軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第百二十九話 援軍

バーンの言葉を遮るように、言葉が口から出た。

ほとんど無意識で言葉が出てしまい、自分で言葉を口にしたのに俺が一番驚いている。

「えっ!? ルインがセイコルの街までついて来るの!?」

「いや、だって……ルインは冒険者じゃないだろ? 依頼は受けられないし、無償で戦いに行くってことか?」

「そう……いうことだね。無茶苦茶な頼みかもしれないけど、出来れば俺も一緒に連れていって欲しいんだ」

「えーっと、ルインさん。セイコルの街に知り合いでもいるんですか?」

「いや。特にはいないけど……」

俺の連れて行ってくれ発言に、四人が困惑している様子を見せている。

……普通に考えて、俺がついていく理由がないもんな。

俺自身もなんとなく嫌な予感がするっていう、本当に曖昧な理由だし、【鉄の歯車】の面々からしたら俺以上について行く理由が分からないと思う。

「……私達は構いませんけど、ルインさんはいいんですか? 仮にセイコルの街を襲っているのが魔王軍だったとしたら、死地が予想されますよ」

「うん。承知の上で俺を連れて行ってほしい」

「いや、まあ……俺らとしてはルインが一緒に戦ってくれるというなら、心強いから断る理由がないからな。……模擬戦で全勝優勝したルインは、この五人の中で一番強いとも言えるし」

「そうだね。私達がお願いして、ついてきて貰いたいくらいだったから、その提案はありがたいんだけど……本当にいいんだよね?」

「何度も言うけど、俺は大丈夫。少しでも力になれるように頑張るよ!」

未だに困惑した様子を見せている四人に、俺は力強くそう答えた。

困っている人を助けたいとか、そう言った崇高な正義感ではないけど、身近な人の役には立ちたい。

さっきグレゼスタを発っていたキルティさんや、今からセイコルに向かおうとしている【鉄の歯車】さん達。

俺なんかが役に立てるかは分からないけど、少しでも戦えるように特訓はしてきたつもりだからな。

「ルインがそこまで言うなら、俺達が拒否する理由はないな。それじゃ早速出発するか」

「くぅーっ!これは心強い味方だね! パーティに安定性が増すよ!」

「……そうですね。ルインさんの強さは、私達が一番分かっていますからね」

「確かに戦闘面でも大きいですが、僕的には気持ち部分が大きいです。僕は出来ればセイコルには行きたくなかったのですが、ルインさんを見たら流石に触発されますので」

「確かにな。冒険者でないルインが行くって言ってるのに、俺達が行かないなんて言える訳がないからな。いっちょ気合いを入れて援軍に行くか!」

こうして【鉄の歯車】さん達に歓迎され、俺達は帰ってきたばかりのグレゼスタを再び発つこととなった。

不安がないと言えば嘘になるが、みんなと一緒ならばきっと大丈夫だ。

グレゼスタを発った俺達は、セイコルの街へ向けてナバの森へ向かう公道を歩いていったのだが、どんよりとした曇天模様も相まって、セイコルの街に近づく度に嫌な感じが強くなっていっている。

【鉄の歯車】さん達もこの嫌な気配を感じ取っているのか、口数が次第に少なってきた。

「……もうそろそろセイコルの街ですね。……この辺りから、騒がしくなっていると思ったのですが、静かなのが逆に不気味に感じます」

「確かにな。もしかしたら、街内での戦闘になっているのかもしれない」

「それだったらかなり不味いね。被害もかなり大きくなっていそうだよ」

「……でも、王国騎士団も出撃していると受付嬢さんが言っていましたし、大丈夫だと思いますよ。王国騎士団の隊長は凄腕と聞いたことがありますし」

ポルタのいう王国騎士団の隊長……。キルティさんのことだろうか。

キルティさんが褒められているのを聞くと、自分のことのように嬉しくなるな。

「あっ、私も知ってる! ‟鬼人”って呼ばれてる人だよね? 確か、一つの犯罪組織を一人で壊滅させたとか!」

「ん? 俺はドラゴンを一人で討伐したって聞いたことがあるぞ」

「……私はダンジョンをソロで制覇したって聞いたことがあります」

……なんか噂が一人歩きして、とんでもない人になっているな。

キルティさんの肩書は、最年少で初の女性隊長ってくらいだと思うけど……キルティさんなら、どれもやっていてもおかしくはなさそうだ。

今度、詳しく聞いてみようかな。

そんなことを考えていると、眼前にセイコルの街が見えてきた。

街の外にもかなりの人が溢れていて、人と魔物とで入り乱れている。

街の上空には、なにやら黒い魔物のようなものが飛んでいて、更にはオーガやトロールといった魔物の姿も確認できた。

もしかしたら、戦闘は既に終わっているんじゃないかと思っていたが……そう甘くはないか。

「やっぱり街の中での戦闘になってる! 街の外でも戦闘は起こってるけど、すぐに街の中の魔物を倒しにいこう!」

「だな。街内での戦闘は異質だから、連携はしっかり取っていくぞ。ニーナは飛んでいる魔物の処理に専念してくれ」

「……分かりました。回復や援護が欲しいときは教えてください。私は飛んでいる魔物に注力します」

「ルインは俺とライラと一緒に前衛で頼む。ポルタは【ブレイブ】で俺達の支援且つ、ニーナのサポート」

「分かりました。後衛からのサポートは任せてください」

こうして各々の役割を再確認した後、俺達は全速力で走って、魔物と人が入り乱れているセイコルの街へと向かったのだった。