軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第85話 失踪

2030年4月1日

いつものルーティーンを終え、学校に登校する途中で女子寮の最上階が工事されていた。何をするのだろう……

今日から俺は生徒会に属することになった。

そしてクラリスも生徒会に属することになったのだ。

これには驚いたがもっと驚いたのが、俺とクラリス2人とも風紀委員となったことだ。

自慢じゃないが、俺はこの学校で一番風紀を乱している自覚がある。

そして俺と一緒に風紀を乱しているのはクラリスだ……これじゃあ示しが付かないし、俺らも注意する事なんて出来ない……

ただアイクはそうと思わなかったらしい。

何か校則違反をしているのか? 婚約者がたくさんいることは校則違反なのか? 法律違反なのか? と。

校則違反でもないし、法律違反でもない。それは分かっている。

だけどモラルが……それ以上に嫉妬の目が……アイクはどうしても俺とクラリスを風紀委員にしたいようだったので俺とクラリスは仕方なくその案を受け入れた。

そして俺とクラリスは2人で何かを任されることが多い。

これもアイクの策で俺とクラリスは常に一緒にいるという事を印象付けるためらしい。

何をいまさらと思っていたが、やはりクラリスの人気は凄いらしくアイクにも俺とクラリスの関係を聞いてくる奴らが後を絶たないらしい。

リスター帝国学校の 校(・) 内(・) ではスカートの長さは決まっている。

あまりにも短いのはダメなのだ。ちなみに寮ではどうでもいいらしい。

クラリスはかなりギリギリというかクラリスよりも短いのはアウトというレベルだ。要はクラリスが校則のラインという事だ。

なぜこんなに短いかと言うと、もちろん測る時にすぐに比べられる基準があった方が便利という事と、日本の学生時代のこともあるらしい。

ちなみに日本の学生時代はもっと短いというから驚きだ。

今でも階段の下から覗けば見えてしまうような短さなのに……

生徒会の仕事を終え、教室に戻ると6人の生徒たちが座っていた。

俺とクラリスは生徒会活動があるため、ある程度ホームルームへの遅刻は許されている。まぁ生徒会活動をしているのが前提だが。

その俺等より遅いという事は完全に遅刻なのだ。

ヨーゼフとヨハンがまだ学校に来ていない。

そう言えば昨日も俺が魔法の訓練をしながら外を見ていると寮から脱走していた2人の姿を見かけたが……

ローレンツが

「誰かヨーゼフとヨハンの事何か聞いているか?」

そう聞くと誰も返事しない。

「2人とも揃って寝坊というのも珍しいが……まぁあとで男子寮の先生に聞いてみるか……では、午前中の座学を開始する」

ヨーゼフとヨハンが失踪したと分かったのは魔法の授業の時だった。

魔法の授業を受けている時にローレンツが俺を校長室に呼んだ。

「いつも悪いわね。すぐに本題に入って悪いんだけどヨーゼフ君とヨハン君の事何か知っていたりする?」

リーガン公爵が俺に向かって早口でまくし立てた。

「いえ、特には……どうかしたのですか? 今日来ていないみたいですが?」

「失踪したわ……部屋も探したのだけれども……とてもおかしなことがあって正直驚いているの……」

「どうしたのですか? 差し支えなければ教えて頂きたいのですが……」

「彼らの物が何もなかったのよ……あったのは学校側で支給しているベッドなどの日用品だけ。髪の毛1本すら落ちていないの……マルス君は彼ら2人の何か知らない?」

俺は2人がちょくちょく寮から脱走していることを話した。

「そう、それでどこに行っているか分かる?」

「いえ……ただ校内から校外へ出るのは意外と難しいのでは? 隠し通路とかあれば外に出られますが、なかなか門番の目はごまかせないかと。だから僕は校内の敷地内のどこかに行っているものだと思っていましたが」

「いつから脱走していたか分かる?」

「えーと……僕が知っている限りではライナー先生が初めてここに来た時くらいだと思いますが、でもなんか慣れているような感じでしたし、もっと前からかもしれません」

俺の言葉を聞くとリーガン公爵は黙ってしまった。

そして少し時間が空いてから

「ちょっとの間1年のSクラスの男子3人は一緒の部屋で暮らしてみない? 女子も5人で……5人はさすがに狭いから、クラリスさんとエリーさんの2人、カレンさんとミーシャさんとミネルバさんの3人で。どうかしら」

「ええ。それではそのように伝えます」

「あと黎明のパーティの専用の部屋6月に完成予定だとエリーさんに伝えておいて。きっと喜んでくれると思うわ」

「それも伝えておきますね。それでは僕はこれで。武術の時間に遅れるとライナー先生が怒りますので。また何かあったら呼んでください」

俺は頭を下げるとすぐに校長室から出た。

キュルスは1月には失踪していて3月に遺体の一部を発見。

そして今回はヨーゼフとヨハンが失踪……

キュルスが4年前に言った言葉を急に思い出してしまった。

「敵をしっかりと見極めろよ」

キュルスは何が言いたかったのだろう……ここは放課後にでも頼りになるアイクに相談でもしてみよう。

最近の武術の時間は楽しい。

それは何故かと言うとライナーと 木(・) 剣(・) での戦いがたまらないのだ。

正直に言おう。ステータスでは圧倒しているのに全くライナーに勝てない。

あの赤い剣抜きでここまでやられるとは全く思わなかった。

俺がライナーの木剣を弾いてその隙にライナーに1撃をお見舞いしようとするとライナーは弾かれた勢いを利用して弧を描くように剣が返ってくる。

そして俺はその木剣を受けようとすると、木剣は俺の受けの剣をするりと抜けて俺に強烈な1撃をくらわしてくる。

ヒールをかけるわけにはいかないから、正直かなり痛い。

やはり筋トレで作られた筋肉を作るよりも、もっと実践的な筋肉をつけねば……フィジークやボディビルのムキムキ選手はボクサーのボディ攻撃に耐えられない。

だが、彼らよりも細いボクサーはボクサーのボディ攻撃に耐えられる。

今度から毎日誰かに殴ってもらわねば……誓ってMではないです……多分。

剣王で剣術レベル10は伊達じゃないな……

バロンもドミニクも俺と同じ感想のようでやはりライナー先生は凄いといつも3人で話している。

ライナーも俺たちに少しは慣れてきたのか、かなり気さくに話しかけてくるようになった。

ただそんなライナーにもまだ不審な点があった。

クラリスに対してかなり慎重に接しているように見える。

あまり関わりあいたくないという気持ちが表に出てしまっている。

クラリスも自分だけ避けられているというのは分かっているみたいで「私なにかしたっけ?」とみんなに聞いたりしていた。

放課後になり生徒会室に顔を出すとアイクが居たので早速アイクに聞いてみた。

するとアイクはイラつきながら答えた。

「くそ! 今年もやられたか……毎年毎年何をやっているんだ!」

「どうしたのですか? それに今年もって……」

「神聖魔法使いが誘拐されるっていうのはこの前話しただろう? 多分ヨーゼフとヨハンも神聖魔法使いだったのだろう……」

あ、失踪したという事しか伝えていなかった……俺は2人が夜な夜な寮から抜け出していたこと、部屋には髪の毛一本も落ちていなかったこと、そして生活感がなく、所持品全てが無かったことを伝えるとアイクが

「寮から夜脱走して行くところなんて女の所では? ただ持ち物が無かったり、部屋がきれいになっているなんて……そんなことがあり得るのか?」

あっ俺は自分がハーレムを築いているから気づかなかったが普通に考えれば、この多感な時期に男だけの寮なんて抜け出したくなるよな。

夜2人で行く場所は女の所……うーん。俺がみるヨーゼフとヨハンは親しくないせいかなんか怪しいんだよな……これがバロンとドミニクだったら完全に女の所でも納得できるんだが……ってかやつらの場合は間違いなくクラリスの所か……

そう言えばあいつら毎回同じ方向に走って行ってたな……街に出るときにでも、少し調べてみるか……

俺は生徒会室を出ると教室に戻った。

リーガン公爵に言われたことをみんなに話すために放課後外に出てご飯を食べようと誘ったのである。

まず俺は教室でヨーゼフとヨハンの毎夜ともいえる寮の脱走のことを話した。

するとバロンとドミニクも気づいていたらしく、おかしいなと思っていたらしい。

俺たちは校舎の外に出て、ヨーゼフとヨハンをよく見かけていた地点に行くと、そこから街の外へ歩いてみる。

地面を注視しながら歩いていると、ヨーゼフとヨハンの物と見られる足跡がかろうじて残されていた。

「これを辿ればあいつらがどこに行っていたかわかるかもな……」

足跡を辿っていくと学校の敷地内の端の方にあるエルフの像の所にたどり着いた。

「ここで足跡がなくなっているよな?」

俺がみんなに聞くとみんなも頷く。

とりあえず周りを見渡しても何もない。

となるとやはり地面が怪しいか……

俺は2人の足跡が途切れている付近を強く踏み込むとどうやら下に空洞らしきものがある事が分かった。

「どうしよう……なんか見つけちゃったっぽいんだけど……」

俺がそう言うとクラリスが

「リーガン公爵呼んでくる?」

実は俺はあまりリーガン公爵を信用していない。

何か隠し事をしているような気がして、また欺かれている気がしてたまらないのだ。

「うーん……本当はアイク兄がいいんだけど……でも今日みんなにリーガン公爵からの伝言もしないといけないし……」

ここで俺が迷っている時間は勿体ない。

「よし! 1回みんなで生徒会室に戻ろう。戻っている途中でリーガン公爵からの伝言をみんなに言うよ。ここに何人か残って見張りを付けたりするとミイラ取りがミイラになってしまう可能性があるから、みんなで行動しよう」

みんな納得してくれたのか頷いて俺に従ってくれた。

生徒会室に戻っている最中に何人かで同居生活をしてくれと頼まれた事をみんなに伝えると、みんな即OKしてくれた。

みんな楽しそうとはしゃいでいる。まぁそんなもんだよな。

ただ、一応身の危険性があるから同居するという事を忘れないでくれとは付け加えておいた。

そしてエリーに黎明専用の部屋は6月ごろに出来るから楽しみに待っててと言われたことを伝えるとエリーは満足そうに頷いた。

生徒会室に戻ると紅蓮のパーティメンバーが勢ぞろいしていた。

これから冒険者ギルドに行こうとしていたらしい。

俺がさっきの地面の空洞のことをアイクに伝えて、一緒に来て欲しいと伝えると2つ返事で一緒に来てくれることになった。

1年Sクラス8名。4年紅蓮5名。

これ以上ないメンバーである。

先ほどのエルフの像の所まで来るとアイクが地面を調べて、スイッチのようなものを見つけた。

アイクはそれを躊躇うことなく押すと地面に地下に通じる隠し階段が現れた。