軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

13 .マリーナお昼寝中 【途中からSide ギルベルト】

お昼前から始まったお披露目パーティーも、午後のお茶の時間くらいまでで大盛況の内に終わり、お客様を見送った後の屋敷内にも、少しホッとした空気が流れています。

近隣からお越しのお客様は、小さい子供連れのご家族も多いため早々に引き上げた方々がほとんど。

本日この屋敷に泊まるのは、お母様のご実家であるアイヒベルク侯爵家と、パオロ様とカルロの家であるムリーノ王国のフェレーリ侯爵家の2家みたい。

アイヒベルク侯爵家は中央寄りに領地があるため、馬車で片道7日ほど掛かる。

簡単に行き来出来ない距離な上に、今回はお母様の両親である前侯爵夫妻と、お母様の兄である現侯爵と夫人、その 子供達(従兄姉) が一緒なので、10日程のゆったりした日程で来られたみたいね。

1週間ほどはこちらでゆっくりしてから戻るみたいだから、従兄姉達とはパーティーの時にあまり話せなかったし、仲良く出来たらいいな~♪

ムリーノ王国のフェレーリ侯爵家は、元々メーア王国滞在中は貿易関係のやりとりをするために、バイエルン家に滞在予定だったので予定通りかな。

本日ご招待したもう1つの国『ヴェルミオン帝国』のお客様は、成人したばかりで今回初めて使節団の長を務める皇弟殿下が、国王陛下に謁見するために、早々に王都へ出立されたらしい。

今回のお披露目パーティーも、メーア王国の玄関口となるバイエルン家への義理立てと挨拶のために、最初だけの参加となることは承知していたので特に思うところは無い。

でも、パーティーで大好評だったお料理やデザートが食べられなくて残念だったね~。

と、ちょっと不敬な事を考えつつも、3歳児の身体は限界を迎え、パーティー用のドレスから着替えさせて貰ったら、電池が切れたようにお昼寝モードに入ってしまったのだった。

◇◇◇

【マリーナお昼寝中・・・side ギルベルト】

お客様の見送りが終わって、本日屋敷に泊まる方々も晩餐の時間までは各自部屋で寛ぐため、屋敷内には無事にお披露目パーティーを乗り切ったというホッとした雰囲気が漂っている。

マリーナもお見送りまでは頑張って起きて居たが、さすがに疲れた様子で昼寝をしに部屋に戻ったので、その間に先ほどの提案を父上に話しておこうと、侍従に父上の居場所を尋ねる。

母上と共に執務室に居るとの返答だったので、仕事の処理などで忙しい可能性も考えたが母上が一緒なら大丈夫だろうと、これから伺う旨の先触れを出す。

先触れに出した侍従が戻り、問題無い旨の返答を聞いて、先ほどまとめた内容を記した紙を持って父上の執務室へ向かう。

☆☆☆

「ギルベルトが参りました。」

ノックと共に、声を掛けると入室の許可が下りる。

「入りなさい。」

「失礼致します。」

中では、応接用のソファに父様と母様が仲良く寄り添って座り寛いでいた。

「ギル、今日はお疲れ様。フェレーリ侯爵家のカルロ君の件は聞いたよ。対応をしてくれてありがとう。」

「父様と母様もお疲れ様でした。カルロの件に関しては、私もマリーナに言われるまで気づけませんでしたので、マリーナのお手柄です。マリーナは可愛らしいだけでは無く、とても賢く、思いやりのある天使です!」

「そうだな、うちのマリーナは可愛いだけではなく、賢くて優しい天使だ!」

うんうんと頷きながら、父様とマリーナがいかに天使であるかを言い合っていると、埒が明かないと思ったのか母様が話を促してくれた。

「まぁまぁ、あなた達マリーナが天使なのは当たり前ですよ。それよりギルは何か用があったのでは無くて?」

「そうでした!本日のお披露目会で、フェレーリ侯爵家のパオロ・カルロ兄弟と仲良くなったのですが、色々と話をする中でマリーナが面白い提案をしたので、父様にも聞いて貰いたいと思いまして。」

この件に関して父様には侍従を通して、カルロに起きたトラブルへの対処の報告をした際に少し伝えており、本当は明日にでも時間を取って説明させて貰えるようにとお願いしてあった。

しかし、報告した時点での想定よりも話が大きくなってしまった上に、パオロから本格的に動き出すのであればフェレーリ侯爵家も是非参加したいと言われたので、明日の提案時にフェレーリ侯爵家にも参加していただいた方が良いかもしれないと、父様の意見を事前に確認したかったのだ。

「あぁ、それについては侍従からも少し報告を受けている。何やら面白い事を考えたみたいだね。」

「はい、詳しくは書類にまとめておりますので、こちらを見ながら聞いて頂けるとわかりやすいかと思います。」

言いながら持参した書類を父様に手渡す。

父様と母様が一緒に「ほぅ」とか「まぁ」などと言いながら書類を読んでいる。

「なるほど、面白い事を考えたね。確かに他国から来た船の下級船員は、言葉が分からずにちょっとしたお使いにも難儀しているだろうから、やってみる価値はあるかもしれないね。」

「私は船のことは分からないけれど、孤児院の子供達が大きくなってもあまり良い職に就くことが出来ずに悲しい結末を迎えてしまう話も聞いているから、そんな子供達が減るだけでなく、寡婦・寡夫や病気や怪我で定職に就けなくなってしまった人々の助けにもなるなんて素敵な考えねだと思うわ!私も喜んでお手伝いするわ。」

思ったより父様と母様の反応が良かったことに少しホッとしたが、

「ありがとうございます。みんなで考えたのでそう言って貰えて嬉しいですが、大人の視点からじゃないと分からない事もあるでしょうし、実際に稼働させるとなれば初期投資も教育の時間もそれなりに掛かると思います。まぁ、その辺はパオロがフェレーリ侯爵家も一枚噛ませて欲しいと言っていましたので、負担は分散できるかもしれませんが。」

そう言うと父様が納得したように、

「なるほど。フェレーリ侯爵家が参加するかもしれないから、明日じゃなく事前に話をしに来たんだね。良い判断だね、ギル。パオロ君からフェレーリ侯爵にも話をしているだろうし、明日はフェレーリ侯爵家にも参加して貰った方が良いだろうね。晩餐の後にでも私からお声がけしておこう。」

と言ってくれたので、事前にお話して良かったと思っていたら母様が

「もしかしたら私の実家のアイヒベルク侯爵家も参加したいと言ってくるかもしれないわね。」

「あぁ、確かにアイヒベルク侯爵家の領地は王都寄りの内陸部だけど、隣国と国境で接している国境沿いの領地でもあるからね。そちら側の商人や貴族とやりとりをする機会も多いだろうし、移動の際には荷運びや護衛などの人員も多く連れているから、似たような悩みはあるかもしれないな。」

なるほど、そう言われて見れば船員だけに限らず、商会などの下働きの者たちも国境を越える仕事に帯同する可能性があるのか。

それなら興味はあるかもしれないな。

何よりマリーナが更に別の国の言語に触れる機会を喜びそうだ♪

「確かに、この話がきちんと軌道に乗れば、貿易の窓口となっている他国との陸続きの領地でも運用出来る内容になるかもしれませんね。」

「ええ。多分、お父様もお兄様も興味を持つと思うわ。」

「それなら、今日の晩餐は我が家と、アイヒベルク侯爵家、フェレーリ侯爵家の3家のみだから、晩餐の時に少し話題に出してみて、興味があるようなら明日の話し合いにも参加して貰う事にしようか。」

「はい、それでお願い致します。」

父様に任せておけば、ちゃんと纏めてくれるだろう。

さて、そろそろマリーナがおきる頃かな♪

目覚めて一番に見るのは私であって欲しいし、今の父様と母様との話も伝えたいから迎えに行くとしようか。

え?話を伝えに行くのはついでなのかって?

当たり前じゃ無いか、いつだってマリーナの瞳に最初に移るのは長兄である私でありたいからね。

「では、晩餐まで少し休もうと思います。父様、母様、お休みの所を邪魔してしまい申し訳ありませんでした。」

「大丈夫よ。ギルもお疲れ様でした。」

「ああ、問題無いよ。報告をありがとう。ギルもちゃんと休むんだよ。」

「はい。失礼致します。」

さて、マリーナが起きる予感がするから、このままマリーナの部屋に行こう♪それが一番、身体も心も安まるからね。

でも、アイヒベルク侯爵家への挨拶は、晩餐の前にしておいた方が良いかもしれないな。

アイヒベルク侯爵家の兄妹は、兄のエルンストはともかく、妹のフランツィスカはキツい物言いをしたりするから、晩餐の前に少し免疫を付けておいた方が初対面のマリーナには良さそうだしね。

貴族の嫡男然としたスマートな所作で当主の執務室を出たものの、マリーナに会いに行くと考えるだけで顔が綻んで、幸せオーラが溢れるギルベルトの後ろ姿に、使用人達も「ああ、お嬢様に会いに行かれるのだな」と暖かく見守りつつ、いつものバイエルン家の日常が戻ってきたことを皆が実感したのだった。