軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

221 混ぜるな危険

「あなたも真昼ちゃんの可愛さを理解してくれるのね」

「いやー、もちろんですよ。まひるんはもう魅力たっぷりで……知れば知るほど可愛いんですよねえ」

「混ぜるな危険すぎる」

今日初めて会ったばかりだというのに意気投合して真昼を愛でている志保子と千歳に、周は盛大なため息をついた。

今日は樹と千歳も周と同じシフトなので彼らも午前中は自由行動であり、偶々出会ったので致し方なく両親を紹介した所まではよかった。

そこからが問題で、最初は大人しめにふるまっていた千歳だったが、志保子が真昼を愛でだしてから我慢出来なくなったらしく真昼の可愛がりに参加しだしたのだ。

そこからみるみると意気投合し、結局真昼は二人にあれこれ褒められて顔を真っ赤にして震えている。

羞恥に滲んだカラメル色の瞳は助けを求めるようにこちらを見ていたが、二人のアグレッシブさに勝てる訳もなく、取り敢えず二人の好きにさせておいて男性陣は男性陣で固まっていた。

「うちの周がお世話になってます」

「いえいえ」

「……む」

「どうした周、否定はしないのか」

「……世話になっている事は事実だし。それが余計な、がつくかどうかは別問題だけど」

たまに本当に余計なお世話な時はあるが、基本的に樹には助けられているし世話を焼かれている。恩義は感じているし、あまり口にはしないが日頃から感謝している。

樹が居なければ真昼との仲もそう進展しなかっただろうし、ある意味では千歳とセットで、真昼との交際の立役者とも言えよう。

ありがたいとは思っているので修斗の言葉を否定せずにいたら、樹は何故だか目をそらした。

「そういうところは素直なんだよなあお前」

「普段がひねくれてると喧嘩売ってるのか」

「そういう受けとり方がひねくれてるって事なんだよ。つーかひねくれてるって自覚はあったのか?」

「うるせえ」

この野郎、と背中をべしっと叩くものの、軽いじゃれあい程度のものなので堪えた様子はない。むしろにまにまと笑ってこちらの様子を見ている。

修斗までにこにこと微笑ましそうな眼差しを向けてくるので、堪らずそっぽを向けば今度は声で笑みを表現してくる。

「まあ、周はひねくれてるし素直じゃないけど、正直なやつだとは思ってるよ」

「周は前からこんな感じだからねえ。人を寄せ付けにくかったんだけど、理解してくれる友達が居てくれてよかったよ」

「いえいえ。俺こそ友達になってもらってよかったと思ってます」

「……そういう話は俺の居ないところでしてくれ」

「だってさ」

「そうですね、では後程メッセージの方で……」

自分に聞かせるな、というつもりで言ったのだが、そこから発展して何故か連絡先のやり取りをしだした樹と修斗に、頭が痛くなってくる。隠れて何かしら報告とかをされそうなので、出来ればやめてほしいところである。

ただ、ここを止めたところで千歳と志保子が結託して何かやらかしそうなので、止めても無駄だという予感もひしひしとしていた。

(俺も真昼もどうせからかわれるんだよなあ)

おそらく友達として、親としての愛故なのだろうが、たまったものではない。

あとで釘を刺しておこうと思いつつ視線を逸らして――そこで、視界の隅に昨日も見た大輝の姿を見つけた。

保護者だし二日ともきていてもおかしくはないが、こちらに声をかけようとはせず、ただ遠目で困ったような表情をしているので、困惑してしまう。

視線的には樹の方を見ているので、息子が気になるのだろう。

「周、どうし……」

周が固まっていた事に気付いて樹も視線を向けて、それから端整な顔を強張らせた。

お世辞にも仲がよいとはいえない親子なのは知っているが、こういった顕著な反応をすると友人としては非常に居たたまれない。

どうしたものか、と樹を見ると、彼は何か言いたそうに唇を震わせたが、それが言葉になる事はなく、そっぽを向いて大輝に背を向けた。

盛り上がってる千歳の所に行って、へらりと笑う。

「そろそろ飯買いに行こうぜ? 並ぶの早めにしないと午後は腹ぺこで仕事だぞ」

「えっそれはやだなー。あ、すみません、そろそろ私達は行きますね」

「あらそう? 午後から喫茶店に行くつもりだからよろしくね」

「はい」

礼儀正しく腰を折った千歳は、ほんのりと樹に急かされながら去っていった。恐らく、大輝と出会わせると千歳の表情が曇るからなのだろうが、流石に大輝に対して露骨すぎる気がする。

(……どうしてこうなったんだろうな)

大輝を居ないものとして無視していった樹に、周はそっとため息をついた。