、ニケちゃん・・・」

庭で知り合った猫ちゃんだ。美猫のオレンジと白の可愛い女の子だ。

「あ?ニャノ~?」

足を引きずっている。怪我をしたのか?

「ヒールなの~」

ボア!

さすが、異世界だ。魔法は標準装備。私には聖魔法が使えるようだ。心の中にスキルが書いてある板書が見える。

「ニャン!」

「はい、ご飯なの~」

何とかしたいな~。あのメアリーは可愛いが頭がおかしい。

いきなり廊下で・・・

「ウンチ!」

「「「メアリー様、お止め下さい!」

したり。

食堂をこっそりのぞいたら、食べ物を散らして食べる。

アマンダさんは、ナイフに肉を刺して口に入れる・・・

「伯爵様・・・メアリー様の今までかかった養育費です」

「こ、こんなに・・・」

「嫌ならメアリー様をつれて元の家に戻るまでです」

「分かった。少し待て」

うん?メアリーの周りに黒い魔素に覆われている。何か呪いがかかっているのか?

そうだ。待遇が悪くなったとは言え。

ここまで面倒を見てくれたのだ。

恩返しをしてあげよう。

夜中、忍び込んでメアリーの額に手を当て・・・

「浄化!」

浄化魔法をかけた。

これで明日から少しは落ち着くだろう。

私は窓から外に出て、家を出て行く決心をした。

「ニャン!」

「ニケしゃん・・・」

ニケちゃんを抱っこして、門から出た。

私は止められない。

もう、この家の子ではないのだ。

☆☆☆翌日

「ヒィ、どうしたメアリー!」

「え、お父様、お母様・・・」

「茶髪に茶色の瞳じゃないか?」

「平民の色よ。どうして・・・」

調査の結果、魔法で髪の色と瞳の色を変えてメアリーになりすました詐欺師であった。

2人は衛兵隊に引き渡された。

「メアリー、本物のメアリーはどこに行ったのかしら・・・」

「うむ。そうだ。ゼクト家は治癒魔法を使える家系だ・・・そろそろ教会か冒険者ギルドに見つかっているのかも知れない」

「あの、旦那様、奥様、実は、メアリー様、いえ、偽者のメアリー様が庭で猫を治しているのを目撃しました・・・」

「何ですって!」

「庭師か・・・何故、言わない・・・」

その後、メアリーは冒険者ギルド所属の聖女になった。

専属となり。冒険者を治療する毎日だ。

「二日酔いは自分で治すの~水を被るの~」

「あのさ。幼女だけど聖女だろう。もう少し品が・・」

「メアリーの可愛さでメロメロになるの~」

「ならねえとは言えないのが辛いところか?」

そんなメアリーにギルマスが呼び出した。

「ゼクト伯爵家からメアリーに呼び出しがかかっているぞ。これ、一応クエストだ」

「はあ?忘れていたの~、ギルマス、宝石箱を返して欲しいの?」

「なんだ。そりゃ」

「メアリーはゼクト家の子ではないの~、宝石箱を間違ってもらったから返すの~」

「何だかしらないけど、これ返せば良いのだな」

「はいなの~」

ゼクト家には宝石箱だけ帰された。

「そんな。馬鹿な・・・」

「メアリー・・・完全に縁を切ったのね・・」

錯誤の連続が起きた。しかし、このおかげでメアリーは世の中に出たのだから良かったのかもしれないと後世の史家は云う。