軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

5.アライアンス結成

早速全員合流、そして受付さんにみんなを手伝ってくれる人と紹介して、クエストを受けてもらった。

「ギルドに畑の手伝いなんてあったのね。一応一通り依頼は見たけど、気づかなかったわ」

リーさんが言うので、経緯を説明。

「畑の手伝いはなかったけど、全体的にどのギルドも食べ物の納品依頼がお高めだったにゃんよ~。だから畑に何かあって不作なのかと思ったにゃ。でもギルド前の畑は作物ちゃんと出来てたにゃん? 受付さんになんで収穫しないのか聞いたら、人手不足っていうから、手伝うことにしたにゃん」

「納品価格なんて街によって差があるもんだと思ってたから、気にも留めてなかった…」

「農家は成り立てで、自由都市マケットのギルドしか知らんしなあ」

収穫予定の畑が多すぎるので、クエストを受けたあとはまた個々に散ることに。収穫物を入れる『農作物コンテナ』はひとり1個借りることが出来た。重量制限を無視できるイベントアイテム。便利!

「俺らで手分けして収穫するから、猫ちゃんは近場の畑1ヵ所収穫したら次行っちゃって~。これ、連続クエストの気配がします」

「にゃん~、もし粗麦畑があったらヤマビコさんは粥を作ってもいいか交渉してほしいにゃあ」

「おお、料理ギルドのやつな。了解」

「粗麦粥の納品ってよくあるにゃ?」

「せやなあ、村とか小さい集落だと、たまーに見るな」

なら今のところ飢饉説はなさそうだし、特に関係ある依頼でもないのかな?

たぶん人手が足りないっていうのがネックなんだろう。例えば農家の収穫をする人がいないし、粗麦粥の屋台をする人がいない。

つまり……限界集落の過疎化……!!

いやいや。いやいやいや……そういうリアリティーじゃなかろう、たぶん。たぶん…。信じてるぞ?

単純に考えれば、なんらかの理由で人がいなくなったか、もしくは働けなくなってるかのどちらか。

「村の中に空き家とかあるにゃん?」

「いかにもな空き家は別になかったよ?」

「通りを歩いて見える範囲の家には、ほぼすべて人の気配があったな」

みんなは村を一通り回ってみたらしい。エドさんは『気配察知』スキルを高LVで持っているので、家の中に住人がいるかどうかもだいたいわかるそうな。なんなのその 暗(あん) さ……斥候スキルは。

「『気配察知』は狩人のランク上げると出るぞ」

「便利にゃん?」

「隠れてる敵とかがわかるようになる。あとは察知系を上げると相対的に『隠れる』系列が上がりやすい」

「にゃああ…」

気になるスキルだ。デバッファーになるならヘイトを減らす『隠れる』は重要だろうしなあ。

みんなこう、なにか言いたげで何も言わない顔をしているので、たぶんこの村に埋まってる猫向けクエスト周辺のネタバレを黙っているのだろう。

ハッ!?

「このクエストって既存のやつにゃ?」

「いやこれは初見」

「『農業』関連で出たのはわかるけど、アレに繋がりそうなところがないものね」

つまり猫向けクエストじゃなかった。まあいいか!

猫はギルド前のこの畑を収穫、他はみんなにお任せでまとまったので、ギルド前でまた解散。

「なんか俺らで手伝えそうなのあったらまた呼んでねえ~」

「頼りにしてるにゃ~ん!」

はいドッコイショ。収穫を終えました。

全体的に野菜は低品質、最低品質。

おそらく薬草を植えていたと思われる畝は種が弾けて枯れた後で、触るとくしゃりと消えてしまった。放置するとこうなるんだねえ。リアルなら種がこの土に残ってるんだろうけど、さてどうしたもんか。

無事収穫出来た野菜の畝は拡大『ティルソイル』で耕していく。土魔法のMP5魔法、『耕土』の習熟度付きバージョンだ。『耕土』より心なしか勢いがいい。

収穫はさすがにルイから下りて手作業したけど、耕すのは魔法なので騎乗したまま出来て楽ちん。さくさく終わる。

肥料はどうするか迷ったけど、次に植えるものがあるかもまだわからないし、無しにしておいた。

収穫する人がいないなら、育てる人手もなかろう。このゲームの農業、完全放置で収穫まで育つわけじゃないもんね。

もしこの後植えるクエストが出るなら、蒔くタイプの『畑玉』を使おうっと。

畑を耕していたら、なんだか大所帯のプレイヤーさんたちがぞろぞろ…。……あ。

「ランさーん!」

「ティアラさん、こんにちはにゃん!」

てってけと駆けてくるのは水色の髪の小人族、今日はカーキ色の、探検服っぽい装い。レザーのテンガロンハットと編み上げブーツが可愛い。

「合流が遅れてしまって申し訳ありませんわ! パーティーはもう組んでらっしゃるでしょうから、アライアンスを投げてもよろしくて?」

「もちろんにゃん! よろしくにゃん~」

承諾するとぽわんと光に包まれて、PT欄の横にティアラさんたちのPT一覧が現れる。…おや、PT2つ?

「硝子研究をしてるメンバーと、魔鉱炉の繋がりでついでに拾ってきた鍛冶屋と陶芸家が入ってますの」

「俺らの扱いが雑!」

後ろで叫んだのが鍛冶屋さんか、陶芸家さんのどちらかなんだろう。街着だとジョブが何もわからん。強いていえば作務衣の人がひとりいるので、その人は陶芸家の気がする。

PT2つともフルメンバーで、12人。内訳は硝子連合8人、鍛冶3人、陶芸1人らしい。うん、作務衣の人でした。

軽く自己紹介をしあったけど、12人も一気にはとても覚えられない。…PT欄にお名前とアイコンあるからなんとかなるなる~。

半生産、むしろ7割方生産寄りの人々らしく、そのせいか獣人はいないのが印象的だ。獣人ってごく一部の種族がごく一部のジョブに局地的に合致するだけで、他は全般的に「生産は不向き」の案内が出てる。

その辺の向き不向きをあえて無視して遊ぶエンジョイ勢ももちろんいるけど、やはり向いてる方を選びたいのが人情である。特に生産やりたい人ならなおさら。

そんなわけで内訳は人族、小人族、地人族。小人族は手先が器用で細工系が得意、地人族は炉に関する生産が得意。納得の種族分布である。

「住民さんの畑に入ってらっしゃるということは、ランさん、何かクエストを見つけまして?」

「収穫の手伝いクエストにゃんよ~。収穫する畑がたくさんあるにゃん。もし『農業』持ってて暇な人がいたら手伝ってほしいにゃん~」

ティアラさんが振り向いて確認したが、全員首を横に振っていた。残念。

『農業』と『料理』や『調薬』のようなシナジーあるものならともかく、生産スキルを複数掛け持ちするケースは珍しいようだから仕方ない。

「私たちも、一通り回ってはみたのですが、特にめぼしいものは見つけられなくて…」

「村の外に出てたのは何か探しにいってたにゃん?」

「住民さんから、村の外にある大岩は名所だと紹介されたものですから、行ってみましたの。掲示板でも観光名所としてあげられていた場所ですわ。とても大きな岩で見応えはありましたけれど、特に何も見つけられませんでしたわ。まさか岩に楔を打つわけにもいきませんし…」

「にゃん…」

観光名所でそれはたしかにやっちゃいけないやつ。

大岩はティアラさんのいう通り、観光名所スレで精霊スポットとは別に紹介されていた場所だ。スレでも大きな岩が見られるだけで、今のところはクエストなども特になしと紹介されていた。

「でも実際に現物は見てきましたし、これから聞き込みをしてみようかと話しておりましたのよ」

なるほど、実際見たことがフラグになるかもしれない。絶対何かありそうだもんな大岩…。猫もクエストが詰まるようだったら行ってみようっと。大岩のGPSをもらっておく。

何か進展があったらアライアンスチャットで呼び掛けてほしい、とのことで、ティアラさんたちともまた別行動。

彼女たちもPT毎行動ではなく、2人ずつに別れて動いているようだ。大岩の情報に期待したい。

アライアンスチャットでフーテンさんたちとティアラさんたち硝子連合(+α)の挨拶がしばし流れて、情報交換が行われる。

フーテンさんから「猫ちゃん『隠者の村』初見でクエスト何も通ってないので、例のクエはネタバレ厳禁で~」と通達がされていた。

ネタバレから厳重に守られている。この村にいったい何があるっていうんだ…。

さて、猫は収穫物をすべてコンテナにいれて、ギルドの農業カウンターへ。

「ひとまず1ヵ所終わったにゃん~手分けして作業してるから、次々持ってくると思うにゃん」

「ありがとうございます! …あ…。やはり、薬草はダメでしたか…」

ぽわんとクエスト完了通知が出た。詳細は後で確認だ。

「薬草が必要だったにゃ?」

「いえ、よく考えたら薬草があっても……、いえ、すみません」

何かあるのかとアレコレ尋ねてみたけど、反応がどうにも芳しくない。薬草を納品することは出来るけど、「薬草があっても…」て言うからには、納品しても解決しない問題があるんだろう。

んん…、これはおそらく『調薬』! 猫は持ってないからクエスト発生しないんだと思われる。

てことはポユズさんかリーさん、とPT欄から所在地を見てみると、かなり遠くの畑にいる。これなら今戻ってきてもらうより、畑ひとつ終えてからのタイミングがよさそう。

そうと決まれば猫は先に運搬依頼をこなすぜ。

しかし『調薬』か~。

猫もラーニングチャレンジしようと思いつつ、すっかり忘れてましたね…。

こういうクエスト発掘するときはいろいろスキルを持ってる方が便利そう。でも進んでいけば高LVスキルを求められるときがくるだろうから、手を広げすぎててもダメなんだよなあ。

育成方針ぐらぐらにゃん~。

よし、『調薬』関係知ってそうだし、この薬屋さんの荷物からいこう。

個人商店は、看板がかかっていてわかりやすい。薬屋さんは薬瓶。ユーザビリティ高い。

…おや、閉まってらっしゃる。

入り口が閉まってるなら裏口に回ればいいじゃない。裏へ行くと勝手口と思われるドアを発見。

「ごめんくださいにゃん~」

「……誰だい…?」

中からしわがれた声がする。

「ギルドからお荷物のお届けにきたにゃん~」

「ああ…、開いてるから上がっておくれ…」

無用心! そんな簡単に信用していいの!?と思いつつドアに手をかけると本当に開いてる。

これが…これが田舎のセキュリティー…。

ルイをいったん帰還させて薬屋の中へ入ると、小さな竈と大きな竈、それから大きな鍋のあるキッチンがまずある。あとこれは 水甕(みずがめ) ? 大きな壺。中身がほとんどない。

「お荷物どこに置けばいいにゃん?」

「その辺に置いてくれればいいよ…ゴホッゴホッ」

おう、なるほど、薬屋のおばちゃん(推定)が寝込んでる。

そりゃ薬草があってもどうにもならないやつだ。生で薬草かじっても回復量少ないもんね。