作品タイトル不明
第271話 安全地帯
3層に潜ると先生たち【剛毅】とカレン、ミーシャも戦闘に参加し始めた。
俺とクラリスも誰かが危ないと思ったらウィンドカッターや 魔法の弓矢(マジックアロー) で援護している。
さすがにレベル30ちょいの者たちだけではこのレベルの敵を倒すのはきつい。
まぁアイクだけは2層までもちょくちょく戦闘に参加していたが、ガッツリというわけではないからな。
先ほどまでわざとダメージを食らって楽しんでいたバロンもここでは必死になって戦っている。いや本当にお前、その癖だけは治したほうが良いと思うぞ?
「おい! マルス! 俺もレベルアップしただろ!?」
ブラッドがモンスターを1匹ずつ倒すたびに聞いてくる。本当はもう上がっているのだが
「まだ上がっていないぞ! もっと頑張れ!」
「くそ! こいつら強いからそう簡単に倒せるかってんだ!」
文句を言いながら、必死になって魔物と戦っているが、やはり前衛のブラッドはかなりのダメージを受けている。
ライナーですらたまにダメージを食らうから仕方ないと言えば仕方ないのだが。
ちなみにブラッドのステータスはこうなっている。
【名前】ブラッド・レオ
【称号】-
【身分】獣人族(獅子族)・セレアンス公爵家嫡男
【状態】良好
【年齢】11歳
【レベル】33(+2)
【HP】76/131
【MP】26/26
【筋力】59(+3)
【敏捷】47(+2)
【魔力】13
【器用】7
【耐久】67(+3)
【運】1
【特殊能力】斧術(Lv5/D)
【特殊能力】体術(Lv7/B)
【特殊能力】土魔法(Lv1/G)
【装備】ビーストアックス
【装備】大地の鎧
【装備】オーガシールド
2もレベルが上がっていておかしいと思うだろう? 実はブラッドを鑑定したのは4月以来だからな。俺たちが魔の森にいっている間にバロンとミネルバの3人で死の森に行ってレベルが上がっていたのだろう。アルメリア迷宮ではレベル1しか上がっていない。
ついでにバロンとミネルバも上がっていたから紹介しよう。
【名前】バロン・ラインハルト
【称号】-
【身分】人族・ラインハルト伯爵家嫡男
【状態】良好
【年齢】11歳
【レベル】32(+1)
【HP】73/73
【MP】224/368
【筋力】47(+2)
【敏捷】41
【魔力】47(+1)
【器用】50(+2)
【耐久】47(+3)
【運】1
【特殊能力】剣術(Lv7/B)
【特殊能力】鎖術(Lv2/G)
【特殊能力】火魔法(Lv4/D)
【特殊能力】水魔法(Lv4/D)
【特殊能力】土魔法(Lv7/C)
【特殊能力】風魔法(Lv3/D)
【装備】 土精霊の剣(ノームソード)
【装備】シルバーチェーン
【装備】 土精霊の鎧(ノームアーマー)
【装備】偽装の腕輪
最近のバロンは体を鍛えることと、ミネルバとの高尚の趣味のおかげで筋力と耐久が上がっている。毎日痣だらけになるまでプレイすればそりゃ耐久値も上がるに決まっている。ただ最近あまり魔法を使っていないのが気になる。せっかくの才能がもったいない。
【名前】ミネルバ・ゼビウス
【称号】-
【身分】人族・ゼビウス子爵家長女
【状態】良好
【年齢】11歳
【レベル】32(+2)
【HP】46/46
【MP】142/282
【筋力】28(+6)
【敏捷】31(+7)
【魔力】48(+5)
【器用】52(+12)
【耐久】27(+8)
【運】1
【特殊能力】剣術(Lv3/E)
【特殊能力】鎖術(Lv5/C)(3→5)
【特殊能力】火魔法(Lv5/D)
【特殊能力】水魔法(Lv5/D)(4→5)
【装備】銀の剣
【装備】水精霊の杖
【装備】シルバーチェーン
【装備】魔法の法衣
【装備】マジカルブーツ
ミネルバに関しては去年の10月以来の鑑定となるので訓練や加齢に伴うステータスの上り幅が大きい。
やっぱ器用値はあがるよな……それに毎日バロンと特訓しているせいか鎖術の伸びが相当早い。
3人を鑑定していると俺の近くにいたサーシャが
「2層もそれなりにきつかったけど、3層はかなりきついわね。正直このメンバーだからまだまだ余裕があるけど、普通のBランクパーティであれば、いつ撤退しようか迷うところだわ。2層みたいにそこまで罠が多くないのが救いくらいかしら」
「本当よ! マルス! もしも嫁入り前の私の体に少しでも傷がついたらマルスにしっかりと責任を取ってもらうからね!」
サーシャの言葉に眼鏡っ子先輩が便乗し、いつもの謎理論をけしかけてくる。
昔だったらクラリスやエリーが反応するところだが、もういつものネタだと分かっているので見事にスルーだ。
3層の中間あたりの 安全地帯(セーフティゾーン) に着くころには【黎明】とアイク以外のメンバーはかなり疲弊していたし、HPも減っていた。しっかりとクラリスのラブラブヒールで全員を回復させてから白く光っている部屋、 安全地帯(セーフティゾーン) にゆっくりと近づく。もうみんなも俺が何も言わなくてもいざという時の戦闘準備が出来ている。
「あれ? 誰もいない?」
安全地帯(セーフティゾーン) に入ると誰もいなかった。【鬼哭】がいると思っていただけに拍子抜けしてしまった。
「マルス、あれを見て」
クラリスが指さす方向を見ると、今年の初めに俺とクラリス、エリーの3人で使っていたベッドがあったのだが、使用されている形跡があった。
流石にもうクラリスとエリーの温もりや残り香はないと思うが、誰かに使われるくらいであれば燃やしておけばよかった。
「マルス、どうする? いつ戻ってくるか分からない【鬼哭】を待つのは疲れるぞ?」
「そうですね。予定を変更しましょう!」
俺の言葉にアイクとライナー、バロンが頷く。
ちなみに当初の予定とは、もしも 安全地帯(セーフティゾーン) に入ったとき【鬼哭】が油断しているようであれば、有無も言わさず捕えてゲドーの事を聞くつもりだった。それが出来なければある程度話をして油断させてから奇襲を仕掛けて捕えようとしていた。だからブラッドとコディに余計なことを口走らないよう釘を刺したのだ。
人攫いを本当にしているか、していないかを確認するのは後回しのつもりだった。もしも【鬼哭】がゲドーや人攫いに関わっていないときは、俺にできる償いは何でもするつもりだ。
「みんな! 取り敢えず今のうちに休憩をしよう! 【鬼哭】を刺激したくないから反対側に俺たちの寝床や浴室を作る! 急ぐぞ!」
浴室は以前俺が作ったのを使えばいいじゃないかと思うかもしれないが、どうしてもクラリスたちには、他の男が入った風呂に入って欲しくないし、それ以上にクラリスたちの後に他の男たちが入ってほしくない。まぁなぜかアイクだけは許せるのだが。
いつものように手際よく浴室、浴槽を男女別々に作る。もちろん女性用の浴室は相当厳重に作っている。
寝室もMPの関係上簡易ではあるが4人用2つと、2人用4つ作った。
ただパーテーションで区切っただけだが、1つだけ特徴があって、どの部屋に行くにしてもブラッドとコディの寝室を通らないと行けないようにしてあり、4人部屋は【鬼哭】から一番離れた場所に作った。
この4人部屋、1つは俺とクラリス、エリーの3人で使うのだが、もう1つはライナー班の女性4人、カレン、ミーシャ、アリス、サーシャで使ってもらう。
2人部屋は言わずとも分かると思うが、アイク兄と眼鏡っ子先輩、バロンとミネルバ、ライナーとブラム、そしてブラッドとコディの部屋だ。
交代で急いで風呂に入り、軽食を済ませる。
「【鬼哭】がいないのは予想外だったな。考えてみればずっと 安全地帯(セーフティゾーン) にいるわけないよな。で、どうする? 交代で睡眠をとるか?」
「そうですね。交代で睡眠をとりましょうか。もうそろそろ18時ですから、まずは4人部屋の7人が寝て21時に僕が起きて、僕の代わりにアイク兄、義姉さん、バロン、ミネルバの4人が寝てもらい、0時に残りのライナー先生、ブラム先生、ブラッド、コディが寝るという順番でどうでしょうか?」
アイク、バロン、ライナーが俺の意見に賛成してくれ、いざこれからクラリスとエリーの2人と一緒に寝室に行こうとした時だった。
俺たちが来た反対側の方の通路、つまり4層への階段がある方から声が聞こえた。
どうやら向こうはこっちに気づいてないらしく、大声で喋りながら向かってきている。
「頭ぁ! 俺たちもB級中位くらいになったから早いところ仕事済ませてずらかりましょう!」
「元A級冒険者の頭と俺達4人のB級中位クラスがいれば騎士団なんて余裕ですぜ!? ちゃちゃっとやってずらかりましょうぜ!」
「ずらかった後が楽しみですな!? 頭ぁ!」
「違ぇねぇ! アルメリアは綺麗すぎるから俺たちみたいな人間には住みづらくて仕方ねぇ! 早くずらからねぇと!」
4人の男たちが陽気な声で頭という人物に話しかけているのが分かる。しかし次の瞬間4回鈍い音がし、
「ぐはっ!」
「ぼへっ!」
「ぶひっ!」
「たわば!」
4人が誰かに殴られて呻き声をあげた。
その後、別の男の声がしたのだが、うまく聞き取れなかった。
「エリー、何人いるか分かるか? 5人か?」
「……6人……1人冒険者じゃないような歩き方……」
俺の質問にすぐエリーが答える。
サーチを使えば分かるのだが、もうMPもないし下手に刺激をしたくないからな。
少しすると俺たちのことに気づいたやつがいるらしく、「シッ!」という言葉が聞こえると話し声が聞こえなくなった。
ゆっくりと近づいてきた足音が止まり、 安全地帯(セーフティゾーン) を5人の坊主頭とおかっぱ頭が通路からひょっこり見てきた。
そのうちの1人の坊主はどこかで見たことがあると思い、ミーシャの方を見るとミーシャはサーシャの後ろに隠れてその男を睨むようにして見ていた。