軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第116話

炎鬼と雪鬼。

彼らは等しく 地(・) 獄(・) の(・) 四等級地獄獣である。

テンジのレベルが5に達した時に、彼らと出会う二つの地獄クエストが現れた。

その地獄クエストを、テンジは丸三日かけて攻略してみせたのだ。

平均ステータス値は小鬼の10倍近くであり、平均で3000というところだろう。純粋にステータス値だけを見ると、二級探索師以上、一級探索師未満の強さを持っていることになる。ただし、これはあくまで地獄獣を地球の階級制度に無理矢理に当てはめた場合ということになる。

実際の強さは、もっと桁違いに強いはずだ。

テンジのステータス値に影響する彼らのステータス付加値は、ちょうど小鬼の2倍の数値で、一体につき50の付加値が追加される。

これに関してテンジはとある推測を立てていた。

・赤鬼種では、ステータス付加値が『攻撃力』に寄る。

・青鬼種では、ステータス付加値が『防御力』に寄る。

地獄獣の『種』によって、ステータスに付加するが項目が決定されているという推測であった。

【赤鬼種】である小鬼と炎鬼はどちらも『攻撃力』に付加値が設定されており、唯一の【青鬼種】である雪鬼は『防御力』に付加値が設定されていたのだ。

まだまだ三体の地獄獣しか判明してはいないが、ここには一定の法則があるように思えた。

そう推測を立てるとだ。この『獄獣召喚』という天職には、まだまだ地獄獣の種類が増える可能性ってのが十分に考えられた。

閻魔の書に記されているステータス値の項目は合計で七つ存在する。『HP』『MP』『攻撃力』『防御力』『速さ』『知力』『幸運』の七項目だ。

現状では【赤鬼種】は『攻撃力』に、【青鬼種】は『防御力』に膨大な付加値を加えている。そう考えると、まだ付加値の設定されていないステータスのパラメーターが『HP』『MP』『速さ』『知力』『幸運』の五つが残っていることになる。

そこからテンジは、最低でもあと五つの地獄獣の『種』が増えるのではないかと予想を立てた。このまま鬼だけが増えていくのか、はたまた鬼以外の何かが現れるのか。

炎鬼や雪鬼の小鬼との違いは、なにもステータスだけではない。

会話が成り立つ、これが最も重要なことであった。

「炎鬼先生、雪鬼先生。昨日契約したばかりで申し訳ないんだけど、早速先生方の戦い方を教えてほしいな。特に天星スキルについて」

「あの~、わかりました」

「帰りたい……まぁ、うん」

炎鬼はどこか社畜のような性格をしていて物腰が極端に低い。

雪鬼は「帰りたい」が口癖……というよりも枕詞みたいのようで、その後に本心を話してくれる。

二人とも癖がかなり強いが、それでも会話ができることは大きな進歩の一つであった。

† † †

――少し前の早朝。

「よし! 昨日は地獄クエスト二連続の影響で思いのほか疲れてできなかったけど……今日から本格的な検証を始めよう! 新たな地獄獣も二体増えたし、楽しみだな」

テンジは朝早くに起床し、庭先で軽く準備運動を終えたばかりであった。

そんな清々しい朝を迎えていたテンジは、ゆっくりと息を吸い込み、燦燦と日照りを垂れ流す太陽を見上げた。

前期実技テストが終了した次の日から、テンジは丸三日間の休みをとることに決めた。

そうはいっても単なる休みではなく、地獄クエスト攻略のための忙しい休みであった。いや、休みというには些かハードすぎる運動が必要だったのだが。

テンジは実技テストの最後に戦ったブラックケロベロスを倒したことで、経験値9056を獲得した。どうやら一等級モンスターともなると、経験値量が見たこともない莫大な数値になるらしいのだ。これは良い発見であった。

テストを受ける直前には経験値が『616,776/625,000』となっていたため、たった一体のモンスターを仕留めただけで、すぐにレベルが5へと上がった。

《獄獣召喚》にとっては5の倍数というのが転換点なのか――それは定かではないが、閻魔の書には今までとは比べ物にならないほどの変化が起きていた。

「まずはステータスの精密な差異から確認していこう」

テンジは庭先に作られた、千郷がお気に入りの白い木製ブランコに揺られながら、閻魔の書をジッと見つめる。

――――――――――――――――

【名 前】 天城典二

【年 齢】 16

【レベル】 5/100

【経験値】 1,011/3,125,000

【H P】 5036(5020+16)

【M P】 5016(5000+16)

【攻撃力】 10,146(10,130+16)

【防御力】 10,155(10,139+16)

【速 さ】 5028(5012+16)

【知 力】 5063(5047+16)

【幸 運】 5045(5029+16)

【固 有】 小物浮遊(Lv.8/10)

【経験値】 13/182

【天 職】 獄獣召喚(Lv.5/100)

【スキル】 閻魔の書、獄命召喚

【経験値】 1,011/3,125,000

――――――――――――――――

この1ページだけでもいくつもの変化が見られた。

早速テンジはスマホのメモ帳機能を使って、変化項目を記していく。

・レベルが『4』から『5』へ。

・必要経験値が『625,000』から『3,125,000』の5倍に。

・ステータス基礎値が平均で1000上昇。

・小鬼と炎鬼の攻撃力付加値が合計『4875』まで増加。

・雪鬼の防御力付加値が合計『4850』に増加。

・第二のスキル【獄命召喚】の追加。

ざっと六箇所の変化があったことになる。

この変化量は今までのレベルアップとは比べ物にならない。その事実にテンジは有無を言わせない高揚感を味わっていた。

ようやく、ようやくなのだ。この三ヵ月と少し、努力を怠らずに頑張って良かったと思える結果が目に見えて現れたのは。

(改めてみると凄いな……これがレベル5へのレベルアップによる恩恵か。今までとはケタ違いだ)

レベル上昇に伴い地獄領域の数も増え、格段に地獄獣によるステータス付加値が増加した。

結果――攻撃力と防御力に関しては、他の値よりも二倍近い差が開いてしまったのだ。

まだ検証は行っていないが、この二つのパラメーターに関してだけ言えば、すでに一級探索師を超えているだろうとテンジは推測している。

今までの感覚的な検証では、ステータスと探索師等級にはこんな相関図が分析できている。

・平均ステータス値1000程度で、ベテラン三級探索師相当。

・平均ステータス値2000程度で、ベテラン二級探索師相当。

・平均ステータス値7000程度で、一般的な一級探索師相当。(一級探索師レベルだと噂されている冬喜比較のため定かではない)

・五級、四級探索師については不明のまま。

(こう見るとあと2レベルくらいで、一級探索師の足元には届くことになりそうだね。まぁ、技術力に関して言えば、まだまだ及ばないんだろうけどさ)

実力と技術力に関してはまた別の話だ。

今は絶賛千郷に鍛えられている最中なので、ゆっくり時間をかけて訓練していくしかない。

そんなことを考えながら、テンジは他の変化箇所を続けて確認していく。