軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第139話

前置きもなく始まった久志羅ムイの質問攻めの時間。

それでもすぐに天職分析に必須な項目なのだとテンジは理解し、落ち着いて椅子に座り直してから質問に答えることにした。

最初はいたって普通の何気ない質問から始まり、つっこんだ質問が始まった。千郷がざっと天職についての概要を説明すると、久志羅はすぐに武器と地獄獣に興味を示した。

それらの説明も終え、次に行ったのは体中に心拍数などを測る機器を取り付けて体をすっぽりと覆う機械の中にぶち込まれた。その後も併設されていた小さな運動測定場で走ったり、ジャンプしたり……と、協会のライセンス発行時よりも細かな点を分析するように様々な項目を素早く調査していき、目に見える数字として出力していく。

そうして三時間ほどだろうか。

全部の分析項目が完了し、テンジは再び久志羅と向かい合うように椅子へと座り直していた。

冬喜と千郷はすぐ後ろで各々自由に過ごしており、久志羅先生はじっと食い入るようにモニターに出力された数字やグラフを見つめている。

テンジにはそれらを見ても何がなんだかさっぱりわからなかったが、久志羅には重要な数値になるらしい。

「詳しい分析結果は後日送るけど……もう大体の基礎値は分かったやん」

ギャル姿なのにあまりギャルらしくない三重弁で話す久志羅に、テンジは少しずつ慣れ始めていた。当たり前のようにうんうんと頷き、次の言葉を待つ。

結果が出たということで、後ろの二人も眠たそうな顔からきりっと真面目な表情へと変わった。二人もずっと結果がどうなるのか気になっていたのだ。

そして久志羅が途中から付けていた眼鏡を「ふぅ」と言ってから外し、デスクの上へと置いた。それからくるりと体の向きをテンジへと変え、椅子の背もたれに背中を深く預けて言った。

「今のライセンスは五級なんだよね?」

「はい、ずっと前に測ったやつですが」

「詐欺もいいところやん。今、更新すればすぐに一級探索師のライセンスを渡されるはずだよ。たったの半年ほどでこの成長は少し異常やん」

久志羅はパソコンの数値やグラフを指さしながら、ぶつぶつと結果を呟いていく。

「まだ零級探索師のデータは冬喜くんと学長、あとはオーブラカのしかないからはっきりとは言えないけどさ……テンジくんの天職は十中八九あれやん」

「あれ、とは?」

テンジはごくりと息を飲み込んだ。

「零等級天職よりもさらに上の等級を持つ……新等級ってことやん。これほどの逸材が近くで埋もれていたなんて、世界はまだまだ広いってことか」

「そんなことまでわかるんですか?」

「私ならね。世界中でも天職についての膨大なデータを持っているのは、私ともう一人の研究者くらいしか思いつかないね。それらを全部比較しても、テンジくんの成長はさらに数段上の成長速度を示しているやん。まぁ、端的に言うと君が異常だってことだよ」

久志羅という研究者は、テンジの想像の何倍も優秀だった。

このまま身を任せれば特級天職や地獄獣についても、詳しい分析ができるのではないか。そんな期待を抱き始めるテンジがそこにはいた。

たった三時間ほどの測定。

それでも明らかに協会のライセンス時計測を超える何かを導き出していたのだ。それをたったの三時間ほどで、これほどの結果を導き出した久志羅の知識量と蓄積データ量は正直馬鹿にできないレベルだった。