軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第212話 制服を着た悪魔

「やはり10匹いるぞ!みんな先ほどの作戦通り魔法を撃ちまくるぞ!」

10体のキマイラに全員で魔法を撃ちまくる。キマイラのMPはダイアウルフを召喚しきっているので0の為、ただ突っ込んでくることしかできない。

流石に魔法だけで倒しきる事は出来なかったが、撃ち漏らしても俺とエリーでどんどんと止めを刺す。

「ほ、本当にお前ら凄いな……もしかしたらリムルガルド城に行ったメンバーよりも……」

ヒュージはここまで言いかけてやめた。リムルガルド城で死んだメンバーの事を悪く言う必要はないからな。

それにリムルガルド城で負けた原因の1つとして、ステータスの低い神聖魔法使いやパーティメンバーを連れて行ったことが原因とスザクが言っていたからな。

最初からA級冒険者だけでパーティを組んでいれば攻略出来ていたのかもしれない。

「MPさえ削り切ってしまえば怖くはないですからね」

「メサリウス迷宮でも同じことをしていたのか?」

「はい。ダイアウルフを1撃で倒せるようになっていたのでひたすら召喚させて、MPが枯渇したら剣の練習をしながらキマイラと戦っておりました」

「そうか……マルスは俺と違ってMP消費なしで複数の敵と戦えるからな……俺は必死にキマイラだけを倒しにかかっていたよ。剣2本でダイアウルフの攻撃をいなしてな」

まぁ普通はそういう戦い方になるのかもしれないな。キマイラの死体を焼くとヒュージが

「みんなマジックポーションを飲んでおけ! これから何が起こるか分からないからな!」

ヒュージの言葉を聞いたブラムがみんなにマジックポーションを配り始めた。他のパーティではこうやって戦闘が終わるごとにマジックポーションを飲むのだろう。

ゲームのように飲んだらすぐにMP回復すればいいのだが、あくまでも回復を促す 薬(・) だからな……でも俺もヒュージの指示通り、ブラムからマジックポーションを受け取り飲んでおいた。

キマイラを倒し、この辺には魔物の気配がないことを確認してから食事休憩をすることにした。

「誰か疲れている人はいますか? 気休めかも知れないですがヒールをかけますよ」

すると全員が手を挙げた。どうやら身体的にではなく、精神的に疲れているのかもしれない。ヒュージまでも手を挙げるとは思わなかった。もう今日は引き返したほうがいいのではと思い

「ヒュージ様。何時くらいに戻りますか?」

「そうだな……今は13時頃だから14時くらいには戻り始めるか」

「そうですね。その位の時間帯であれば日が落ちる前には戻れそうですね」

俺とヒュージの会話を聞いていたミーシャが

「じゃあもうひと踏ん張りだね。気を抜かずに頑張らないとね」

珍しくまともな事を言う。

「そうだな。じゃあミーシャの言う通りもうひと踏ん張りだ!行くぞ!」

ヒュージがみんなに号令をかけるとみんな引き締まった顔で頷いた。エリーもヒュージの言葉には目を開き頷いていた。休憩から30分後、もうそろそろ帰るころかなと思っていたら

「右前方……魔物……4体」

エリーが斥候から戻って俺たちに報告した。ちなみにエリーは左側の方を索敵しているのだが、索敵能力が高いため、右側を索敵しているアイクよりも魔物を早く見つけることが出来た。

「本当か? 俺は言われても全く分からなかったが……」

ヒュージがエリーに言うとアイクが

「恐らくエリーの言う事は本当だと思います。ちなみに僕にもまだ魔物の気配を感じることができませんが」

とフォローをする。

「ヒュージ様、いつもエリーが僕たちの斥候役を務めてくれています。エリーが間違ったことは無いのでエリーを信じましょう」

俺もヒュージに進言するとヒュージが

「いや、そこまで疑っているという訳ではないんだ。ただエリーに言われた今でも全く気配を察知できないのでな。とにかく慎重にすすもう」

最前衛の3人が警戒しながら前に歩き出した。少し歩くと俺でも魔物が居ることが分かった。そしてヒュージとアイクも魔物に気づいたようだ。3人が俺たちの所に戻ってきて

「エリーの言っていたように魔物がいた。デーモンたちだ。数は20体以上。エリーが言うにはデーモンが4体、レッサーデーモンが20体。出来ればこいつらを倒してから戻りたいのだが流石に危険かもしれん。みんなの意見を聞きたい」

ヒュージが俺たちに意見を求めた。

「もしも戦うのであれば、先制攻撃は僕とクラリスにさせてください。デーモンの弱点を突きます」

俺とクラリスのホーリーを集中させればデーモンの1体くらいは倒せるはずだ。

「分かった。では戦闘をするという事でいいな?」

俺が頷くと他のみんなも頷いた。

「ではマルス作戦を教えてくれ」

ヒュージがいつもの流れで俺に聞いてくると

「まず僕とクラリスでデーモンが密集しているところにホーリーを放ちます。他のみんなは僕たちのホーリーが発現したら魔法を撃ちこんでください。僕はホーリーを撃ちながらこちらに飛んでくる魔法に対して風魔法でもレジストします。

サーシャ先生とブラム先生もなるべく防御に意識を集中させてください。最前衛の3人は近づきながら魔法を撃ち接敵するように努めてください。僕もなるべく前に出ます。ライナー先生はアリスの近くに居るように。アリスはまたみんなの回復を頼む」

「ホーリー? なんだその魔法は? どういう魔法か教えてくれ」

そう言えばヒュージはホーリーを知らなかったな。

「光の柱が地面から出る魔法です。デーモンはこれに弱いはずですから」

簡単に説明するとヒュージは首をかしげながらも納得してくれた。

「それでは行きますよ! クラリス準備はいいか? デーモンたちが密集しているところを狙うぞ!」

クラリスに聞くとクラリスは俺の隣にやってきて頷いた。

「ではみんな! 今からホーリーを放つから全力でやるぞ!」

「「ホーリー!」」

俺とクラリスがデーモンたちの中心にホーリーを放った。

デーモン1体とその周辺に居たレッサーデーモン3体を光の柱の中に閉じ込め、光の柱が消滅すると、そこにはもう4つの魔石しか残っていなかった。

ホーリーで俺たちに気づいたデーモンが咄嗟に戦闘態勢をとるが、もうそこにはフレアや 氷槍(アイススピア) が撃ち込まれる。

レッサーデーモンを盾替わりにデーモンが立て直そうとしているが、俺とクラリスのホーリーも躱さないといけないのでデーモンからの攻撃はない。

こちらにはレッサーデーモンがファイアを放ってくるくらいだがサーシャの風魔法やブラムの土魔法で簡単にレジストすることが出来る。

デーモン3体は戦況が芳しくないと思ったのか完全に逃げに徹した。当然レッサーデーモンは置き去りだ。

「クラリス! レッサーデーモンの残りを倒しながらみんなで一緒に俺たちの後を追ってきてくれ! だが急がなくていい! 十分周囲を警戒しながら頼む!」

クラリスの返事を待たずに俺はヒュージとエリー、アイクの4人でデーモンたちを追いかけた。

クラリスたちがレッサーデーモンを倒すことでデーモンたちからまたレッサーデーモンを召喚されてしまうが、クラリスたちの事を考えるとレッサーデーモンは倒しておいた方がいいと判断した。

前のようにMPが枯渇したレッサーデーモンであればそのまま残してくれた方がいいのだが、今回生き残っているレッサーデーモンはMPが枯渇していない。大事を取って倒してもらう事にしたのだ。

俺はデーモンを追っかけながらウィンドカッターでデーモンたちを攻撃する。致命傷にはならないが、動きながら魔法を放てる俺が一方的にデーモンたちを攻撃するとデーモンたちは観念したのか逃げるのをやめて戦闘態勢をとった。

だがもう全てが遅い。デーモンが向き直った瞬間に 風纏衣(シルフィード) を展開し、距離を詰めて1体のデーモンの首を刎ねた。これで俺たちが4人でデーモンが2体だ。

デーモンはひたすらレッサーデーモンを召喚してくるが、召喚したところを俺達4人が容赦なく倒しまくる。

もうこの展開になると負ける要素はない。デーモンのMPが枯渇するまでレッサーデーモンを召喚させてデーモンのMPが枯渇したらアイクとエリーが止めを刺した。

2人が止めを刺したと同時位にクラリスたちが俺たちに追い付いた。

「大丈夫だったか? 怪我はないか?」

俺がクラリスたちに問いかけるとみんな問題ないというような素振りを見せた。

「よし! じゃあ今日はここまでだな! だが砦に帰るまではしっかり警戒しないとだめだぞ!」

ヒュージがみんなにしっかり注意喚起をした。家に帰るまでが遠足だからな。しっかり警戒をしないとな。するとここで周囲を警戒したエリーが

「待って……この先……魔物? 人間? どっちか分からない……1体……1人いる……」

困惑しながら南の方を指さして言った。いやここに人間はいないだろう。デーモンか? でもデーモンならさっきエリーはすぐに魔物と言っていたからデーモンではないはずだ……

「どうしますか? ヒュージ様?」

「ああ。エリーの言う事が気になるな。マジックポーションを飲みながら警戒しながら行こう。人であれば救出したいし、どうしてここに居るのか気になるしな」

ヒュージの言葉に頷きみんなでマジックポーションを飲みながら森を南の方に向かって進むと、そこは少し開けた場所だった。

そしてその開けた場所には切り株があり、切り株に人? が俺たちに背中を見せて膝を抱えてうずくまっていた。

切り株にうずくまっている者が着ている服は俺たちがいつも目にしている……いやいつも身に着けている物だった。

白に金色の刺繍が入った制服……つまり俺達2年Sクラスの制服だ。

俺達に気づいた金色の刺繍を来た者がゆっくりと俺たちの方を振り返ると、そこには信じられない顔があった。

右目の白目部分は黒くなり、黒目部分が赤い、だが左目は普通の人間。

口も右半分が悪魔の口のように鋭角に上がっているのに対し、左半分はどこか見覚えのある優しそうな口元。

腕も体も足も右半身は悪魔の体つきなのだが左半身は人間の体。まさに半人半魔という風貌だった。

しかしこのどこか優しそうで人懐っこい、可愛い感じの顔は間違いないと思う。声をかける前に鑑定すると衝撃的な鑑定結果が出た。

【名前】ヨーゼフ・ヴァーリ

【称号】-

【種族】人族・デーモン

【脅威】A

【状態】良好

【年齢】10歳

【レベル】27

【HP】185/185

【MP】752/752

【筋力】87

【敏捷】115

【魔力】148

【器用】120

【耐久】89

【運】1

【特殊能力】槍術(Lv5/D)

【特殊能力】火魔法(Lv9/B)

【特殊能力】水魔法(Lv8/C)

【特殊能力】土魔法(Lv8/C)

【特殊能力】HP回復促進(Lv2/F)

【特殊能力】MP回復促進(Lv3/E)

【特殊能力】魔物召喚(Lv3/F)

【詳細】半人半魔。人の言葉が理解できる。