軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

第百二十話 連戦とその成果

この廃ダンジョンにいる魔物は知能の低い魔物のため、圧倒的に魔物側が数的有利なこの状況でも、連携というものを一切取ろうとしない。

明かりが見えたから寄ってみたら、人間がいた。だから襲う。

恐らく、この程度にしか考えていないのだと俺は思う。

数的有利を生かさず、各々勝手に攻撃をしてくれるのなら負ける道理はないのだが、流石に今回は魔物の数が圧倒的に多いため、少しの判断ミスや処理に手間取ってしまうと、一気に押し切られてしまうのは明白。

体だけでなく、頭をフル回転で動かしながら、襲ってくる魔物の処理を的確に行っていくことを決めた。

まず向かって来ているのが、右からゴブリン2匹に左からコボルト3匹、そして正面からホーンラビット2匹とゴブリン3匹。

少し先行しているのは右のゴブリン2匹だが……まず先決で倒さねばならぬのは、左から来ているコボルト3匹。

コボルトはゴブリンよりも動きが速いため、この魔物の中で優先的に処理しなければならないのはコボルト。

更にゴブリンよりもコボルトの方が弱いため、コボルトから先に戦えば事故が起こりにくいというのも優先して処理する理由だ。

向かってくるコボルトにタイミングを合わせて、俺は一歩踏み出して袈裟斬りを放つ。

続いて2匹目を逆袈裟で、そして3匹目を一歩引きながらの薙ぎ払いで斬り裂いた。

ナバの森で戦った魔物達と同じように、一匹に対し一振りで倒していく。

左のコボルト3匹を倒したからと言って、一息ついている時間はない。

俺はすぐに右から来ているゴブリンに視線を向け、無駄のない動きで一気に距離を詰めると、上段からの斬り下ろしで両断し、二匹目のゴブリンに突きを放って心臓を一突き。

即座に突き刺さったゴブリンを足蹴にして剣を引き抜き、次は正面から来ているホーンラビットに意識を向ける。

ホーンラビットは個体自体は弱いが、鋭利な角での突進攻撃が重いのと、体躯が小さいため、攻撃を外すと一気に危険度が高まる。

攻撃を外さないように狙いをしっかりと定め、斬り上げからの突きで2匹のホーンラビットを処理すると、その横を並走していた3匹のゴブリン達も、先ほど同様に斬り裂いて瞬殺することに成功。

ここまで全ての魔物を一撃で屠ってきているが、それでも確実に仕留めなくてはいけないというプレッシャーが重くのしかかり、予想以上に疲労が体全体を襲っている。

もしかしたらキルティさんは、こういった連戦での戦い方を俺に味わわせたかったのかもしれないな。

「ルイン、かなりいい調子だな。今のところは100点で対応出来ているぞ」

「……ありがとうございます。この調子で頑張ります」

背後から褒めてくれたキルティさんに一言返し、流れ出る汗を一度拭ってから、もう一度武器を握り直す。

第一波は殲滅できたが、まだまだ奥からこちらへとやってきている魔物が視界に入っている。

一体、どれだけの魔物がこの奥にいるのか。

奥は暗くて見えないため見当もつかないが、俺が今考えるべきことは襲ってくる目の前の魔物を倒すことだけだ。

★ ★ ★

廃ダンジョンに入って戦闘が開始されてから、一体どれだけの時間が経過しただろうか。

もう既に全身が疲労で震え始め、いつ膝から崩れ落ちてもおかしくないほど、疲労が蓄積されている。

……ただ、まだ倒れるには早い。

ようやく奥からなだれ込んできていた魔物の数も目減りし始め、恐らくこの魔物達がこの廃ダンジョンに残っている最後の魔物だと思う。

俺の周りに倒れている死体の数を見て、一瞬躊躇った様子を見せたゴブリンだったが、ガクガクと震えている俺を見て、ニヤリと下卑た笑みを見せてから勢い良く突っ込んできた。

視界に捉えているのは、ゴブリン6匹にコボルト2匹。

全身に溜まった熱を吐き出すように、大きく深呼吸してから、自分自身に気合いを入れた。

鋼の剣の重さに耐えきれておらず、剣先が震えているのが分かるが、気にせずに奇声を上げながら突っ込んでくる魔物達の対処だけを考える。

俺は2匹のゴブリンの突進攻撃を避けつつ、足を狙って払うように斬り裂き動きを止めた後、そのゴブリンの背後から攻撃の機会を狙っているコボルト目掛けて俺から突っ込む。

最後だろうが、優先順位は変わらずコボルト優先。

ワンステップで距離を一気に縮めると、俺は上段からの斬り下ろしでコボルトの脳天を斬り裂いた。

…………ん?

コボルトの脳天を斬り裂いた感触に一切の手応えのないまま、首が弾け飛んだのだけが視界に見えた。

この感覚に、俺は既視感を覚える。

そう。

三度目のアングリーウルフに襲われ、無我夢中で放ったあの一撃だ。

なぜ疲労で腕も震えているこの状況で、あの一撃に近い一撃を行えたのかは分からないが、今は力の入れ具合に剣の振り方……全て手に残っている。

すぐに先ほどの斬り方を試すべく、俺は隣でたじろいでいるコボルトに剣を向けた。

全身を一度脱力させてから、剣を振り下ろすその一瞬だけに全ての力を加える。

俺の振られた剣がコボルトの頭に触れた瞬間、コボルトの頭は吹き飛び、先ほどと同じように斬り裂いた感触すらなく、コボルトは地面へと倒れたのだった。