軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第128話

クリスマスだと言うのにも関わらず、テンジは第62階層で訓練を行った。

ここ最近レベルが上がったことで、体中に力みを加えた状態の身体能力がまた一段と向上し、その身体能力の高さにいまだ慣れていなかったのだ。だから、休日返上ですぐにでも慣れの訓練をしたかった。

レベル5ともなると平均ステータスが5000を超え、攻撃と防御に至っては1万近い数字となっている。この歪なステータス構成に慣れるためにも、適度な慣らし訓練が必要になるのだ。

そうして今日も今日とて、実りのある慣らし訓練を終えたテンジたちであった。

炎鬼先生と雪鬼先生、小鬼くんと小鬼ちゃんの四体には常に傍についてもらい、他の地獄獣たちは今まで通りの狩りを継続してもらうよう指示を出した。

その甲斐あってか、今日は昨日よりも少しだけ経験値効率が高くなったのだ。テンジという主が狩りに加わったからなのか、ただ地獄獣たちを放置するよりもずっと効率があがった。

そして千郷とテンジは、夜のムーディーなクリスマス街となったトュレースセントラルパブロのメインストリートに戻ってきていた。

テンジはキョロキョロと初めての文化に目を輝かせ、千郷は何かを考えこむように珍しく俯きながら家路へと着いていた。

そんな時だった。

千郷がふと夜空を見上げ、徐に語りだしたのだ。

「そっか、おじさんのところにもコウノトリが来るんだね」

「コ……コウノトリ?」

「ずっと考えてたんだ。おじさんのところに来るコウノトリって、どこから来るんだろうって」

突然口を開いたと思えば、千郷は訳のわからないことを言いだしたのだ。

テンジは思わずぽかんと口を開けて、宇宙人でも見たかのように千郷を見つめながら固まってしまう。

「ねぇ、テンジはコウノトリが世界のどこから子供を運んでくるか知ってる? オーストラリアかな? それともカナダとかなのかな? 日本にもいるのかな?」

「そ、それは……」

まじかよ、千郷ちゃんまじかよとテンジは内心で冷や汗だらだらな状態だった。

いや、今に思えば確かに千郷はそういった話を一度もしたことはない。むしろ興味がないのだと、テンジはずっと思っていた。

しかし真実は思わぬ方向からやってくるとは、よく言ったものだ。

(まさか、千郷ちゃんがここまで素直に育ってきた子だったなんて。……もうすぐ20歳になるっていうのに。海童さん……どうしてこんな子に育てたんですか?)

真夏のクリスマスの夜に、空に浮かぶ黄色い月に向かってテンジは思う。

「知らない?」

「……その…………冬喜くんなら知ってると思う」

テンジはぷいっとそっぽを向き、他人に責任を擦り付ける形で冬喜の名前を出したのであった。

そしてテンジは心の中で何度も平謝りする。

(冬喜くん、ごめん! あとは頼んだ! 千郷ちゃんももう20歳だし、そろそろ知ってもいい頃だと思うんだ。というか知らないとダメなやつだ!)

テンジの瞳には、月と重なって冬喜の慌てる姿が見えていた。