軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第十一話 百足坑道の主

ひとまず俺達は〈百足坑道〉の〈夢の主〉……ロックセンチピードこと岩蜈蚣のいる扉の前まで来ていた。

ルーチェは自身の〈ステータス〉を開きながら、俺の方を見る。

「よ、よしっ! 〈愚者の曲芸〉に入れちゃいますね?」

「ああ、〈愚者の曲芸〉の【18】で手に入るスキルは、どの型の道化師にとっても大きな武器になる」

ルーチェはこの〈百足坑道〉で、【Lv:39】から【Lv:47】へと上がっていた。

現在、スキルポイントは【11】余っている。

これならば〈愚者の曲芸〉で、新しい有用なスキルを入手することができる。

特にここで手に入るスキルは岩蜈蚣に対しても有効なのだ。

岩蜈蚣対策についてルーチェに話していた中で、ここで〈愚者の曲芸〉にスキルポイントを振っておくべきだと提案したのだ。

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【スキルツリー】

[残りスキルポイント:3]

〈愚者の曲芸[18/100]〉【+8】

〈豪運[30/70]〉

〈攻撃力上昇[0/50]〉

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ルーチェがスキルポイントを割り振った。

「おおっ! 〈曲芸連撃〉っていうスキルを取得できました!」

〈愚者の曲芸〉の【18】、〈曲芸連撃〉。

変則的に回転しながら敵にナイフで斬り掛かるスキルだ。

持ち前の速度を活かし、相手の隙を見つけて一気に手数を増やして畳み掛ける、道化師の戦い方の中心となり得るスキルである。

特に今は〈黒鋼ナイフ〉のお陰で攻撃力がそれなりの値になっているので、上手く決めれば一気に大ダメージを稼ぐことができる。

「スキル詳細でざっくりとはわかっているだろうが、一度試しておいた方がいい。地面を足で弾いて自身を宙に押し上げた後、その勢いにマナを乗せて回転の速度を保つイメージだ」

「なるほど……わかりました! ちょっと試してみます!」

ルーチェが地面を蹴り、ナイフを振るいながら素早く身体を回転させる。

三回回ったところで、地面に足を付けた。

少しバランスを崩して転び掛けたが、すぐに持ち直した。

「問題はなさそうだな」

「手数は確かに増やせそうなんですけれど、どうしても終わった後に隙ができてしまいそうですね……。ミスリルゴーレムに使っていたら、返しの一撃で吹っ飛ばされていそうな気がして」

ルーチェがぶるりと身体を震わせる。

「そこは慣れて使い所を見極めていくしかないな」

〈曲芸連撃〉に限らず、この手の連撃系のスキルは終わり際に隙が生じやすい。

それに〈曲芸連撃〉は速く、変則的な分、細かい動きをスキル発動者自体が制御しきれないというデメリットがある。

相手が動きを読んで対処すれば、手痛い一撃を叩き込まれることもあるだろう。

この手のスキルは強力ではあるが、それ故に弱点も大きい。

「ただ、今回に限っては安心してくれ。岩蜈蚣には、明確に連撃系スキルを叩き込める隙がある」

「明確な隙……?」

俺は笑みを浮かべ、ルーチェへと岩蜈蚣との戦い方について説明した。

「た、確かに、それが決まれば簡単に倒せちゃいそうですね……」

「今のレベルなら、正直失敗する余地がない。岩蜈蚣は、倒し方さえわかっていれば、かなり楽に倒せる〈夢の主〉だ」

俺は大きな扉を押し開け、岩蜈蚣の待つ〈 夢の穴(ダンジョン) 〉の最奥部へと向かった。

扉の奥には、今まで以上に大きな空間が開けている。

地面は凹凸が多く、巨大な岩塊が辺りにいくつもあった。

「〈 夢の穴(ダンジョン) 〉の最奥部に入るなんて、これが初めてです」

「エンブリオのときは〈 王の彷徨(ワンダリング) 〉だったからな」

俺もこの世界では初めてだ。

〈 夢の穴(ダンジョン) 〉の最奥部は、その〈 夢の穴(ダンジョン) 〉と〈夢の主〉を象徴するようなデザインになっていることが多い。

ここ〈百足坑道〉の最奥部は、巨大な鍾乳石が天井から伸びており、足許には綺麗な緑色をした水が薄っすらと張っていて、なかなか幻想的な美しい場所となっている。

やはりゲームで見たときよりもずっと迫力がある。

もし地球にこんな絶景があれば、世界遺産に登録されていたことだろう。

「……なんて、風景を楽しんでいる余裕はないんだがな」

「ジ、ジジジジ、ジジジジジジジ……」

不気味な鳴き声が周囲一帯に響く。

天井を見上げれば、灰色の甲殻を持つ、岩塊のような巨大蜈蚣が天井に這っていた。

全長、十五メートルはあるだろう。

「主様がお出ましだな」

「ジジジジジジ……!」

轟音と共に、岩蜈蚣が俺達の前へと落下してきた。

巨大な顎が、その延長線上に俺とルーチェを捉える。

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魔物:ロックセンチピード

Lv :60

HP :156/156

MP :71/71

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ロックセンチピード……通称岩蜈蚣。

圧倒的なHPに、高い攻撃力、防御力、そして突出した素早さを有する。

攻撃手段も遠近両方備えており、その巨体も合わさって〈夢の主〉に相応しい威容を持つ。

何かがほんの少し違えば、きっと凶悪な難敵となり得たのだろうと、〈マジックワールド〉プレイヤー達から惜しまれている〈夢の主〉である。

〈マジックワールド〉のシステム上、レベルが高く倒しやすい魔物は重宝されているため、そういう面で初心者プレイヤー達からの人気が高い。

「さくっと倒して経験値とアイテムをいただいたら、とっとと都市ラコリナに戻らせてもらうとしようか」