軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第46話 リムルガルドでの再会

ガナルを出てからの俺たちの旅は順調だった。

ヒールのおかげでビートル伯爵の予定よりもだいぶ遠くまで進んでいる。

あと少しでバルクス王国との国境だ。

「いよいよバルクス王国だ」

「ガナルの件で予想外に時間が掛かってしまったけど、予定よりも早くここまで着いたわね」

「そうだね。あとはここを無事に越えられるかどうかだ」

国境まで残り10kmを切っている。

現在バルクス王国とザルカム王国の戦争は小康状態となっているらしい。

俺らは戦争の最前線の街の東リムルガルドに泊まり、明日の朝早く出発してバルクス王国の東端の街、西リムルガルドまで行く。

もともと中央大陸は一つの国だったらしい。

そしてその首都がリムルガルドだ。

今のリムルガルドは荒れている。長年戦争の舞台になっているからだ。

東リムルガルドの宿屋に着いた俺たちは、夕方までに時間があるから街の中をぶらついていた。

「なんか、思ったより戦争が激しくなくてよかったね」

「そうね。もっとバチバチでやりあっているかと思っていたけど。嬉しい誤算ね」

俺たちはガナルの街を出てから、新しい街に行くと冒険者ギルド以外に必ず寄る所が増えた。

それは様々なお店だ。だいぶお金に余裕が出来たので魔導書を探しているのだ。

魔導書は基本的には本屋においてあるが、武器屋や道具屋においてあることもある。

手に入れた魔導書を冒険者がどこに卸そうが、自由という事だ。

間違いなく俺の雷魔法、クラリスの結界魔法の魔導書は売っているはずがない。

何しろ、俺たち以外使えないのだから、魔導書を書くことが出来ない。

でも神聖魔法はもしかしたら売っているかもしれない。値段が高くて買えないにしてもどういう魔法があるかという事が分かるだけでも、今後の役に立つ可能性がある。

ちなみにクラリスには俺が神聖魔法のキュアを教えていた。

「うーん。やっぱりどこにもいい魔導書ってないものね……」

「ああ、初級は売っているんだけどねぇ……まぁ気長に探そう」

ショッピングを楽しんでいるとあるものに反応があった。

蒼の牙のバンにもらった、水晶だ!

水晶を使ってもう片方の持ち主の位置を探る。

バルクス王国からこっちに向かってきているようだ。

「クラリス、バルクス王国から俺の知り合いがこっちに向かっている」

「え? どうしてわかるの?」

俺は水晶のことをクラリスに話した。

「多分、蒼の牙というCランクパーティの人達だと思う。父と母はイルグシアからは離れることが出来ないと思うから」

「下手に動いたらすれ違いとかありそうだから、私たちは目立つ場所で待っていましょう」

「ああ、そうだね。そうしよう」

どんどん反応が近づいてくる。

とんでもないスピードだ。

越国に何もためらいが無かったらしい。蒼の牙の人たちは戦争中という事を分かっているのだろうか?

曲がり角から二つの影が走ってやってきた。

なんと俺の目の前に現れたのはジークとアイクだった。

「マルス!」

「お父様! アイク兄!」

俺とジークとアイクが駆け寄って再会の喜びを爆発させた。

「心配したんだぞ! 怪我はないか?」

とジークが言い、アイクが

「間に合ってよかった! とりあえず早く西リムルガルドに行こう!」

「はい。お父様とアイク兄に紹介したい人がいます」

そういうとジークが

「そちらが、クラリスさんだね。ビートル卿からの手紙で大体のことは分かっている。詳しいことは後でちゃんと聞かせてほしい。今はここから離れるのが最優先だ。理由は西リムルガルドに向かう途中で話す」

俺とクラリスは急いで宿屋に戻り荷物をまとめてすぐに出立の準備をした。

東リムルガルドを出たのはジーク達が来てから30分後のことだった。

「いったいどうしたのですか? こんなに急いで……」

「あぁ、マルスをマリアに早く会わせてやりたいのも理由の一つなんだが、つい最近、東リムルガルドと西リムルガルドの中間あたりにある旧リムルガルド城が迷宮になってしまったんだ。迷宮のレベルは最低でも上級はあるらしい」

「そんな状態では戦争なんてしている場合ではないのでは?」

「あぁ。その通りだ。現場での戦闘は、予定調和のようなものだ。両国の冒険者はすでに迷宮攻略の為に、共闘している奴らもいる」

「と言う事はもう戦争は終わりですか?」

「いや、王族や一部貴族たちはどうしても戦争をしたいらしい。まぁ冒険者は従う必要はないのかもしれないが、騎士団や魔術団はそんなわけにはいかないからな」

会話をしながらバルクス王国方面に向かう。

ジークとアイクは馬車を乗り継いで来たらしいので、ビートル伯爵にもらった馬車にみんなで乗って西リムルガルドへ向かった。

バルクス王国とザルカム王国の国境辺りには魔物がたくさんいた。

「凄い魔物の数ですね。こんなところをお父様とアイク兄は来たのですか?」

「いやここまでは凄くなかったな、刻一刻と魔物が増えてきている。間引きが間に合っていないのかもしれない」

「お父様、少しアイク兄とクラリスと間引きをしてもよろしいですか?」

「そうだな。もうバルクス王国にも行けるしな。やってみなさい」

俺は頷くとアイクとクラリスと3人で魔物たちがいる方へ向かう。

まずはアイクとクラリスが互いの実力を計るために俺は後方で回復に徹する。

アイクは 炎の槍(フレイムランス) でクラリスはディフェンダーで魔物を倒していく。

魔物は強くても脅威度Dといったところだ。アイクはあっさり倒せるが、クラリスはまだ倒すのに時間がかかる。それでも確実に仕留めている。

「凄いな。6歳の女の子でそこまで強いなんて……予想以上だったよ」

とアイクが言うとクラリスも

「お兄様も凄いお強いのですね。そこまでの槍術を見たのは初めてです」

アイクとクラリスがどんどん魔物を間引きしていく。

アイクのレベルは17になっていてスキルレベルも上がっていた。

俺がグランザムに飛ばされてからも訓練をしていたのであろう。

それにしても魔物の数が多すぎる。

俺たち以外にも冒険者たちが魔物をかなりの勢いで倒している気配はするのだが、どんどん魔物が襲ってくる。

東リムルガルドと西リムルガルドの中間を少しずつ北上していく。このまま北上していけば旧リムルガルド城下町があり、その先には旧リムルガルド城がある迷宮だ。

迷宮が出来る前からリムルガルド城下町とリムルガルド城は戦争の影響で廃墟となっていた。

北に行くにつれて、魔物がどんどん強くなっていく。

そして冒険者の数も増えていく。

恐らくここにいる冒険者たちは全員C級冒険者以上であろう。

俺たち以外の冒険者が30人はいるだろうか?

恐らく5パーティくらいBランクパーティとCランクパーティがいるのであろう。

そのうちの1パーティが戦いを切り上げてこちらに来て話しかけてきた。

「ここは危険だぞ? と言ってもここまで来たという事は戦ってきたという事なのだろうが」

「ああ、俺たちは東リムルガルドと西リムルガルドの中間地点から魔物を間引きしながら北上してきた。少しだけでも皆の助けになればと思ってな」

「ありがたいが大丈夫か? 俺たちも自分たちで手一杯になることがあるから、助けることは出来ないが……」

「大丈夫さ、危なくなったら私も参戦するからな」

そう言ってジークは俺たち3人を戦闘に送り出す。

さすがに脅威度Cともなるとゴブリンキングのように1撃で倒すことが難しい。

俺がゴブリンキングを瞬殺出来るのはゴブリン虐殺者の称号があるからだろうし。

それでもアイクとクラリスの二人に俺が加われば、相当な殲滅力を発揮する。

さすがにトルネードやファイアストームを使って皆の気を引きたくはなかったので、サーシャに教えてもらったウィンドインパルスを使って、魔物を倒していった。

リムルガルドの城下町付近まであらかた魔物を倒した。

先ほど俺たちに話しかけてきたパーティがまた俺たちに話しかけてきた。

「お前たち驚くほど強いな。助かったよ。俺たちは戦争の為にここに来たんだがな。それどころじゃないってことで、ザルカム王国に雇われた冒険者たちと一緒にここで魔物の狩りをしている。ここの敵は強いからレベルも上がりやすいしな。だが絶対に城下町には行くなよ。あそこには脅威度Bの魔物もいるからな」

「分かった。俺たちはもう帰ることにする。情報ありがとな」

ジークがそう言うと俺たちは西リムルガルドに向かって馬車を走らせた。

昼過ぎに西リムルガルドに着いた俺たちは、このまま次の街に向かう事になった。

ジークがリムルガルドにいることが王族たちにバレるとそのまま戦争に参加しろと言われるかもしれないからだ。

もちろん、前線に王族がいる可能性は低いが、王族の息のかかった者はいるかもしれない。

俺たちが隣町のビスマルクに着いたのは夕方だった。