軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

8.コボルト討伐依頼②

「おらあああ!」

ゲレロの持つ槍に胸を貫かれて地面に崩れ落ちるホブコボルト。

「相変わらずの盾チク攻撃。地味だなあ」

『守り抜く』の連中基本盾で攻撃を受けて槍でチクチク突いていく、いわゆる『盾チク』攻撃が得意で安定はしているんだが、いかんせん派手さがない。地味だ。

「ああ!?ベイル!てめえ俺の華麗な一撃にケチつけんのか?見てみろ、蜂のように刺したこのきれいな一撃をよ!トレオンみたいに傷だらけにしてねえんだぞ」

見るとトレオンがシミターを持ちホブコボルトの周りを走り回っている。そのホブコボルトは体の至る所から血を流しながらも必死にトレオンの動きについて行こうとするが、全く追いついていない。

「ああ!?ゲレロ何か文句でもあんのか?お前と違って俺は攻撃を全て躱したんだぞ。まさに蝶のように舞いって奴だ。お前には真似出来ねえだろ?」

ホブコボルトにトドメを刺したトレオンがシミターに着いた血を払いながらゲレロに文句を言っている。その風体は正に山賊。

「あーあ。何ともレベルの低い話をしてんなあ。それでもベテラン3級と4級の会話かよ」

そこに俺が参戦だ。全くこいつらはこの程度で何をいい気になっているんだか。その伸びた鼻っ柱をへし折ってやんねえとな。

「ああ!?ベイル!てめえ何、上からもの言ってんだ!」

「てめえみてえに棒振り回しているだけの奴に言われたくねえよ!」

・・・・・・ほう、こいつら俺の実力を忘れたみたいだな。脳味噌の容量が鶏と同じかよ?仕方ねえ。俺の実力をまた見せつけてやるか。

「はいはい、言ってろ、言ってろ」

馬鹿二人の言葉を適当に流してホブコボルトに近付いていく。ティッチの所の奴らが相手にしているのを一匹貰うか。

「そいつは俺が貰うぜ」

ティッチの所の奴らと相対していたホブコボルトに向かって投げナイフを投げる。この投げナイフ、柄に穴が空いていてそこに紐が結ばれている。その為、ナイフを投げた時にこの紐を掴んでおけば見当違いの場所に投げても無くす事は無い。良く考えられた投げナイフ。『絶対に無くさない投げナイフ』。通称『 絶無投(ぜつなな) 』だ。ちなみに俺が開発した。

この名前を思いついた時は自分の才能に驚いたね。だって『絶無投』だぜ。厨二心をくすぐる凄いかっけえ名前だ。

「おっ!『貧乏ナイフ』だ」

「ベイルの奴まだ『貧乏ナイフ』持ってたのか?3級で使ってんのあいつだけじゃねえ?」

‥‥

・・・・・・・・・・・・あいつら何言ってんだ?『貧乏ナイフ』ってくそだせえ名前何だよ。‥‥えっ?もしかして『絶無投』の事?

「お前らふざけんなよ!こいつは『絶無投』だ!『貧乏ナイフ』なんてクソだせえ名前つけんじゃねえ!」

「って言われてもよ。みんな『貧乏ナイフ』って言ってるぜ」

「そうそう、たかが100ジェリー程度の投げナイフに、ロスト対策してんのよっぽど金無えんだなって事で『貧乏ナイフ』って呼ばれるようになったんだったか?まあ、でも実際金が無え無級や1級は重宝してるみたいだぜ」

・・・・・・え?マジ?俺の『絶無投』そんなだせえ名前で呼ばれてんの?

動揺する俺だけど、ナイフが刺さったホブコボルトはそんなの関係ないとばかりに怒って俺に襲い掛かってくる。

「ちぃ!」

『貧乏ナイフ』の事で頭が一杯の俺は防戦一方だ。

「おいおい、ベイル。お手本見せてくれるんじゃねえのか?」

「カカカ、助けて欲しかったら言えよ。このトレオン様がすぐに助けてやるからよ。あ!助け代は5万ジェリーで」

俺が防戦一方なのをゲラゲラ笑ってみている二人。こいつら絶対助ける気ねえだろ。取り敢えずナイフの事は後で考えるとして、今は調子に乗ってガンガン攻撃してくるこのホブコボルトだ。

「てめえ!あんまり調子に乗ってんじゃねえぞ!」

振り下ろされる剣を俺の愛用のこん棒で大きく弾いて、一度距離をとる。

「ゲレロ!トレオン!今までは準備運動だ。今からが本番だからよく見とけよ!」

そう叫んでから俺はホブコボルトに向かって駆け出す。それを見たホブコボルトは剣を振り上げて構えをとるが、俺は気にせず距離を詰める。

「蝶のように舞い!」

振り下ろされる剣をヒラリと躱す。今まではこん棒で必ず受け止めていたから今度も同じだと思っていたんだろう。だが、予想と違いきれいに攻撃を躱されたホブコボルトは一瞬だけ動きが止まった。そこに、

「蜂のように刺す!!」

ホブコボルトの頭に向かってこん棒を振り下ろす。

何かが潰れる感触と共に骨が砕ける音が伝わるとホブコボルトは地面に崩れ落ちた。まあ、こんなもんだ。見たか、ゲレロ、トレオン、こうやって華麗に倒すのが粋ってやつよ。

「「刺してねえじゃん!」」

二人から同じ突っ込みが入る。

「俺の獲物こん棒だぞ!刺せる訳ねえだろ!それよりも見たか!華麗に躱して一撃で屠る。お手本のような倒し方だっただろ?今度から真似していいぞ」

「ふざけんな!俺の方がよっぽどキレイに倒してんじゃねえか!お前の倒した奴見ろよ。血とか脳味噌が飛び散って汚ねえ事になってんじゃねえか」

「大事なのは倒し方だろ。俺みたいに攻撃を躱して一度も攻撃を受ける事なく倒す。攻撃を受けるなんて2級でも出来るぜ」

「お前ら!真面目に働け!」

3人で言い合っているとティッチの所のメンバーが怒ってこっちに向かってきた。だが、周囲の様子に気付いた瞬間驚きの声をあげる。

「・・・・・・ええ?これ、お前らがやったの?」

周りにはホブコボルトの他にもコボルトの死体が大量に転がっている。まあ、あれだけ大声で騒いでいれば集まってくる。コボルト程度だと相手にもならねえけどな。

「うん?ああ、まあこの程度鼻くそほじりながらでも余裕だ」

「おいおい、それよりも俺達3人の闘い方だとどれが一番だと思う?攻撃を受けねえのが一番だよな!」

「当然、俺だろ!蝶のように舞い蜂のように刺す!こいつらの倒し方の良い所全部詰まっているからな」

「ふざけんな!パクリ野郎!どっちつかずが一番性質が悪いんだよ。今回はホブコボルトだから何とかなったが、これがオークならお前死んでるぞ?」

「お?やるか?今度オークでこれが出来たらお前ら負けを認めるって事だな?」

「ばーか。俺はオーガでも同じ事が出来るっての!」

「口だけなら何とでも言えるわなあ」

今にも3人で殴り合いが始まりそうな空気だったが、ティッチとクワロがやって来てその場を抑えてくれた。

「全く、お前ら!コボルトじゃなくて味方と戦おうとするな!」

「しかしなあ、ティッチ。騒いでいたおかげでコボルトがこいつらに集中したんだ。あんまり怒ってやるな」

「クワロは甘いぞ。こいつらは少し真面目になった方がいい」

なんか討伐そっちのけで説教が始まりそうな空気だな。だけど今は説教受けている場合じゃねえ。話を逸らして大事な事を聞かねえとな。

「ティッチ。そんな事よりも今から巣に突入すんだろ?さっさと準備した方が良くないか?

「言われてみればそうだな。話は後にしておこうか」

「そんでこいつは何か分かるか?」

そう言って俺が取り出したのは『絶無投』。真面目なティッチなら正式名で呼んでくれるだろう。

「ん?それは『貧乏ナイフ』だろ?それがどうかしたのか?ベイルは何でそんなもの持っているんだ?」

・・・・・・

ティッチは駄目だな。って事でもう一人の頼れるリーダー『守り抜く』のクワロなら絶対知っているはずだ。

「クワロ。お前ならこいつが何か分かるだろ?」

「ティッチが言ったけど『貧乏ナイフ』だろ?それ以外に見えないぞ?違うのか?」

・・・・・・

「お前らに聞いた俺が馬鹿だったよ!さっさと巣に潜ってこい!バカヤロー」

「お、おい、ベイル。何で泣いているんだ?私はいつの間にか君に何か酷い事言ったのか?」

「・・・・・・ティッチ。取り敢えずその話は全部終わってからにしよう」

そう言って二人はメンバーを集めて突入の細かい打ち合わせを始める。

くそ。くそ。やっぱり俺より先に組合員になっている奴らに聞いても使った事がないから駄目だ。無級か1級の奴らなら実際に使っているからちゃんとした名前知っているだろう。