軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

現在の戦闘力を確かめよう!

移動の疲れを癒やした翌日。

晴輝らは早速15階の攻略に向けてダンジョンに出発した。

下級神との戦いで晴輝らは、肉体レベルは元よりスキルも飛躍している。

まず晴輝だが、

空星晴輝(27) 性別:男

スキルポイント:5

評価:隠倣剣王

加護:打倒神<メジェド>

-生命力<->

├スタミナ3→4

└自然回復2

-筋力<->

└筋力5

-敏捷力<+2>

├瞬発力5→6

└器用さ5

-技術<->

├武具習熟

│├片手剣5

│├投擲2

│└軽装5

├蹴術2

├隠密4

└模倣3→4

-直感<->

├探知5

└弱点看破 MAX

-特殊

├成長加速 MAX

├テイム2

├加護 MAX

└神気 MAX

スタミナ・瞬発力・模倣と、それぞれ1つずつスキルが上昇した。

速度で相手を揺さぶりながら致命の1撃を加える。そんな戦闘スタイルがはっきりとした形になってきた。

黒咲火蓮(18) 性別:女

スキルポイント:10

評価:精霊王槌人

加護:雷鳴神人<オキクルミ>

-生命力<->

├スタミナ2

└自然回復1

-筋力<->

└筋力1

-魔力<+1>

├魔力5

├魔術適正5

└魔力操作5

└変化<雷>4

-敏捷力<->

├瞬発力1

└器用さ2→3

-技術<->

└武具習熟

├鈍器1→2

└軽装1→2

-直感<->

└探知1

-特殊

├運2

└加護 MAX

火蓮は器用さと、総じて低かった鈍器と軽装がそれぞれ1つずつ上昇。

器用さと鈍器が上昇したのは、魔杖撃を使い始めたから。

軽装が上昇したのは騎士の攻撃を受けたせいだろう。

レア(0) 性別:女

スキルポイント:10

評価:二丁葉撃帝

加護:地下宝守護神<プタハ>

-生命力<->

├スタミナ1→2

└自然回復0→1

-筋力<->

└筋力5

-敏捷力<->

├瞬発力2

└器用さ3

-技術<+1>

└武具習熟

└投擲5

└二丁投擲4

-直感<->

└探知1

-特殊

├宝物庫2

├加護 MAX

└擬態0 NEW

レアはスタミナ・自然回復が上昇。

上昇には長時間の戦闘および被ダメージが作用したと推測出来る。

そして新スキル“擬態”が出現していた。

『擬態:風景に合わせて擬態する能力』

4階に生息するジャガイモは、その地形を利用し擬態を行っていた。

これまでレアに擬態スキルがなかったのは、レアが4階の地形とは違う風景に同調出来なかったせいだ。

今回擬態を取得出来たのは、おそらくあの騎士に直接殺意を向けられたから。

これまでの戦闘で、レアが直接魔物からヘイトを受けることはあまりなかった。

今回ヘイトを受けた――それも著しく強い相手から殺意を向けられたことで、身動きの取れないレアは怯え、擬態して身を隠す性質が呼び覚まされたか。

このスキルを使うと、レアの葉の一部が晴輝の体に馴染むよう変化する。

まるでカメレオンのようだ。

「いでっ!?」

そんなことを考えていたからか、レアに後頭部を痛打された。

恐るべき直感力である。

晴輝は後頭部をさすり、エスタのツリーを表示させた。

エスタ(0) 性別:男

スキルポイント:10

評価:硬殻帝

加護:辟邪神(神虫)

-生命力<->

├スタミナ1→2

├自然回復0→2

└防疫1

-筋力<+1>

├筋力3

└被損軽減7

-敏捷力<->

├瞬発力4

└器用さ1→2

-技術<->

└武具習熟

└甲殻7

-直感<->

└探知1

-特殊

├武具破壊3→4

└加護 MAX

エスタは今回の戦闘で誰よりもスキルを成長させていた。

スタミナ・器用さ・武具破壊がそれぞれ1つ。

そして自然回復が2つも上昇している。

騎士の強烈な攻撃を受けきり、さらに相手の武器を破壊してみせたのだ。

あの戦いでは誰もが敢闘したが、一番はやはりエスタだったに違いない。

晴輝はこれから行うワーウルフのボス戦について、一切の不安はなかった。

スキルが上昇し、肉体レベルもかなり上昇している。

これまで晴輝らはワーウルフを危うげなく退けられていたが、今回はそれ以上に余裕を持って討伐出来るだろう。

とはいえ油断はしない。

晴輝はボードを眺めながら、皆を見回した。

「スキルポイントが10あるんだが、どうする?」

ここで更にポイントを振れば、勝利は盤石になる。

万が一を防ぐためにも、少し振り分けておくのも良いだろう。

「魔力ツリーを2つ上昇して頂いても良いですか?」

「了解」

前回の戦いで、火蓮の魔法がほとんど無力化されてしまった。

無力化された原因は、おそらく騎士が全身に常時分厚い気力を纏わせていたせいだろう。

あれを突破するような威力の魔法が放てれば、少なくとも無力化は避けられるはずだ。

スキルポイント:10→4

-魔力<+1>→<+3>

続いてレアだが、彼女は今回もお任せと葉を揺らした。

もしかして考えるのが面倒なのでは?

などと想像した途端にパシ! と後頭部が叩かれた。

スキルポイント:10→1

-技術<+1>→<+3>

-特殊

└擬態0→3

レアは技術と、擬態をそれぞれ上昇させた。

エスタは既に上げるものが決まっているようだ。

「早く早くぅ」と触角で晴輝の胸を叩いている。

スキルポイント:10→1

-筋力<+1>→<+4>

これでさらにエスタはカチカチになった。

再び騎士が現れても以前のように、甲殻に傷は入らないだろう。

「ちらっ、ちらっ」

スキルの上昇を終えた晴輝は、熱の籠もった視線を感じた。

――見られてる?!

熱烈な視線を送る主を飢えた獣のように探した晴輝は、その主を見て眉根を寄せた。

「…………何でお前がここに居るんだ?」

「その言い方はなんですの? わたくし、居てはいけないんですの!?」

チェプが目をつり上げ抗議する。

しかし晴輝の言葉は、決して嫌がらせや拒絶のものではない。

このチームの中でチェプだけが、車庫のダンジョンに入った経験がない。

晴輝らは現在ゲートにて15階に向かっている最中だ。

本来であればチェプは晴輝らと一緒に行動することが出来ないはずなのだ。

『何でお前がここに居るんだ?』と晴輝が驚くのも無理はない。

共に15階に向かえているのはおそらく、チェプが火蓮のブレスレットに宿っているからだろう。

要はチェプはダンジョンに、『生命体』ではなく『アクセサリの一部』として認識されているのだ。

「あのぅ……わたくしも皆様と同じようにスキルを振って欲しいですわ!」

「あーごめん無理」

「なんでですの!?」

「スキルポイントの残りがないんだ」

既に『神居古潭』内で、チェプが手にしたスキルは全部振り切っている。

晴輝の答えに、チェプが愕然としたように口を開いた。

「ひどいっ!」

「……いやいやいや」

酷いのは、戦闘に参加せずにスキルポイントをかっさらっていったお前だと思うぞ?

晴輝はとても冷たい目で、ポケットの縁に顔をこすりつけて泣き声を上げるチェプを見下ろした。

「残りポイントはないが、スキルは割り振ったから、しばらく我慢してくれ」

「え、割り振ってくださいましたの?」

チェプがくるっと表情を反転させて、カラッカラに乾いた瞳で晴輝を見る。

……やはり嘘泣きだったか。

「一体なにに振ってくださいましたの?」

「巫術だ」

「ふじゅつ……」

「魔法みたいな能力だと思う。お前が何も出来ないって言ってたからな。スキルを振って、扱えるようにしてやったぞ」

「んまぁ! って、失敬ですわね。わたくし何も出来ないとは言っておりませんわよ?」

チェプが腕を組んで頬を膨らませる。

いやいや、言っただろ? と晴輝は思うが、思い返してみると確かにチェプは『何も出来ない』とは明言していなかった。

『何も出来ない』とは言ってないが、代わりに『何かが出来る』とも言ってない。

(……詐欺師かっ!)

晴輝は頭痛を感じ、こめかみを指で押し込んだ。

「それで? チェプはなにが出来るんだ?」

「うふふ。色々ですわ」

「これからワーウルフと戦うんだ。何が出来るか教えて欲しいんだが」

「乙女には秘密はつきものですわよ?」

この魚ァ……。

ガリッと晴輝の奥歯が鳴った。

晴輝の殺意を連動し、仮面の神気がにじみ出す。

神気に当てられたチェプが、ガクガク震えながらポケットの中に潜り込んだ。

「火蓮」

「はい」

「ひゃ!?」

合図すると、火蓮がポケットに手を入れてチェプを鷲づかみに。

彼女はそれをまっすぐ晴輝に差し出した。

しかし次の瞬間。

パァっと光を放ち、火蓮の手からチェプの姿が消えた。

その光は火蓮の足下に移動。

しなだれながらカクカク震えるチェプの姿が、その場に出現した。

「はわわ!」

「…………ッチ」

この魚。

火蓮の腕輪の性質を実に巧みに利用していた。

手から簡単に逃れられ、自由に好きな場所に舞い降りる。

よほどの不意打ちをしない限り、決してチェプを害することは出来ないだろう。

たとえ攻撃出来ても、『姫』のせいでギリギリ生き残るに違いない。

忌々しい存在に益々拍車が掛かってしまった。

こんな奴と冒険しなければいけないのかと思うと、晴輝は気分が暗澹としてしまう。

晴輝以上に、火蓮はもっとだろう。

チェプの行動を見て、やつれきった顔をしている。

嫌なら腕輪を捨てれば良い。

しかし、腕輪単体の能力――気力による防御力アップは、騎士の投擲攻撃を防いだほど優秀だ。

腕輪は、付属品の魚が鬱陶しいからと軽々に捨てられるような魔道具ではなかった。

「「はぁ……」」

諦めきったため息が2つ続いた後。

晴輝らは15階に到達した。

晴輝らは武具を確認し、ゲート部屋から出てボスを捜索する。

探知範囲を広げて、晴輝はワーウルフの奇襲に備える。

晴輝は自然体のまま前に進む。

その後ろでは、火蓮が杖を構えて警戒する。

レアは泰然自若とし葉を揺らす。

エスタは地面に目をこらしミミズを探している。

(ミミズなんているんだろうか?)

約一名。「ああ、レア様ステキッ! 痺れますわ!!」とレアを見て目を輝かせているが、気にしてはいけない。

あれを気にしては、折角高めた緊張感が欠落してしまう。

晴輝は気を確かに持って、ワーウルフを探した。

するとすぐに、ワーウルフが見つかった。

距離は100メートル。

あちらも気付いているようだ。

丁度晴輝らが進む先で、晴輝らを待ち構えていた。

まずは出会い頭に1発。

火蓮が雷撃でスタンをたたき込み、晴輝が短剣で一閃。

そう、晴輝は頭の中で動きをシミュレートする。

ワーウルフまであと30メートル。

軽く手を振り、火蓮に合図を送った。

次の瞬間。

晴輝は全力でワーウルフに向かって駆けだした。

ワーウルフまであと10メートル。

そこで、火蓮の雷撃が飛んだ。

――ッタァァァン!!

「……へ?」

狙い違わず、ワーウルフに雷撃が直撃した。

したのだが、晴輝は思わず気の抜けた声を出してしまった。

理由は目の前のワーウルフ。

銀色の毛並みが黒く焼け焦げ、所々からプスプスと白煙が上がっている。

ワーウルフは白目を剥いて、前方に倒れ込んでしまった。

「……あれぇ?」

目の前の光景が信じられず、晴輝は首を傾げた。

ワーウルフはまだ生きている。

だが、たった1発の雷撃で気絶してしまっていた。

雷撃のサイズは以前とほぼ同じだった。

違いは中心部。

雷撃は白に近い黄色と青色が混じった、いかにも雷のような見栄えの魔法だ。

その雷撃の中心部が、今回は濃い色に変化していた。

まるで雷の圧縮率の違いが色となって現れたかのようだった。

振り返ると火蓮が小刻みに顔を横に振った。

ワタシ、シリマセン。ムジツデス――と訴えかけるような表情だ。

しかし、犯人はどう考えても火蓮だ。

言い訳は通じない。

「肉体レベル……ではさすがにないよな。なら、やっぱり原因はツリー強化か」

息も絶え絶えなワーウルフをサクッと絶命させながら、晴輝はそう呟いた。

「はぅわっ!!」

火蓮の魔法の威力変化は、晴輝の想像の通りだった。

続く戦闘でも、火蓮の魔法は驚くほどの威力を持ってワーウルフを戦闘不能まで追い込んだ。

いささか威力が上がりすぎではないか?

晴輝は疑問に思ったが、そもそも以前ワーウルフと戦ったのは、ツリー強化が現れる前である。

火蓮はツリーを3段階目まで強化した。

なおかつ下級神を撃破し、気絶するほどのレベルアップ酔いに罹っている。

肉体レベルもかつてより、相当上がっている。

(ワーウルフを1撃で瀕死に出来ても、不思議じゃないか……)

考え事をしながら晴輝がワーウルフを解体していたその時、草むらから新手が出現。

――ッタァァァン!!

そのワーウルフに気付いていたのだろう。

出現と同時に火蓮が雷撃を飛ばした。

雷撃は先ほどと同じように、たった1発でワーウルフを瀕死状態までおいやってしまった。

1匹目の解体を終えて、晴輝は2匹目のワーウルフをサクッと絶命させた。

「ぎょあ!!」

2匹目を解体しながら、晴輝ははたと気がついた。

「ん? ということは……」

晴輝は即座に探知を拡大。

ワーウルフを探し出し、レアに全力で射撃を行わせた。

こちらは、火蓮以上の結果だった。

――ドドッ!!

――ッパァァァン!!

レアが放った二つのジャガイモ弾が、ワーウルフの頭部と腹部を文字通り粉砕した。

頭部と腹部を失ったワーウルフが、どしゃっと力無く倒れ込んだ。

以前、レアの攻撃はワーウルフの毛皮に阻まれて、小さいダメージしか与えられなかった。

その当時と比べると、脅威の変化だ。

「……不味いな」

晴輝は内心舌打ちをした。

認識と肉体性能が絶望的にかみ合っていない。

この階を攻略する前にしばらく通常種と戦闘を行い、ズレた意識と感覚をすりあわせねば、いざという時に致命的なミスをしてしまいかねない。

「にょわぁぁ!!」

「――ってさっきから何だ? すごく変な声が聞こえるんだが」

いい加減無視出来ず、晴輝は解体の手を止めて顔を上げた。