軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第152話 ホーリー

白い魔法陣から光が放たれ不浄王を包み込むと、明らかに不浄王は苦しがっているように見えた。

口からは唾や涎が出てそれが地面に付着すると、地面からデスナイト達があらわれるが、姿を現した瞬間に白い光に包み込まれて消えていった。

白い魔法陣が消えると光も消え、まだ不浄王はそこに居た。鑑定するとHPが【429/529】となっていた。

与えたダメージは100だったがそれ以上に不浄王へのダメージは大きかったと見える。

さっきよりも必死に俺に対して熱烈な投げキッスならぬ投げ唾を吐きかけてくる。全身から泥が俺に向かって飛んでくる。それが愛情表現だとしたら絶対に間違っているぞ。

「マルス! やったな! ついにホーリーを唱えられたじゃないか!」

アイクがデスナイト達と戦いながら叫ぶ。

「はい! 絶対ここで倒します! どうやらホーリーのおかげでHP回復促進の効果が薄れているようです!」

さっきは怒りながらホーリーを唱えたらホーリーが発現した。だから俺は勘違いをしてしまったのだ。

「ホーリー!」

怒鳴りながら唱えると今度は発現しなかった。あれ? なんで? さっきは出来たのに……何度叫んでもホーリーは発現しなかった……

「マルス! どうした? 焦らなくてもいいんだぞ? このままでもこいつを西リムルガルドから引き離すことができるんだからな!」

確かにアイクの言う通りだ。今日ずっと俺がリルムガルド城下町の方にこいつをおびき寄せれば街の西リムルガルドは安全だ。

俺はさっきホーリーを発現させることが出来た時のことを振り返ってみた。クリスマスイブに不浄王と一緒なんて……

「ホーリー!」

やはり発現しない。もしかしてクラリスか? クラリスの事を考えた。愛情しか湧いてこない……戦場で考えることではないよな……だが一応クラリスの事を考えながら叫んでみた。

「ホーリー!」

すると先ほどと同じように白い魔法陣が出現して白い光が不浄王を包み込む。トリガーはクラリスへの愛情だったのか!

白い光が収まると不浄王のHPが【334/529】となっていた。HP回復促進の効果が薄れたとはいえ少しは回復されてしまったが、それでもホーリーで与えるダメージは100もあった。

耐久値が342もあって魔力も142ある相手に魔法攻撃でこれだけのダメージを与えられるのは僥倖だ。

ホーリーさえ唱えることが出来れば不浄王は楽勝だった。消費MPも雷魔法に比べればだいぶ少ない。

むしろ 未来視(ビジョン) と魔力眼、 風纏衣(シルフィード) の同時展開の方がMPの消費が激しい。

不浄王の残りHPが少なくなるにつれて不浄王に纏わりついていた黒いドロドロも無くなっていった。

黒いドロドロがなくなるにつれて不浄王はかなり俊敏に動くようになったが、それでも 未来視(ビジョン) 、魔力眼、 風纏衣(シルフィード) をフルに使っている俺に触れることは出来なかった。

そして最後のホーリーを唱えると完全に不浄王 は(・) 消滅した。アイクが大喜びで俺の元にやってくる。

「やったな! これで西リムルガルドの脅威はなくなったな!」

「はい。少なくともデスナイト達が襲ってくることは無いと思います。今回は本当にダメかと思いました。その分達成感と充実感が……アイク兄にもいろいろ迷惑をかけて申し訳ございませんでした」

俺は不浄王が居たところ見ると馬鹿でかい魔石ともう1つ白い何かを見かけた……その白い何かはところどころ金色に光っているようにも見える……

近づいてみてみると法衣だった。白い法衣に金色の魔法陣や文字がところどころに浮かび上がっている。すぐに鑑定すると

【名前】鳴神の法衣

【防御】24

【特殊】敏捷+3 魔力+3

【価値】A+

【詳細】雷魔法適正者にしか装備できない。

雷魔法をエンチャントすることによって大幅に敏捷値が上がる。

つ、ついに俺専用の防具が出た。が……これって不浄王の黒いドロドロがずっと纏わりついていたんだよな……なんかこれを装備するのは凄い抵抗が……

もしかしてこの法衣がずっと装備適任者である俺を追っかけまわしていたのか? そして雷魔法が吸収された理由にも納得した。取り敢えず風魔法で魔石と一緒に運ぶことにしよう……

そして脅威度Aの不浄王を倒したことによってレベルも上がった。

【名前】マルス・ブライアント

【称号】雷神/風王/聖者/ゴブリン虐殺者

【身分】人族・ブライアント伯爵家次男

【状態】良好

【年齢】10歳

【レベル】39

【HP】94/94

【MP】6241/8002

【筋力】90

【敏捷】91

【魔力】110

【器用】88

【耐久】82

【運】30

【固有能力】天賦(LvMAX)

【固有能力】天眼(Lv10)

【固有能力】雷魔法(Lv8/S)

【特殊能力】剣術(Lv9/A)

【特殊能力】火魔法(Lv4/E)

【特殊能力】水魔法(Lv5)D

【特殊能力】土魔法(Lv5/D)

【特殊能力】風魔法(Lv9/A)

【特殊能力】神聖魔法(Lv8/A)

【装備】雷鳴剣

【装備】 火精霊の剣(サラマンダーソード)

【装備】偽装の腕輪

神聖魔法の才能がAになりレベルも8になった。そしてステータスもレベルのわりには相当高い。固有能力の天賦のおかげだろう。そして念願の防具も手に入った(まだ装備はしていない)。もしかしたら俺もA級冒険者の下位にはなれるかもしれない。

デスナイト達をひたすら倒していたアイクのレベルも上がっていた。

【名前】アイク・ブライアント

【称号】-

【身分】人族・ブライアント伯爵家嫡男

【状態】良好

【年齢】13歳

【レベル】34

【HP】96/96

【MP】1127/1127

【筋力】75

【敏捷】65

【魔力】42

【器用】44

【耐久】69

【運】10

【特殊能力】剣術(Lv6/C)

【特殊能力】槍術(Lv8/B)

【特殊能力】火魔法(Lv6/C)

【特殊能力】風魔法(Lv2/G)

【装備】 火精霊の槍(サラマンダーランス)

【装備】 火幻獣の鎧(イフリートメイル)

【装備】 火の腕輪(フレイムブレスレット)

【装備】守護の指輪

俺の圧倒的チートステータスに比べてしまうと見劣りするかもしれないが、アイクもかなり強い。もうそろそろ槍術のレベルが上がってもいい気がするが……

急いで西リムルガルドに戻りジークに報告しようとすると、ジークはまだ避難をしていなかったらしく住民を先に避難させていた。

「お父様! ようやく不浄王の討伐が出来ました! こちらが不浄王の魔石となります! 匂いは無いのですが、触るのに抵抗があるため、風魔法でお父様の目の前に置いておきます」

魔石をジークに差し出すと、ジークは何の躊躇いもなく魔石を手に取った。ジークは不浄王を見ていないから抵抗がないのだろう。

「お前たちよくやった! すぐに住民の避難の撤回をするからお前らはもう休め! この魔石は討伐の証明にバルクス王に渡すがいいか?」

俺が頷くとジークはすぐに屋敷から飛び出し、冒険者や住民たちに避難解除を伝達した。

俺とアイクはゆっくり風呂に入り、念入りに装備や身に纏っていた物を洗った。今日はだいぶ疲れたから風呂とご飯を済ませるとすぐに寝ることにした。

2030年12月30日

不浄王を倒してからデスナイト達が出現する事はなくなったが、ジーク達のあとを引き継ぐ後任の冒険者たちもすでにこの街に来ていた。

もうデスナイト達に襲われることはないが、それでも西リムルガルドが完全に安全になったわけではない。

いつリムルガルド城下町から魔物が溢れてくるかは分からない。まぁ今月に入ってからすでにAランクパーティが5つも向かっているから大丈夫だとは思うが……

そしてバンを含めた【蒼の牙】も到着していた。そのままアルメリアに居て欲しかったのだが、国からのクエストを受けている以上、達成の瞬間はここに居ないとダメだろうとの事で帰ってきたのだ。

街の住民たちはジークにずっとここに居てもらいたいようだ。ジークの前に治めていた暫定領主たちはかなりの悪政を敷いていたらしい。どうせ暫定領主だからと言って住民に横暴を働いたりしており、酷い奴は街の女を攫ったりもしたやつが居たらしい。

次の暫定領主は戦闘経験のない貴族らしい。ジークはその貴族に一生懸命引継ぎをして昨日ようやくすべてを引き継げた。今この街にはB級冒険者が200人くらいいる。

この国のB級冒険者の3分の2くらいいるんだという。まぁ本当にB級と呼べるものは50人位だと思うが……

そして朝からずっとお祭りが始まっている。ジークと一緒にクエストをこなした冒険者たちの無事を祝うのと、これからここに滞在する冒険者の無事を願う祭りのようなものだ。

俺とアイクとジークは朝から昼にかけて祭りに参加しただけで、夕方にはすでに荷物をまとめて屋敷で寝ていた。一刻も早くアルメリアに帰るためにだ。クエストは今日の0時までだから0時になった瞬間に西リムルガルドを出発する。

ちなみに【蒼の牙】は祭りに参加している。0時出発ではなく明日の昼に出発するらしい。同じレベルの冒険者と触れ合いたいとの事だ。

2031年1月1日0時

俺とアイクとジークはアルメリアに向けて出発すると、住民たちが深夜にも関わらず俺たちの出発を見送ってくれた。

ジークは戦闘の才能より統治の才能があるようだ。今から昼夜問わずひたすら西へ進む。馬にヒールをかけてひたすら西へ、ヒールが効かなくなってきたら、街で馬を乗り換えてそれぞれの愛する女性に会うために強行軍で帰る。

宿にも泊まらず馬車の中で睡眠をとる。飯も馬車の中で携帯食を食べる。俺とアイクが交互に御者をし、とにかく西進する。

アルメリアに着いたのは3日後の1月4日の深夜だった。