軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第147話 ジークの頼み

突然の出来事にびっくりした。急にジークが頭を下げたのだ。するとアイクが

「父上。頭をあげてください。僕たちにできる事なら何でもしますよ」

アイクの言葉にジークは申し訳なさそうに

「みんなの力を借りたいんだ……ここの防衛の事もあるが一番はアルメリアとイルグシアの事だ。こっちに俺とバンが来てしまって、【赤き翼】がいなくなった今、アルメリアには【黒い三狼星】と【蒼の牙】のバン以外のメンバーしかアルメリア迷宮の2層に潜れる者がいない。マリアも産後であまり動けない……リーナの事もある。大丈夫だとは思うが不安でな……」

もう生まれていたのか……

「お義父様。男の子ですか?女の子ですか? 名前は?」

クラリスが少し興奮しながら聞くとジークが少し照れ臭そうに

「男の子だ。カインという名前だ。カイン・ブライアントいい名前だろ?」

ジークの言葉にみんなが賛同する。

「ではお父様こういうのはどうでしょうか? 僕とアイク兄がここに残って西リムルガルドの防衛を手伝います。クラリスとエリー、 義(・) 姉(・) さ(・) ん(・) の3人はアルメリアに行ってもらいます。

なぜこのように分けたかと言うと、実は僕とアイク兄はもうB級冒険者です。ですから僕たち2人はここにいてもいいかと。そしてお母様の身の回りには女性が必要でしょう。奴隷の女性でもいいですが、気の許せる……信頼、信用できる女性も必要だと思います。

それに戦闘面でも僕とクラリスは別々になった方がいいと思います。理由はお父様もお分かりでしょう。そして僕と 義(・) 姉(・) さ(・) ん(・) も別れた方がいいかと思います。 義(・) 姉(・) さ(・) ん(・) はある程度の鑑定ができますから」

俺が眼鏡っ子先輩の事を義姉さんと強調して言うとクラリスも

「私とエリーと 義(・) 姉(・) さ(・) ん(・) だったらアルメリアの2層までは潜れるわね」

と同意してくれた。エリーも

「……私……クラリス…… 義(・) 姉(・) ……大丈夫……」

ボソッと言った。俺たち3人の言葉を聞いたジークは苦笑いしながら

「もう3人とも篭絡済みか……いや、アイク、エーディンさん。先日は本当にすまなかったな……まさかアイクが王族との縁談を断るとは思わなくてな……王族との結婚がアイクにとって一番幸せになれると思っていたんだが……俺も動揺してしまってな……」

アイクと眼鏡っ子先輩に向かって言った。

「僕とエーデの事を認めてくださるんですか!? 父上!?」

アイクはとても嬉しそうにジークに聞くと

「前向きに検討しよう。決して反対というわけではないぞ? エーディンさんのご両親としっかり話をしなければな」

この言葉に俺たち5人は大喜びし、眼鏡っ子先輩に至っては泣いていた。よっぽど不安だったんだろうな……アイクはみんなの前だというのに眼鏡っ子先輩を抱きしめていた。アイクの頬にも涙がこぼれていた。

「本当にすまなかったな。お前達2人を苦しめていて。去年この話を聞いた時にマリアは賛成だったのだが、どうしても俺が王族との結婚の方がアイクの為になると思ってしまってな……いや……少しはブライアント家の事、陞爵の事も頭を過ったことは確かだ。

だがマリアや今は亡き【赤き翼】、そしてバンにもアイクの好きにさせた方がいいと……子供の幸せは子供自身が決めるべきだと……そう言われて俺もハッとしたよ……俺も若い頃そうだったなと……」

ジークが少し落ち込んだように喋りながら言うとアイクが

「ありがとうございます。僕のことを考えてくれて……だけど僕にはエーデしかいないと思っております」

きっぱり眼鏡っ子先輩と抱き合いながら言った。なんかいい事言っている気がするんだがその恰好では……その言葉を聞いたジークが少し気まずそうに

「話を変えてしまうのだが本当にアイクとマルスはB級冒険者なのか?」

アイクはまだ眼鏡っ子先輩と抱き合っており、あまり邪魔したら悪いので俺が答えた。

「本当ですよ。能力的にはクラリスとエリーもB級冒険者レベルだと思います。だからアルメリアの方も安心してかまわないと思います」

「そうか! 良かった……あとエーディンさん……エーディンはもしかしたら魔眼持ちなのか?」

眼鏡っ子先輩はジークに質問されるとアイクを振り払い

「はい。私は束縛眼という魔眼を持っております。ちなみに私はジーク卿と同じ土魔法使いです」

「そうか……凄い才能の持ち主なんだな……後でエーディンの事を色々教えてくれ。アイクに紹介された気はするんだが、恥ずかしいことだがあまり覚えてなくて……」

この言葉に眼鏡っ子先輩が嬉しそうに頷いた。

今日は西リムルガルドに泊まることにした。明日の朝、俺とアイクで女性陣3人を安全な所まで送り届けるという話になった。

俺が提案したのだがやはり6歳からずっと一緒にいたクラリスとエリーの2人と急に離れ離れになるのは寂しかった。

それは2人も一緒のようで今日このまま西へ向かうのではなく、今日はゆっくり3人の時間を過すことにしたのだ。

ジークを含めた6人でしばらく話をしていると、先ほど退出していたバンが屋敷に入ってきて

「ジーク様! また来ました! 今回も100体ほどいると思われます」

バンの報告を受けたジークは

「またか……とりあえずいつも通り専守防衛だ。後方から魔法を撃って弱ったところを叩こう。怪我人は出さないように。死傷者なんてもってのほかだ」

ジークの指示を聞いたアイクが

「父上! 僕とマルスにやらせてください! 少しは成長した姿を見せたいのです!」

大きな声で少し興奮した様子でジークに言った。アイクはとても気合が入っている。

「……さすがに2人では危ないだろう……それはダメだ」

まぁ無理はないだろう。自分の息子を脅威度B、Cの魔物の群れの中に突っ込ませる親なんてそうはいない。アルメリアの迷宮でも100体同時に戦うなんてことはなかったから、ジークも心配しているのだろう。

「お義父様。私たちも見張りの所で見張っているというのはどうでしょう? 先ほど私たち5人で100体近くの魔物を倒したと思うのでいざという時に備えておくのは?」

クラリスがジークに言うとジークが渋々頷いた。すぐに俺たちは街に出ると冒険者たちがそれぞれの持ち場に向かう所だった。

「みんな! 少し聞いてくれ! 今からこの2人が魔物たちと戦う! 危なくなるまで手を出さないでくれ!」

ジークが冒険者たちに言うと冒険者たちが「殺す気か!?」「その2人は誰だ!?」「そんな命令飲めない!」と冒険者たちは次々とジークの命令に反対の意思表示をした。まぁ目の前で人が死んだら目覚めが悪いよな……

「2人とも俺の息子だ。さっきの魔物たちも2人で倒したらしい! 俺としても信じられないから確認のためにやってもらう! もしも2人で倒せるのであればこれからの防衛もだいぶ楽になる! もちろん危なくなったら助ける! 異論は認めない!」

少し盛ったな……さっきは5人で戦ったが……ジークの言葉に50人以上の冒険者たちが渋々頷く。

50人以上のB級冒険者を軽く鑑定してみたが、B級と呼ばれるような冒険者(レッカやサーシャ、ライナークラス)は1人もここにはいなかった。

もっとしっかり特殊能力まで鑑定すればいるのかもしれないが……それにしてもB級冒険者と呼ぶのには少し無理がある気がする……しかも魔法使いはほとんどおらず、いてもバルクス王国の魔法使いなだけあってMPがとても低かった……

「では行きます! 見守っていてください!」

アイクがジークやほかの冒険者たちに叫ぶと俺たち2人は街の外郭に設けられている見張り台から飛び降りて街の外に出た。

西リムルガルドの少しの距離の所に先ほどのデスナイト、デスアーミーに加えてデスハウンドという真っ黒な犬?のような魔物もいた。涎を垂らしていてなんか気持ち悪い風貌だった。

【名前】-

【称号】-

【種族】デスハウンド

【脅威】D

【状態】良好

【年齢】1歳

【レベル】2

【HP】20/20

【MP】1/1

【筋力】14

【敏捷】26

【魔力】8

【器用】5

【耐久】12

【運】1

【詳細】神聖魔法にとても弱い

今の俺やアイクからすればただの犬っころだ。デスナイトが10体、デスアーミーが80体、デスハウンドが40体……俺とアイク、どちらがどれを倒すと話し込んでいると西リムルガルドの見張り台の上から冒険者の人達が

「デスナイトは2人でかからないと負けるぞ!」

「デスアーミーはなるべく1対1の状況を作って1体倒すのに1分を目標に!」

「デスハウンドはとにかく的が小さくてすばしっこいから気をつけろ!」

必死にアドバイスをくれている。

アイクとの話し合いの結果、俺がデスナイトとデスナイトに至るまでの敵を倒すことにしてアイクはその他の敵を倒す事となった。

「久しぶりにマルスが剣を抜く姿を見られるな」

「昔とあまり変わっていませんよ」

アイクの言葉に答えると俺は雷鳴剣と 火精霊の剣(サラマンダーソード) を抜いた。それを見たアイクが

「どうして2本抜くんだ?」

不思議そうに聞いてくる。もしかしたらアイクは二刀流と言う言葉を知らないのか?

「今の僕は2つの剣を同時に操って戦うスタイルなのです。慣れるのに苦労しましたが、慣れてしまえばこっちの方が戦いやすいです」

「短剣で2本持つのは見たことあるが……楽しみに見てみるよ……」

俺の言葉にアイクは驚いていた。俺たちは見張り台から応援してくれているジークと冒険者たちに向かって手を振り、激励にこたえると2人で100体以上の魔物の群れに突っ込んだ。