軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

終わり

勇者協会の依頼が終わった俺は、冒険者カードからリフに呼ばれてギルドマスター室に戻っていた。

「へぇ、勇者協会は解散か」

「うむ。昨今の高慢な態度は有名じゃったからな。今回の件で一気に爆発したようだの。それに重鎮であるバイリアスが、ほれ、竜に連れ去られたからな。他の重鎮たちも捕縛されたり総叩きに合っておる」

結局、偽物はどう転んでもロクな結果にはならないというわけだ。

まぁ俺はもう依頼が終わった時点で関係ない。大変そうだな、という他人事な感想しか残らない。

「それで、俺になんの用だ?」

リフに尋ねる。

まさか勇者協会の一件を伝えるために呼んだわけじゃないだろう。

それなら余程の暇人だ。

リフはとても暇そうだから可能性もなくはないが。

「むっ。なにか失礼なことを考えておらんか。……まぁよい。今回ジードを呼んだのは『パーティー』を組んでほしいからなのじゃ」

「パーティーを? それってシーラやクエナに頼まれてか?」

真っ先に思い浮かんだのは、彼女ら二人だった。

しかし、俺の予想と反してリフが首を横に振るう。

「あやつらはジードを勧誘しておるようじゃが今回はまったくの別件ぞ」

「別件? っていうと?」

「うむ。実はちょっとした狙いとしてギルドでカリスマ的なパーティーを作ることになったのじゃ」

「カ、カリスマ?」

不慣れな単語が出てきて思わず聞き返す。

カリスマとか俺から最も程遠い言葉だろうに……。

「言うなれば勇者パーティーのギルド版じゃ」

「やってること勇者協会に似てないか?」

「率直じゃの。だが、『勇者』の名前は借りんよ。ただのカリスマ的な存在として立ってもらうだけじゃ」

ようは柱的な存在だった勇者協会が潰れ、その後釜を狙おうという形のようだ。信頼と注目を集め、ギルドの存在をより強大なものにしようと。

随分とフットワークが早い話だ。

「でも、どうして俺なんだ?」

「ん、ジードは人が嫌がるような依頼でも引き受けておったし、大胆にも一国を救う依頼も簡単に受ける。巷では噂になっておるし、評判も良いぞ」

「……うーん。まぁ、ギルド側の要請なら受けるよ」

「おお! ジードならそう言ってくれると思っておったぞ! 他のSランクは問題事も多く、気ままで、もうすでにパーティーを組んでる者もおる……本当に助かるのじゃ」

「気苦労が多そうな話だな」

他のSランクなんてソリアくらいしか知らないが大変そうだな。

それに数年に一度しか誕生しないレベルらしいし、数も限られてくるのだろう。

「受けてくれた限り悪いようにはせん。少なくとも条件面や待遇面はより良いものとする」

「ほー。そりゃ助かる」

実はかなり冒険者としての恩恵は受けている。

寝泊まりをしている宿や、衣類食事なんかも冒険者割引がある。

それに国を越える際には余程仲が悪くない限りスムーズに足を運べる。

もちろん正規のルートで行けば、の話だが。無理矢理国境を越えることも可能だからどうしても必要というわけじゃない。

「それでの、ひとまずメンバーはソリアとジードが決まっておる」

「ソリアもか? 忙しいイメージがあるが大丈夫なのか?」

「そこはほれ、一応カリスマパーティーじゃからの。小競り合いが激しい地域なんかにも飛んで向かえる。ソリアとの利害も一致しておる。それに常時稼働するパーティーというわけでもないからの」

「なるほどな」

「うむ。そもそもソリアの威光を借りねばこの計画は始まらん」

くっくっく……とリフが暗躍する敵のボスのように黒く笑う。幼女の姿と相反する光景はどこか微笑ましかった。

元々ソリアは勇者パーティーに候補すら飛び越えて加入決定していたレベルだ。

算段としては、その実績やらを加味して宣伝する予定なのだろう。

「それでメンツじゃが、ある程度の候補はもうできておる。数人はギルド外から呼び寄せるつも――」

「「ちょっと待ったー!!」」

と、リフの口から新しいメンバーの話が持ち出された瞬間に、外から二人の声が被さりながら扉が勢いよく開けられた。

入ってきたのはシーラとクエナだった。

「「なんで私が呼ばれてないのよ!?」」

とても息が合った様子で俺に迫る。

迫ってくる二人に、ドウドウと両手を胸元で張り上げながら苦笑いを浮かべる。

「そもそも呼んだのは俺じゃない。言うならリフに言ってくれ」

俺が言うと二人はリフのほうを見た。

リフは居辛そうに頬を掻きながら「てへっ」と笑い弁解を始めた。

「二人がジードを誘っておるのは知っていた。しかし、クエナはAランクでシーラに至ってはCじゃ。飛び級制度を鑑みて今年にはAランクになるかもしれんが、それでもSではない……」

すこし控えめに言っているが、リフの言いたいことは『Sランクが条件』ということだろう。

二人がむうっと頬を膨らませながら不満そうにする。

「じゃあ断りなさい、ジード!」

と、クエナが言う。

「そうよ! 私と組むの!」

と、シーラも続く。

それに今度はクエナが噛みついた。

「なに言ってるの!? 私と組むのよ!」

「むぅっ! 私よ!」

なんだこの状況。

リフもいつものスイッチが入ったのか面白そうに笑っている。

笑ってないで止めろよ。おまえ俺が別のパーティーに入ってもいいのか。

なんて思っているとコソリと耳打ちしてきた。

「本当は、このカリスマ(予定)パーティーに限ってはパーティーを掛け持ちしても良いのじゃ。掛け持ちしたくないという輩が多いだけで」

「あぁ……」

だから面白そうに二人を見ていたわけだ。

こいつも性格が悪いな。

パーティーになってくれと迫る二人。

どうにも前途多難な気がしてしょうがない。

間に挟まれる俺の気持ちにもなって欲しいのだが。

そんなことを思っていると、ブーブーっと冒険者カードが鳴り響く。もう慣れたもので違和感もない。

また指名か緊急の依頼が来たのだろう。

――そんなこんなで俺の冒険者生活はまだ続く。