軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第347話 ビッチ○○

「久しぶりね。マルス。それにバロン、ミネルバ」

扉を開けて中に入ってきた人物はA級冒険者昇格試験の1回戦で戦ったくノ一の格好をした 女(ひと) 、ビッチ先輩だった。

「お久しぶりです! ビッチ先輩! どうしてここに!?」

「昇格試験が終わった後、本当は西方諸島に帰りたかったのだけれども、海にかなり強い魔物が出るからまだ船が出せないと言われてね。困っていたところにリーガン公爵に船が出るまでの間だけでもリーガンに来て色々手伝ってくれないかと言われたのよ。給金が良かったからすぐに承諾してここにいるってわけ。昨日までは隣町のカンリョウで街の警備をしていたのだけれども……」

カンリョウってクラリスの両親が住んでいる要人が住んでいる街だよな。

「今日は貴族たちがここに集まるからリーガンの警備もお願いと言われていたのだけども、さっきリーガン公爵にここの臨時教師をやってくれないかと頼まれてね……相談できる相手がいないからここに来たのだけれども……」

え!? ビッチ先輩がビッチ先生に!? いやビッチ先生と呼ぶのはダメだ……ここはビッチ先輩で通さねば……

もしかしたら今ライナー、ブラム、サーシャがいないから、代わりの臨時職員という位置づけなのかもしれない。

「それにしてもマルスは凄い人気なのね。それにクラリスも。司会の人も言っていたけど【美神】ってみんなに呼ばれていて、クラリスを見た貴族の人たちも鼻の下を伸ばしていたわよ」

司会の男がクラリスを【美神】と言った時、俺を始めエリー、カレン、ミーシャ、アリスの全員が納得していた。女神よりかは美神だな。

だが貴族が鼻の下を伸ばしていたのはクラリスのせいだけじゃないと思うぞ? ビッチ先輩は自分のコスチュームの破壊力に気付いていないのか? そしてまさかその格好で教壇に立つつもりか? ゴンたちが見たら鼻血ブー案件だぞ?

「それで相談というのはどのような相談なのでしょうか?」

しっかりビッチ先輩の目を見ながら言うと

「現在のこの学校のレベルの高さを知りたいのよ。正直マルスがあれだけ強いのだから他の生徒たちも強いのかもしれないじゃない? 教師としてやっていけるのか不安で……私よりも強いのがマルスだけであればいいのだけれども……」

まぁ確かに不安になるかもしれないな。

「Sクラスでなければ例年通りのレベルだと思われます。ビッチ先輩であれば大丈夫です! 自信を持ってください!」

ビッチ先輩の言葉にバロンが返答した。とてもいいことを言ったが、その鎖を巻き付けた格好では説得力がない。ビッチ先輩も今のバロンを見てどう接していいか困っているみたいだし。

みんなも困るよな? 鎖を巻き付けた生徒に自信を持っていいと言われても……何の自信だよって思わないか?

ビッチ先輩が笑顔を取り繕っていると、ようやくクラリスたちの声が廊下から聞こえてきた。そして教室の中に入ってきてみんながビッチ先輩を見ると

「ビッチ先輩!? 何でここに!? もしかして6人目に立候補しに来たのですか!?」

「やっぱりマルスはスタイルのいい人がいいんじゃん!」

クラリスとミーシャはビッチ先輩の事を6人目の婚約者に立候補しに来たものと勘違いしたようだ。そして2人だけではなく、エリーが座っている俺の目の前に立ち、ビッチ先輩から俺が見えないように隠す。カレンもエリーの隣に立つ。

まぁあの式の後だからな。そう勘ぐっても仕方ないよな。

「本当にごめんなさい! 失礼なことを言ってしまって!」

俺とバロン、ミネルバの説得により、ようやくクラリスたちが誤解という事を分かってくれ、ビッチ先輩に頭を下げるとエリー、カレン、ミーシャも揃って頭を下げる。

ちなみにアリスはここに来る前に2年Sクラスに戻ったそうだ。

「ビッチ先輩、ここにはいないですがアリスを含めたこの5人はマルス君の事になるといつもこうなってしまって……ただただマルス君の事が好きなだけでビッチ先輩が嫌いとかそういう訳ではないので、許してあげてください」

しっかりとミネルバが4人のフォローをする。

「前にも言ったけどあなた達からマルスを奪えるなんて思うわけないじゃない? 許してあげるからその代わりに私の相談に乗ってよね」

ビッチ先輩が大人な対応をして先ほどの相談を続ける。

「さっきの質問に戻るけど、実際私はどのくらいの実力なのかしら? この中で言うと何番目くらいに強い?」

ビッチ先輩のこの質問にみんなが俺の顔を見る。お世辞を言ってもどうせ後でバレるので素直に

「恐らく3年Sクラスでは序列6位か7位くらい……つまりバロンといい勝負かなと」

俺の言葉にバロンはガッツポーズをし、ビッチ先輩は絶句しショックを隠せないようだ。

バロンの事をアルメリアから鑑定していなかったが、リムルガルド城下町でもかなり強くなっている。

【名前】バロン・ラインハルト

【称号】-

【身分】人族・ラインハルト伯爵家嫡男

【状態】良好

【年齢】11歳

【レベル】35(+3)

【HP】82/82

【MP】399/399

【筋力】52(+5)

【敏捷】45(+4)

【魔力】51(+4)

【器用】55(+5)

【耐久】56(+9)

【運】1

【特殊能力】剣術(Lv7/B)

【特殊能力】鎖術(Lv2/G)

【特殊能力】火魔法(Lv4/D)

【特殊能力】水魔法(Lv4/D)

【特殊能力】土魔法(Lv7/C)

【特殊能力】風魔法(Lv3/D)

【装備】 土精霊の剣(ノームソード)

【装備】シルバーチェーン

【装備】 土精霊の鎧(ノームアーマー)

【装備】偽装の腕輪

この耐久値の上がり方よ。これこそバロンって感じだろう? みんなもそう思わないか? 勇者って基本ボスとかの攻撃を全て食らって、ピンチになりながらも最終的には勝つイメージじゃないか? バロンの場合は余計な攻撃まで食らいにいきそうだが……

「そ、そんなに低いの? これでも私は数年前だけど武神祭で優勝した事があるからもうちょっと上だと思ったのだけれども……でも北の勇者と呼ばれているバロンが6位だからそれを考えると……今度模擬戦をお願いできないかしら?」

「うん! さっき疑っちゃったから引き受けるよ! 私が5位だし!」

ミーシャがビッチ先輩との模擬戦を約束すると

「そこまで気にする必要ないわ。序列2位のクラリスは去年のリスター祭のエキシビジョンマッチで風王のリーガン公爵に遠距離戦で勝っているし、3位のエリーも私の兄、スザクお兄様に近距離戦だけど勝っているから。マルスと一緒でこの2人も規格外なのよ」

カレンがビッチ先輩をフォローすると、ビッチ先輩が信じられないというような顔で俺の方を見てきたので、無言で頷く。

「そう……たしかにそれだったら私よりも強くて当然ね。私じゃなくてもあなた達を教えられる者なんてそういるはずないわね」

ビッチ先輩の言葉が軽やかになった。やはりリーガン公爵でも負けるとなると納得するのであろう。ただビッチ先輩が教師になるには問題があり、そこをクラリスが指摘する。

「ビッチ先輩? 先生になった時その服装で授業をなされるのですか?」

「ええ……そのつもりだったけど……やっぱり変かしら? こういうのしか持っていないのだけれども」

「ちょっと男子生徒には刺激が強すぎるかと……実際エリーの後ろにいる男子はチラチラ見ているようですし。もしよければ放課後一緒に選びに行きませんか?」

クラリスがそう言うと、他のみんなもエリーの後ろを見る。誰だよエリーの後ろって……あれ? なんかみんなと視線がやたら合うのだが気のせいかな?

「しょうがないよ。女の私だって見ちゃうもん。でも罰としてマルスに色々買ってもらおう」

ミーシャがため息交じりに言うと全員が仕方ないといった表情で頷く。あとでビッチ先輩とリーガンの街に買い物をする約束を交わし、ビッチ先輩は教室を後にした。

「それで? リーガン公爵は何と言っていたんだ?」

ちょっとこの空気とみんなの視線が耐えられなかったので話を逸らすと

「ええ。結果的にはうまく丸め込まれちゃった……でも私たちも納得できたからいいかなって。来年からはあの文言は使わないと約束してくれたし。それになんだかんだリーガン公爵は私たちのこと……マルスのことを考えてくれていたわよ」

クラリスの言葉にみんなが頷く。どうやったらあんなに怒っていたクラリスたちをここまで懐柔することが出来るんだ?

それに俺たちの事を考えてくれているとはどういうことだ?

「もう15時よ。ビッチ先輩が来るまで闘技場で訓練でもしましょう」

少し疑問だったがクラリスの言葉に頷き闘技場へ向かった。