軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

依頼の意味

それからしばらく経った。

また俺の方に依頼が来たとギルドマスター室に呼ばれた。

クエナやシーラも同じタイミングで呼ばれたようだった。

「ジードとシーラは一回目でのクリアじゃったな。クエナも二度目にはクリアしておったか。まぁ、あまり自覚はないじゃろうが実は前に受けてもらった指名依頼はこういうことなのじゃ」

言いながらリフが依頼書を三枚、俺たちの分を机に乗せた。

それぞれ受け取る。

今度は依頼人ではなく、堂々と『勇者協会』と依頼組織欄に名前が書かれていた。

「ま、そうよね」

クエナが隣で知っていたとばかりの口調で依頼書を見た。

俺も薄々は勘付いていたが、シーラは頭上に「?」マークを浮かべていた。

「ジード、クエナ、シーラ。お主らは正式に次期勇者パーティーの候補としてクゼーラ王国のギルド本部から選出されることになった。ジードとクエナは適性が勇者、シーラは騎士じゃな」

「「おおー」」

シーラと息が合う。

勇者パーティー。

話くらいなら聞いたことがある。かつて魔王と戦う人族の代表格的な存在だったらしい。魔族との争いが沈静化を迎えた今も世代により人族の希望として各国から集められている、と。

しかし、疑問が浮かんだ。

「人族って女神の神託で選ばれるという話じゃないのか?」

「ああ。ジードは詳しくないのじゃったか。勇者の選ばれ方は幾つかある」

リフから説明を受けた。

一つ目は俺の言ったような女神から神託を受ける場合。

だが、これには条件があり、魔族側に「大陸支配」など攻撃的な目的を持った魔王が生まれた場合にのみ神託が預けられるとのことだった。

今は小競り合いくらいなら起きているが、大して戦争と言ったようなこともないのであり得ないそうだ。

二つ目は今回のように暫定的に勇者協会と呼ばれる組織が勇者パーティーのメンバーを選定する場合。

これはギルドや騎士団、傭兵部隊といった各組織から選ぶそうだ。

基準は協会によって秘匿とされている。

だが女神ではなくとも協会から選ばれるだけで勇者は人族でも憧れの的であり希望となっているそうな。

選ばれ方としては、たとえばギルドでは複数回に渡り依頼を遂行してもらい、成功した者から順に候補として羅列するそうだ。

俺やシーラが一回目、クエナが二回目と言うのは、依頼を何回目で成功させたのか、という数だ。みんな好戦績だ。

他国だから呼ばれていないがウィーグはどうなったのだろう。

「でもさ、それって結局、女神が選んでいないなら偽物ってことじゃないのか?」

「うむ。正式ではない。それでも選りすぐりの強さと心を持っている者が選ばれるから勇者として人族内では盛り上げられておる。不敬だという反対派も少なくはないが」

「ようは景気づけのお飾りってわけか」

「味気ないことを言ってしまえばの。実際、盛り上がるのは人族だけで、女神さまから選ばれてはおらんから他種族から特別な援助があるというわけでもないからの」

「女神から選ばれれば他種族から援助貰えたりするのか」

「勇者パーティーに助けられた種族もおるでな」

「へぇー。なるほどな」

結局はあくまでも偽物ってわけだ。

ただ勇者に選ばれると知名度も上がるし、人族内では御利益にあずかれると。

だから最初に依頼を受ける時は内緒なのだろう。

緊張して素の力を出せないから。

それでもクエナやウィーグ達にはバレていたようだったが。

「それで、この依頼を受けるかどうかはお主ら次第じゃ。前と同じで依頼金は達成せずとも貰える。しかし、これで達成されれば正式にギルドからの勇者パーティー候補として一歩前進となる」

ギルドからの勇者候補。

ここではあくまでも各組織の勇者パーティーとしての候補に挙げられるということだ。

つまり恐らく次の次くらいまでいけば勇者協会が認めるパーティーメンバーの一員ということになるのだろう。

「ああ、一応じゃが、もしも依頼を受けなくともポイントが下がることはない」

「ん。まじか」

「うむ。こればかりは下手に目立ちたくない者やめんどいと言う者が多いのでな。とくにSランクにまでいけば知名度も地位も確保されておる。ギルドから候補として輩出されておるのはAランクばかりじゃ」

へぇ。なるほど。

あの依頼を受けた時はなかなか強い冒険者が集まっているイメージだったが。それに俺の時は引いたがクエナも実力はなかなかのものだった。複数のワイバーンを相手にして傷一つ負わずにかなりの数を討伐していたのだから。

ほかのSランクはどれほどなのだろうか。

ソリアは神聖共和国で会ったが実力までは直で見ることはできなかった。それでもすぐに大量にいたであろう負傷者を治癒していたから相当な技量を持っていることはたしかだが……っと。そうだ。

「ソリアも受けているの? 俺たちは王国だが、あいつは神聖共和国だろ? それに『光星の聖女』なんて呼ばれていたし……」

「ああ、ソリアはもうすでに唯一勇者パーティーの聖女として確立しておる」

「候補でもなくか?」

「そうじゃ。あれは幼少から名を馳せておったからな。勇者協会は神聖共和国に頭を下げてお願いしたそうな」

二つ名に聖女と付いているからどうなのだろうと思ったが、もう確定なのか。そりゃすごい。

だからウィーグもソリアの名前を挙げていたのだろう。

「まぁ依頼だから断る理由もな――」

「ちょっと待って、ジード」

依頼を受けようとするとクエナが横から遮った。

続けてクエナが言う。

「――この依頼、断って欲しいの」