軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第三百十一話 連戦連勝

目の前でスカルナイトが崩れるように倒れる。

俺の袈裟斬りに反応できず、盾で阻まれなかったというのもあるだろうが……。

俺の一撃は玉鋼の鎧をぶった斬り、一振りでスカルナイトを絶命させてしまった。

その光景をしばらくの間見下ろし、一拍間を置いてから色々な感情が溢れ出てきた。

剣を握る手がガタガタと震え、俺は今訳の分からないテンションになってしまっているのが自分でも分かる。

「る、ルイン君! い、一体何が起こったんですか!?」

「………………ディ、ディオンさん。俺、強くなったのかもしれません」

ピンチになったらすぐに助けるべく、少し離れた位置で様子を見ていたディオンさんがすぐに駆け寄ってきて、俺を心配して声を掛けてくれた。

問いかけに返答しようとするが、俺自身でも何が起こったのか分からないのだ。

「スカルナイトを倒せている? ……ということは、ルイン君がこれを?」

「は、はい。本気で袈裟斬りを放ったら、鎧ごと斬り裂いてこの有様です」

ディオンさんは腰を下ろすと、両断されて倒れているスカルナイトを調べ始めた。

俺はそんなディオンさんを見ながら、ぐちゃぐちゃな感情をなんとか整理させる。

最初は驚き、次に喜びで、今は恐怖。

本当にスマッシュさんに、本気の一撃を打たなくてよかった。

確実にこの手で殺していただろうし、自分の力が分からないというのは思っている以上に怖い。

「鎧は玉鋼の素材で、アーマードシェルの甲羅も練られていますね。盾は【プロテク】のかかった魔法盾。剣は……ワイバーンの牙と玉鋼で作られた剣じゃないですか!」

「そこまで詳細に分かるんですか?」

「スマッシュさんが魔道具マニアで、アーメッドさんが武器マニアですからね。付き合っている内に自然と知識が……じゃなく、このスカルナイト。かなりの冒険者だったと思いますよ!!」

「やっぱりそうでしたか。強者の人間と対峙している――そんな感覚がありました」

トビアスさんが言っていた通り、スカルナイトは元の冒険者の能力に大きく依存するようだ。

ディオンさんは装備品を確認すると、駆け付けて来たときよりも驚いたような顔をしている。

「このスカルナイトを一撃でって……。ルイン君、どんな成長速度しているんですか?」

「それが自分でもまだ分からないんです。あの……もう少しだけ自分の力を試したいので、お手伝いをお願いしてもいいですか?」

「もちろんです。こうなったらトコトンやりましょう」

「ありがとうございます! 次は複数相手でもいいので、強そうな相手がいましたら教えてください」

「分かりました。……と、その前に――剣だけは貰っていきましょう。冒険者の安否を探している人がいるかもしれせんから」

「そうですね。この骨も埋めてあげましょうか」

次の獲物に行く前に、穴を掘って骨となってしまった元冒険者のスカルナイトを埋葬した。

その場所に太めの木を刺し、両断してしまった鎧と盾を立てかけて、両手を合わせてから立ち去る。

それから俺はディオンさん案内の下、『竜の谷』に生息する様々な魔物を狩りまくった。

ゴールドオークにシャドウベア、サイクロプスにトロール。

ブラッディワイトにデッドリッチー、サンダーワームにデッドビートル。

とにかく強い魔物に狙いを定めて、『竜の谷』に存在するワイバーン以外の強いと言われている魔物を全て倒し切った。

それにただ倒しただけでなく、どの魔物も苦戦せず倒すことができている。

スカルナイト戦ではまだ半信半疑だった俺の力が、間違いなく急上昇していることを決定づけることができたのだった。

「大分暗くなってしまいましたね」

「すいません。こんなに遅くまで付き合わせてしまって」

「全然構いませんよ。強い方の戦闘というのはこう……なんというんですかね。心が湧き立つものがありますので。私は特等席から楽しませてもらいました」

いつもの冷静なディオンさんではなく、少し少年っぽいというか……純粋無垢な笑顔でそう言ってくれた。

もしかしたらアーメッドさんの傍にずっといたのも、これが理由なのかもしれない。

「そう言ってくれるとありがたいです。お陰様で自分の力を量ることが出来た気がします」

「……その強さというのは、魔力溜まりの洞窟で食べていた植物が起因しているんですか?」

「そうだと思います。少なくとも、洞窟に入って植物を食べまくる前はここまで強くありませんでした」

「あの……申し上げ難いお願いなのですが、私にもその植物を分けてもらうことはできますか?」

俺の方へと向き直り、真剣な表情でそうお願いしてきたディオンさん。

あの洞窟にいれば、すぐに生成できるため断る理由はないのだが……。

「ディオンさんも強くなりたいんですか?」

「そうですね。……ルイン君がアーメッドさんを生き返らせると言ってくれた時、私は心の中でありがとうございますと感謝の気持ちで溢れたんです。そしてそれ以上に――何もすることができない自分の無能さを恨みました。次に出た言葉が手伝うではなく、アーメッドさんの最後の言葉を盾に引き留めたことも……本当に情けないですよね」

俯きながらそう言ったディオンさん。

俺だけでなく――いや、俺以上に、ディオンさんは自分の弱さに悩んでいたのかもしれない。

「情けなくないですよ! ディオンさんは冷静に事実を伝えてくれただけですから。……それに、事実としてこうして手伝ってくれてるじゃないですか」

「それは……ルイン君について行っているだけですので」

「とりあえず分かりました。もちろん、筋力の付くとされている植物はお分けします! ただ、スマッシュさんのアレを見たから分かると思いますが、酷く不味いのですが大丈夫ですか?」

「ルイン君、本当にありがとうございます。……ええ! その覚悟は決まってます!」

俺とディオンさんはそんな会話をしつつ、魔力溜まりの洞窟へと戻ってきたのだった。