軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第567話 港湾都市と冒険者組合

「……よし、人心地着いたな……」

宿に辿り着き、寝台に腰掛けてこれからすることを考える。

勿論、カピタンを探す、というのが目的だが、そのためにすることは……。

まぁ、まずはガルブの情報に基づいて探すところからか。

それでも見つからなかったら、どこかで改めて情報収集、と。

結構行き当たりばったりだが、他にやりようがないな。

あぁ、先に 冒険者組合(ギルド) に寄っておいた方がいいだろうな。

カピタンは銅級冒険者として登録しているし、海霊草をどこかに探しに行ったとして、ついでに何か採取依頼を受けていてもおかしくない。

その場合、当然、冒険者組合に一度顔を出しているはずだし、納品するときにも寄るだろうからな。

その際に伝言を伝えるように頼んでおけば、最悪自力で見つけられなかったとしても、明日明後日には連絡がとれるだろう。

冒険者組合で待っていれば確実なのかもしれないが、最後にまとめて納品、とかカピタンが考えていたとしたら何日も寄らないと言うこともありうる。

やはり探しに出ておいた方が良いだろう……。

これで大体の方針は決まったな。

そう思った俺は、宿の女将にしばらく部屋を空ける旨告げて、冒険者組合に向かった。

◆◇◆◇◆

ルカリスの 冒険者組合(ギルド) は、マルトのそれよりもずっと大きく、また建物自体の色彩も豊かだった。

マルトのそれは質実剛健といえば聞こえが良いが、見栄えを全く気にしない機能性一辺倒のものだった。しかしルカリスのものはそれとは明らかに違う。

壁面には美しい文様が描かれ、また柱や庇など、所々に様々な装飾がなされている。

複雑な彫刻が施されている部分もあり、全体的に芸術的な作りになっていることが美術素人の俺にも分かるくらいだ。

一つ心配があるとすれば荒くれ者だらけの冒険者組合をこんな風にしたらすぐにぶち壊されそうな気がして仕方が無いが、ルカリスの冒険者達はお行儀がいいのかもしれない、と思った。

もしくは芸術の心を理解できる者が多いか……都会だもんな。

まぁ、そんなことはどうでもいいか。

俺は感心しつつ、冒険者組合の中に入っていく。

やはりというべきか、冒険者組合の中もかなり洗練されていて、都会的な印象を受ける。

マルトでは一続きの長い受付台が置かれて、適当に仕切られているくらいの可愛げのなさだったが、ここは受付ごとに机が用意されており、周囲からある程度隔離された空間として機能するように配慮されていた。

素材などを納品する際に、聞き耳を立てられて後で突っかかられる、ということが良くある冒険者にとってはありがたい仕組みだな。

マルトじゃこんな細かい配慮などしない……。

などなど、田舎者として都会の洗練された空気感に感動しながら周囲を観察していると、ふと妙な視線が俺に向かっていることを察知する。

……なんだろう?

そう思ってキョロキョロとしてみれば、どうもこのルカリスの冒険者らしき男達が、俺を睨みつけていることに気づいた。

なんでいきなりこんな目で見られるのか。

俺が何かしたのだろうか。

と考えてみたが、心当たりはないような……と思ったところで、自分の格好のことを思い出す。

なるほど、仮面かな、と。

骸骨仮面に漆黒のローブ姿のよそ者が、唐突に冒険者組合に現れた。

一体あいつは何なんだ……?

そんな感じでは無いかな、と。

けれど、特に突っかかってくるような様子は無く、今は単純に監視してるだけのようだ。

なら、さして気にすることもないか……。

突っかかってこられたら俺も対応せざるを得ないが、睨まれてるだけでどうこうしようと思うほど血の気が多いわけでは無い俺である。

むしろ血の気が足りないので飲ませてくれという感じだ。

そんなこと言ったら即座に討伐されるだろうから冗談だけどな……。

「……ちょっといいか」

「はい、なんでしょう? ご依頼ですか? それとも受注でしょうか?」

受付の一つを選んで話しかけると、若い女性職員が俺にそう言った。

冒険者組合に入ると同時にむくつけき男達に睨まれてなんだかがっくりと来た俺だが、この格好も必ずしも悪いことばかりに働く訳では無いらしい。

人間だった頃は他の土地の冒険者組合に行ったとき、依頼ですか、と聞かれることの多かった俺であるが、今、この姿のお陰か、依頼を受けに来た方かも知れないと思ってもらえたようだからだ。

長年冒険者をやっても、どうもぱっと見では依頼しに来た方に見えやすいらしいからな……。

まぁ、職員側の決めつけに問題があったのかもしれないが。

普通はこうして並列で聞くのが正しい。

「どちらでもない。おそらくだがこの街にいる冒険者に伝言を頼みたいんだが……」

「そうでしたか……失礼ですが、冒険者の方でしょうか?」

「あぁ、銅級冒険者だ」

そう言って俺は冒険者証を手渡す。

職員はそれを確認し、

「……はい、確かに。ヤーラン王国の方なんですね。大分遠くからいらっしゃったようで……」

そう言った。

ちなみになぜ冒険者かどうか職員が尋ねたかと言えば、冒険者同士なら伝言を残すのに金銭が必要ないからだ。

冒険者でないならば、同じ街の中であれば銅貨数枚程度要求される。

誰も彼もに伝言板にさせられては業務を圧迫するからな。

仕方のないことだろう。

「あぁ、アリアナには初めて来た。だが、良いところだな。街も大きくて綺麗だし、 冒険者組合(ギルド) も広い」

ただし冒険者の質はどうだか分からない。

ただ入ってきたような奴に若干の因縁をつけそうな奴がいるというのはいただけない。

だがわざわざ言うこともない。

職員はほめられたのが嬉しいようで、

「ありがとうございます。この街には色々と見るところもありますので、歩いてみても楽しいですよ」

と言った。

それから俺が、

「そうさせてもらうよ……ところで、伝言を残したい相手なんだが、カピタン、という冒険者が来ていないか?」

カピタン、というのはわりと珍しい名前なのでそれだけで通じると思っての台詞だったが、予想以上にその名前が俺の口から出たのは意外だったらしい。

職員は、

「……カピタンさんとお知り合いなんですか!?」

そう言って少し驚いていた。