軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第432話 夢

???

どういうことだ!? ウリゴールが死に、カミラは消息不明だと!?

ヨハンはグランザムの郊外で既に死んでいたと言っていたが、それは嘘だろう。ヨハンのレベルがありえないくらい上がっている。

レベルの上がり方からみてウリゴールを殺したのはヨハンとみて間違いない……もしかしたらカミラもヨハンが? いや、2人を倒せるほどヨハンは強くない。ヨハンはせいぜいA級冒険者下位から中位クラス。ウリゴール、カミラ共にA級冒険者一桁レベル……カミラに至ってはS級と言っても過言ではない。

では誰が? もしかしたらヨハンに協力者が?

ウリゴール、カミラを倒せる者……パッと思いつくのはやはり【剣神】

ヨハンをもっといたぶって情報を引き出すか? いやあいつは何をやっても口を割らない。今も部屋に閉じこめているが、あいつにとって暗黒蟲は食料同然。

それ以上に気になることがある。なぜ俺の 未来視(ビジョン) が外れたのかだ。リムルガルドのときもそうだった。もしかしたらヨハンは何かの能力に目覚めたのか?

カミラが言っていた。ヨハンが来てから悪い流れが続いていると。あのときは気にしなかったが今思えば確かにそうだ。

ヨハンを切るべきか……真剣に考えないといけないときが迫っているのかもしれない。

そしてサリア、早くお前を……。

☆☆☆

「マルスの将来の夢は確かリムルガルドの領主だったよな?」

馬車から降り、2人で警戒がてら走っていると唐突に聞かれた。

「ええ……それもありますけど?」

「なぜリムルガルドの領主になりたいんだ?」

走りながらも真剣な表情で問いかけてくるアイク。急にどうしたんだろうか?

「なぜ……? 少し長くなってしまいますが、よろしいですか?」

「構わない。教えてくれないか?」

アイクが頷く。

「まず小さい頃はアイク兄と一緒に冒険者もいいなと考えていました。ですがグランザムに飛ばされて、クラリスに出会ってからは、クラリスと結ばれること。今もそれが一番だと思います」

「マルスらしいな」

恥ずかしいが正直に答えると、アイクも相好を崩す。まぁみんなにもバレているので隠しても仕方ないからな。

「そしてグランザムの人々と触れ合い、バルクス王国とザルカム王国のことを知るうちに、こうも考えるようになりました。戦争を止めたい。少なくともイルグシアの冒険者たちとグランザムの冒険者たちで争わせたくないと。だから両国の中間、リムルガルドを治めて衝突を避けたいと思うようになったのです」

「そうか……マルスは小さいころから他国の人間と触れ合う機会があったからそう考えるようになったのか」

またも真剣に何かを考え始めるアイク。グランザムを出てからというもの、アイクはこうやって物思いにふけることが多くなった気がする。

「今はエリーにカレン、ミーシャにアリスという素晴らしい女性たちとも出会えて、彼女たちも幸せにするのも夢ですかね」

聞かれてもいないのに惚気ると、予想外の言葉が返ってきた。

「なんだ? そこにヒメリは入らないのか? 出会い方こそ最悪だったが、いい子だと思うが? サーシャにずっと監視をしてもらっていたが何か企んでいるようなこともないようだし」

アイクが姫をそんな風に見ていたとは。

「そうですね。でも今はエリーのこともありますから」

どんどん増えていくとなると、収拾がつかなくなりそうだしな。スザクはどうやって側室たちと接しているのだろうか? やはり世継ぎを産むのが目的で恋愛感情とかはないのだろうか? 聞いてみたい気もするが失礼にあたるから聞けない。

もっとも5人に操を立てた俺には聞く必要のないことなんだが。

「ねぇマルス? 最近お義兄さんの様子がおかしくない? 塞ぎ込むというか、思いつめるというか……何か心当たりある?」

その日の夜、寝る前に腰を下ろして【黎明】メンバーで話していると、クラリスが問いかけてくる。すると、ミーシャがそれに同意する。

「うん。私も思った。やっぱりガルのことで思い悩んでいるのかな? それともお義姉さんがいないから……ここはクラリスがすっきりさせてあげればいいんじゃない?」

ミーシャが揶揄うと、いつものようにクラリスが頬を朱に染めて「バカ」とだけ一言。おそらくこういう会話が【黎明】部屋で行われているのだろうな。

「でも本当にお義兄様のこと気になるわね。エーデも出産間近だし何もなければいいけれども……」

「私たちで何かできればいいのですが……結局お義姉さんのところに早く帰してあげるのが一番なのかなって」

カレンとアリスも異変に気付いていたようだ。ちなみにエリーは胡坐をかいた俺の足の上に頭を乗せて寝ている。

「アリスの言う通りだな。明日からは馬に神聖魔法を使って一刻も早く帰るか」

すべすべのエリーの頬の肌触りを堪能しながら言うと、俺の言葉にミーシャが反応する。

「あっ! そうだ! 神聖魔法で思い出した! 今日姫がね、クラリスとアリスに豊胸魔法を唱えてもらいたいって言ってたよ!」

いつのまに神聖魔法が豊胸魔法になっている。ただこの発言で重要なことを思い出した。

「そうだ、クラリス。【黎明】の神聖魔法使い、表向きはアリスだけというのは姫に伝えているのか?」

学校に戻ってクラリスの神聖魔法をバラされたらたまらないからな。

「あっ! 忘れてた。グランザムではみんな知っていたからついつい……じゃあ豊胸魔法ついでに言ってくるね。今日は姫と寝るから。マルス、エリーをよろしくね。みんなおやすみ」

フローラルの匂いを残し、クラリスが部屋から出ていく。

「よし、じゃあ明日も早いから寝るとしよう」

エリーをお姫様だっこしベッドに潜ると、今日は全員同じベッドで寝ることになり、体中柔らかい感触に包まれ眠りにつく。

リーガンについたのはグランザムを出発しちょうど一か月がたったころだった。