軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第四十九話 色鮮やかな思い出話

コルネロ山まで向かう道中、俺は【鉄の歯車】さんたちのパーティ結成秘話を教えてもらった。

どうやらこの四人は、王都にある士官学校なる兵士になるための学校の出らしく、その学校で四人は出会ったのだが、とある事件でニーナが退学処分を受けた際に三人とも自主退学して今に至るそうだ。

とある事件に関しては、ニーナが話すのを嫌がったため聞けていないが、とにかくかなり理不尽なことがあったらしく……そして、そんな一人の友人のために一緒に辞めることが出来るのは、相当凄いことだと俺は思った。

ちなみにその士官学校には、ライラとバーンが試験を突破して一般枠での入学。

ポルタは推薦入学、ニーナは俺と同じように固有スキルを買われて入学に至ったそうだ。

そこから四人の学生時代の話、学校を辞めてからグレゼスタで冒険者へと至るまでの話、冒険者になってからの苦労話などを聞きながら歩いた。

四人が話す昔話は俺のほとんど無な五年間とは違い、色鮮やかに輝いて聞こえたな。

……ただ、俺の五年間は本当にモノクロの世界だったけど、治療師ギルドで働いていたときのことを無駄だとは思っていない。

しごかれ続けたことで【プラントマスター】による鑑定能力も上がったし、メンタル的な部分でも成長できた。

それにモノクロの世界にいたからこそ、こうした当たり前の日常が色鮮やかに感じれている。

お腹が空いているときほど、ご飯が美味しいみたいな感じだな。

……っと、そんなことを考えていたら、もうコルネロ山へと着いてしまった。

「よーしっ!到着! コルネロ山は意外と久しぶりだね!」

「ああ。コルネロ山の湧き水を汲んできて欲しいって言うクエスト以来だな」

「いやぁ、あのクエストは散々でしたね。大量の水を持って山を下り、更にそこからグレゼスタまで運んだのに、水が駄目になっているとクエスト失敗扱いにされましたからね。もう二度と運搬クエストはやりたくないと思いましたよ」

「確かにあの依頼のせいで、依頼達成率が100%じゃなくなっちゃったもんね! ギルド側からは流石に補填は貰ったけど!」

どうやら【鉄の歯車】さん達は、コルネロ山にあまり良い印象がないようだな。

流石にこの話を聞く限り、依頼人が悪そうにも聞こえるけど、どうやって運べば正解だったのだろう。

「それで、ルインはコルネロ山の何処に行きたいんだ?」

「あっ、山の中腹ですね。伝えていなかったですが、今日は植物採取に来たんです」

「えっ!? 植物採取だったんだ! 確かにコルネロ山の護衛なんて不自然だなぁと思ってたけど、それなら納得だよ!」

「でも、一般人が植物採取って珍しいですね。ルインさんは治療師かなにかなんですか?」

「あっ、いえ。元治療師……と呼んでもいいのか分かりませんが、治療師ギルドで働いていてクビになったので、今は植物を売って生計を立てているんです」

俺がそう伝えると、四人共目を真ん丸くさせて驚いた。

ニーナもかなり驚いたのか、俺と視線があっても逸らしていない。

「えっ、ルインって薬草採取で生計立ててるの!? それに治療師ギルドをクビ!? なにその話! 詳しく聞かせてよ!!」

「俺もこれはかなり気になるな。薬草採取するのに護衛……。どう考えても赤字の計算になる」

「二人共落ち着いてください。僕も気になりますが、とりあえず目的地の山の中腹まで移動しましょう。コルネロ山の麓から中腹までの道中は魔物が多いですからね。話しながらでは危険です」

身を乗り出して俺の発言に食いついてきた二人を、ポルタが制止する。

スマッシュさんやディオンさんも驚いていたが、やはり植物採取で生計を立てるのは一般的にはあり得ない行為なんだな。

どれもこれも【プラントマスター】のお陰だ。

「ぶー!めちゃくちゃ気になるのに! ニーナも聞きたいよね?」

「……………………気になります。けど、ポルタさんの言う通り、先に移動はしてしまいませんか? ……着いてからでも、話は聞けますので」

ニーナのこの一言が決め手となり、先に中腹へと向かうこととなった。

それにしても治療師ギルドに勤めていた時の話は、【青の同盟】さん達にも話したことがなかったから、初めて人に話すことになるな。

本当に植物の鑑定以外何もない五年間だったから、他人様に聞かせるような話ではないと思っていたのだが、ここまで食いつかれるとは思わなかった。

ニーナですら俺の顔をジッと見て、驚いていたからな。

とりあえず、話は一度切り上げて山道へと入る。

ここからは今までの経験から、一気に魔物も増えるため、俺も戦闘準備だけは整えておかないと。

鞄から毒入りスライム瓶を取り出し、腰につけたホルダーにセット。

更に万が一のための魔物除け用の魔力草と火打ち石も準備して、俺は【鉄の歯車】さん達に囲まれるように真ん中へと入り、山道へと進んで行った。