作品タイトル不明
第341話 吐露
2032年3月3日14時
「フレア!」
両手を空に掲げてフレアと叫ぶと赤白い大きな炎の塊が勢いよく俺の手から放たれた。ようやくフレアを覚えて嬉しくなった俺は隣で指導してくれていたカレンを思わず抱きかかえ、その場でくるくる回り喜んでいると、
「マルスの努力の成果ね! おめでとう!」
両腕を俺の頭の後ろに回して頬にキスをして一緒に喜んでくれる。喜びとカレンの感触を十分味わい、【黎明】の馬車に戻ると、他のメンバーも次々と祝福のキスをする。
もっと頑張れば、もっとご褒美がもらえる……これで頑張らないやつはいないだろう。そして頑張ればステータスも上がる。
ご褒美が目的となり、ステータスが上がるのが付随効果みたいな感じに捉えられるかもしれないが、そこは違うからな……たぶん……
【名前】マルス・ブライアント
【称号】雷神/剣王/風王/聖者/ゴブリン虐殺者
【身分】人族・ブライアント伯爵家次男
【状態】良好
【年齢】12歳
【レベル】49
【HP】142/142
【MP】3220/8380
【筋力】121
【敏捷】117
【魔力】138(+1)
【器用】116(+2)
【耐久】119(+1)
【運】30
【固有能力】天賦(LvMAX)
【固有能力】天眼(Lv10)
【固有能力】雷魔法(Lv10/S)
【特殊能力】剣術(Lv10/A)
【特殊能力】棒術(Lv1/G)
【特殊能力】鎖術(Lv2/G)(1→2)
【特殊能力】火魔法(Lv6/C)(5→6)(D→C)
【特殊能力】水魔法(Lv6/C)
【特殊能力】土魔法(Lv8/B)
【特殊能力】風魔法(Lv10/A)
【特殊能力】神聖魔法(Lv8/A)
【装備】雷鳴剣
【装備】氷紋剣
【装備】 火精霊の鎖(サラマンダーチェーン)
【装備】鳴神の法衣
【装備】偽装の腕輪
【装備】守護の指輪
【装備】守護の指輪
やはり鎖を操りながら、走ったり、路面を舗装したりしていたので、器用値がかなり伸びた。そして鎖術、火魔法もそれぞれレベルが上がった。今の俺の目標は あ(・) る(・) 意(・) 味(・) 三刀流だ。
え? すでに三刀流じゃないかって?
雷鳴剣、氷紋剣、そして相……いやいや、最後はそんな役立たずではなく、鎖だ。二刀流+鎖、だいぶ強そうだとは思わないか?
そして俺に火魔法を教えてくれたカレンも加齢に伴いステータスが上がっていた。
【名前】カレン・リオネル
【称号】鞭王
【身分】人族・フレスバルド公爵家次女
【状態】良好
【年齢】12歳
【レベル】44(+1)
【HP】63/63
【MP】521/802
【筋力】44(+3)
【敏捷】42(+1)
【魔力】95(+5)
【器用】52(+2)
【耐久】37(+3)
【運】1
【特殊能力】魔眼(LvMAX)
【特殊能力】鞭術(Lv6/B)
【特殊能力】火魔法(Lv8/B)
【装備】 火精霊の杖(サラマンダーロッド)
【装備】レッドビュート
【装備】 火精霊の法衣(サラマンダーロープ)
【装備】 火の腕輪(フレイムブレスレット)
【装備】偽装の腕輪
【装備】守備の指輪
【装備】獄炎のネックレス
相変わらずのタンク要員だが、脅威度Cくらいの魔物であれば鞭だけでもなんとかなるようなステータスになっている。
そしてもう1人、今日誕生日を迎えたアリスがついに称号持ちになった。
【名前】アリス・キャロル
【称号】細剣王(New)
【身分】人族・平民
【状態】良好
【年齢】11歳
【レベル】35
【HP】72/72
【MP】158/199
【筋力】48(+2)
【敏捷】56(+1)
【魔力】51
【器用】51(+1)
【耐久】48(+2)
【運】20
【特殊能力】細剣術(Lv8/A)(7→8)
【特殊能力】神聖魔法(Lv4/C)
【特殊能力】水魔法(Lv1/G)
【装備】聖銀のレイピア
【装備】戦姫の法衣
【装備】偽装の腕輪
【装備】守護の指輪
称号【細剣王】! そしてあともう少しでステータスオール50だ。【黎明】に入った去年から比べると驚異の成長だ。
今は俺たちの馬車の先頭をハチマルが警戒してくれ、その後ろに【創成】の馬車、そして【黎明】と続いている。
「まさかヨーゼフがクラリスのチュー以外で目覚めると思わなかったなぁ」
馬車の中でミーシャがクラリスの方を見ながら言うと
「そうね……私も最近のクラリスのご利益? を考えるとヨーゼフの昏睡状態くらいクラリスのキス1つで治りそうな気がしていたのよ」
カレンも頷きながら同意する。
この会話、実は昨日も一昨日もしていたが、もうクラリスは2人にまともに付き合わなくなっていた。
「もう、バカなことは言わないの。それよりもヨーゼフのステータス戻っているといいわね。ずっと眠っていたから後遺症とかも気になるわ」
クラリスの言う通り、後遺症は気になるな。するとミーシャが
「それこそクラリスのチューでなんとかなるんじゃない?」
やっぱり言うと思った。
「私はマルス以外にはしないわよ」
そう言いながらクラリスが俺の頬に顔を近づけてくるが、その際耳元で
「マルス、今夜の約束忘れないでね」
と囁いてから、再度俺の頬に唇が触れる。俺は何も言わずに頷くとクラリスのフローラルのようないい匂いが遠のき、代わりに左側からレモンのような爽やかな匂いを纏ったエリーがいつものように左首筋に吸い付き、マルス成分というのを吸収してくる。
クラリスの言った今夜の約束というのは、ヨハンと会ったあの朝の件だ。リーガンに着いてから話そうと思っていたのだが、どうしてもあの朝の俺の表情が気になり、早く教えてくれとの事で今夜になったのだ。
鎖を操りながらしっかりと頭の中を整理し、夜を迎えた。
2032年3月3日 22時
「実はあの日の朝ヨハンと会ったんだ」
俺の言葉を聞いたクラリスが思わずびっくりして声を上げそうになったが、慌てて俺が手でクラリスの口を塞ぐとすぐに冷静さを取り戻した。
今は宿に戻り、みんなが寝ている中、部屋の隅でクラリスと2人で肩を並べて話している。ハチマルだけは起きているが、空気を読んでくれているのか俺たちには近づいてこない。
「ヨハンは黒目黒髪で日本時代の容姿そのものだったと思う。間違いなくヨハンがあのコンビニ強盗だろう。そして最悪なことに前世の記憶は残っており、俺たちを探していた」
ここまで言うとクラリスが
「ヨハンってどれくらい強いの? 戦ったの?」
不安そうな表情で聞いてくる。嘘をついてヨハンのステータスを低く言うのも少しは考えたが、正直に答え、戦ったが引き分けだったという事を伝えるとクラリスの表情はますます曇る。
「大丈夫だ。ヨハンは自分が日本時代と同じ顔で転生したから、俺たちの事も黒目黒髪だと思っている。日本語を話さない事と雷魔法さえ撃たなければ、そうそう俺たちが転生者とは気づかないと思う。特に俺なんかは前世と180度容姿が違うからな」
俺の言葉に安心したのか安堵の表情を浮かべ
「何言っているのよ。日本でもマルスはカッコ良かったわよ。少なくとも私は一目惚れよ」
クラリスが嬉しいことを言ってくれる。まぁあの状況だったら日本時代の俺でも少しはカッコよく見えるのかもな。
「マルス、1つだけ聞いていい? 雷鳴剣に雷魔法をエンチャントしてないわよね?」
クラリスの質問に黙ってうなずくと
「良かった……とにかく雷系は徹底して封印してね。初めてマルスの雷魔法が私を包んだ時、懐かしい、これはコンビニの時の雷だと感じたから、もしかしたらヨハンもそう思うかも……いえ、そう思うと考えるべきよ」
クラリスも俺と同じように思っていた。俺も天纏を纏った時はコンビニで撃たれた雷の事を思い出したからな。もしもヨハンに雷耐性があった場合は同じように思うだろう。
「分かっている。ヨハンには雷魔法は撃たない。撃つときは目眩ましにして止めを刺すときにするよ。だがな、例え今バレてもヨハンは俺を……俺たちを襲わないはずだ」
「どうして? ヨハンは私たちを探しているんでしょう?」
「ああ、だがヨハンはこの世界に結果的に連れてきてしまった俺たちよりも、もっと憎んでいる者がいる。ラースという奴だ。どうやらこいつがミリオルド公爵を陰から操っている者らしい。そしてヨハンの第1の目標はラースを倒す事。そしてラースの魔眼が効かない俺と組みたいと言ってきてな」
「え!? 魔眼が効かないってラースっていう人も近くにいて直接マルスに魔眼を使ったの?」
当然の質問だよな。
「いや、ラースという奴の魔眼は 未来視(ビジョン) と言って、対象者の未来を視る事ができる魔眼でな。ラースが視るヨハンの未来に俺が映っていなかったから俺には耐性があるとの事なんだ」
「凄い魔眼ね……でもそれに耐性があるマルスって……」
「ラースの目的は【剣神】を倒すこと。そのために俺たちの首を取ってこいとヨハンは命令されたらしいが、エリーだけは殺すなと言われたらしい。俺の予想が正しければエリーはミリオルド公爵ではなく、ラースを恐れていると思う。恐らく2人は何かしらの接点があるのかもしれない。だからクラリスもエリーの前ではラースの事は言わないでほしいんだ。俺がすぐにクラリスにこの件を相談できなかったのはラースの事があったからだ。心配をかけてごめん」
クラリスは合点がいったようで
「ありがとう。これで胸のつかえが取れたわ。どうしてすぐに教えてくれないのかずっと考えていたのだけれども、これなら当然よね」
「クラリス……実はクラリスにまだ言ってない……ずっと隠していた事があるんだ」
俺の言葉にクラリスが身構えて
「な、何? そんな真剣な表情で……」
不安なのか体育座りをしながら、自分の身体を両腕で抱えるような態勢で聞いてくる。
「いや、そんな深刻な話ではないよ。ただまだこのことは誰にも教えていないんだ。さっき 未来視(ビジョン) に耐性がある俺の事を驚いていただろう? その事なんだ」
深刻な話題では無くてホッとしたのか
「うん。教えて」
頭を俺の肩に乗せて微笑みながら言う。
「実は俺が亜神様から貰った能力は雷魔法ではないんだ。これは死んだときにもう覚えていたらしく、俺が貰った能力は【天賦】と【天眼】というスキルで【天賦】という能力は、簡単に言えばステータスが上がりやすいけど、レベルが上がりにくいという能力だ。そして【天眼】というのは魔眼の上位互換と思ってくれていい」
「っ!?」
またクラリスが驚いて声を出しそうになったので手で口を軽く塞いでから続ける。
「俺が前にクラリスに【鑑定】という能力があると言っただろう? あれは嘘で本当はこの【天眼】で鑑定をしていたんだ。そして【天眼】のおかげで俺には魔眼が通じない。さらに俺も 未来視(ビジョン) が使える。でも俺の 未来視(ビジョン) はラースの 未来視(ビジョン) とは違って俺の近くで起きる事の1秒先の未来しか見ることが出来ない」
クラリスの方を見るとまだびっくりしている。
「今まで隠してて……」
そこまで言うと今度はクラリスが俺の口を手で押さえる。
「ありがとう。だからマルスにはラースの 未来視(ビジョン) が効かないから安心しろという事ね。でもその 未来視(ビジョン) はあまり使えないわね。今から何が起きるか分からないでしょ?」
クラリスの言葉に 未来視(ビジョン) を発動させようとしたがもう遅かった。
俺の口を塞いでいたクラリスの手の代わりに、クラリスの唇が俺の口を塞いだ。