軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

32.廃墟をさがせ

やることリストといえば!

猫ったらすっかり忘れていたけど、『錬成陣』のレシピ入手場所へ行かねばならないのだった。

早速GPSを確認して、学園都市にあるという廃墟へ……と思ったんだけども。

「にゃん??」

あれ……、これ、学園都市のGPSじゃないぞ???

一応所在地は『学園都市』になっているけど、その場所が存在しない状態というか。飛び地があるのかな?

念のためスクショしておいた地図も確認してみるけど、廃墟のありそうな区画がない。GPSが存在するということは、存在するはずなのだけども。

う、うーん?

掲示板で調べてみると、学園都市の中に廃墟があるかどうかというのはどうもクエストで分岐するらしい。

……七不思議クエストか!

猫は『霧の迷子』をクリアしているから、七不思議が現れないというわけ。

にゃあ~~、これは困った。

いや、でもGPSがあるってことは、猫でも辿り着ける場所のはずだ。

廃墟、廃墟かあ。

そういえば、竜巻から見下ろした街(?)には、廃墟があった。あの廃墟は学園都市とは関係ないだろうか?

関係ないかもしれないけど、そういえばあの街も気になっていたんだよね。

竜巻の出現条件はわかっているのだし、あとは竜巻から降りる方法を探すだけだ。

竜巻といえば風、風といえば専門家の知り合いがいるではないか。

『竜巻から降りる方法はさすがに知らないにゃんね……』

『にゃん~~』

風の専門家こと風の大魔法師フーテンさんからは残念なお返事。

『竜巻ってあのタンブルウィード100体のやつでしょ? たぶんギミックだと思うよ~』

『やっぱりそうにゃんね~』

『風魔法の対抗といえば『ウィンドカーテン』とか『マジックシールド』だけど、さすがにそういう単純な話じゃないだろうし』

『案外単純かもしれないにゃん?』

『『ウィンドカーテン』が御入り用なら行くから呼んでね~。俺も竜巻の街、興味あるし』

『頼もしいにゃん~! 一応ギミック探してみるにゃ』

とは言ったものの、さてどこから探すべきか。まあいつも通り、お店屋さん巡りして話を聞こうかな。

まずは『キャラメルハッピーポップ』屋のお姉さん。

「竜巻の街? おばあちゃんに聞いたことがありますね。風の強い日には外へ出ると風にさらわれるって」

「その街に行く方法を探してるにゃん~」

「うーん、聞いたことがないですね。竜巻の街に生きている者はいないっておばあちゃんは言ってました」

「にゃあ、ありがとうにゃん~」

うーむ、死者の街か。猫の『ターンアンデッド』が火を吹くぜ?

おばあちゃんから聞いた、というからには年齢が上の層に聞いてみる方がいいのかも?

とはいえ、せっかくなので『ボムキャンディ』屋でも情報収集。

「竜巻から出る方法? そりゃ爆発させれば間違いないよ!」

「ここで聞いた猫が間違ってたにゃん」

「いやいや、これは僕のおじいちゃんから聞いた話なんだけどね」

『ボムキャンディ』屋のお兄さんの言うことには、おじいさんは狼に追いかけられていたところで竜巻に巻き込まれてしまったらしい。

一緒に竜巻の中でぐるぐる、狼はグルグル、おじいさんは万事休すと思って、持っていた『ボムキャンディ』をばらまいたのだとか。

すると『ボムキャンディ』を食べた狼はスパークした衝撃で竜巻の外へ放り出されていき、結果的におじいさんだけが助かったのだそうな。

「旅の安全にも『ボムキャンディ』は持ってて安心ってわけさ!」

「ほんとにゃん~~?」

「ほんとだよ! でも竜巻の街は今はもう誰もいない、廃墟になっていると聞くよ」

「にゃあ、竜巻の街を知ってるにゃん?」

「魔法学校で習ったことがあるよ、少しだけね。風の教授が詳しいんじゃないかな」

「ありがとうにゃん、聞いてみるにゃん~!」

スパークした余波で狼が吹っ飛んだとな。雷属性かな? ちょっとヒントがあったかもしれない。

それに魔法学校の風の教授。話を聞きに行ってみるのもいいかも。しかし教授、会えるものかな。

「風の教授に会いたいとな?」

「そうにゃん~」

魔法学校教授の知り合いといえば、猫にはマジカル星属性おじいちゃんこと、行き倒れてるのを救ったマレビトの研究教授くらいしかいない。

早速会いに行ってみると、なんとさくさくと紹介状を書いてくれた。

「いいにゃん!?」

「ほほほ、マレビトには親切にしておくものじゃよ」

マレビトに対する点数が甘すぎるな、さすが研究者!

「ちなみにおじいちゃんは星属性で浮いてるにゃ?」

「おお、気づいたかの? 私は魔子族なんじゃが、最近は足が弱ってきておっての」

「にゃ」

おっと、スケート走りじゃないから魔子族じゃないと思いきや、そういうパターンもあるのか。

「最近マレビトでよく見る、絨毯はいいのう」

「滑る絨毯にゃんね。アルテザで職人さんが売ってるにゃんよ~」

「アルテザは職人の街じゃなあ。昔、学園都市に魔法学校が成る前は、この都市にも大きな職人街があったのじゃよ」

「なくなっちゃったにゃ?」

「そうじゃ。竜巻が連れていってしもうた」

もしかして竜巻の街のことだろうか。だとしたら、竜巻の街は元々学園都市で、その中の廃墟という条件を満たすことになる。

つまり『錬成陣』のレシピが手に入る場所だ。

「猫、その竜巻の街に行きたくて、風の教授に会いたいにゃん。おじいちゃんは竜巻の街について詳しいにゃ?」

「おお、あの街に行きたいのかね。命知らずなマレビトらしい。まったく面白いのう」

おじいちゃん教授の話によると、竜巻の街はやはり元々は学園都市の職人街であったらしい。

当時、学園都市――その当時は芸術都市と呼ばれていたアルカディアには、カラクリの技術者たちが多くいた。

「カラクリにゃん?」

「左様。カラクリというのは、機械の大本となる技術でのう。特に 傀儡(くぐつ) のスキルを持つものが多くおったのじゃ」

「もしかして『人形製作』にゃ?」

「おお、風猫族はさすが、滅びた話にも詳しいのう」

『人形製作』といえば、人形連合が探しているスキルだったはずだ。特にガラス工のナマナマさんが中心となって探っていた。

「猫、『 精霊傀儡(せいれいくぐつ) 』を持っているにゃ」

「ほうほう! かつてのアルカディアで進められておったのは、『 魔道傀儡(まどうくぐつ) 』という未知の技術であったと聞く」

「にゃあ~、たぶん『錬金術』にゃんね?」

精霊なしで『精霊石』のようなもの――生命の入った石を目指すのが『錬金術』の精髄だと聞く。つまり『魔道傀儡』は、『魔道工』で作られた心臓部を持つ人形を操る術ではないか、と憶測できる。

ちょっと面白くなってきたぞ。

「左様、左様。かの技術者は神の術に触れ、怒りに触れて竜巻で拐われたのだとも言われておる」

「にゃん?」

この世界には神様が山ほどいるわけで、いったいどの神の怒りに触れたんです……?

『錬金術』の神さまが止めるわけない気がするし、知識神ってこともなさそうだし、ちょっとその辺はよくわからない。

最後に釈然としなかったけど、有用な話は聞けた。お礼を言って、紹介状を持って風の教授の元へ。

と、行ってみたはいいけど、お話は秘書さんから断られてしまった。

「教授はお忙しいかたです。風の基礎もなってない方とはお会いできません」

「にゃん~~」

調べてみると、どうやら各属性の教授とお話しするには『紹介状』以外に、各種属性の授業を受けている必要があるらしい。何単元ってあって、回数受けていかないとお話が進まないんだって。が、学校だー!

『属性魔法』スキルを持っていると飛び越えて話が出来るらしい。

うん、はい。

「なるほど、『紹介状』は手に入れたわけね」

「そうにゃん~。でも猫、授業は受けたことがないにゃんよ」

「普通は単元数が足りてても『紹介状』が手に入らないにゃんよ~」

というわけでフーテンさんに手伝ってもらうことにした。持つべきものは友だにゃん~!

「にゃん? マレビト研究の教授が発行してくれたにゃんよ」

「あの教授、人当たりはいいけど飄々としてて、そういうの全然ですな~」

「にゃあ、すぐ書いてくれたにゃん」

「さすが猫ちゃんだにゃ」

風猫族の補正が効いてるのか、それとも最初に渡したアイテムが功を奏したかな? 『キャラメルハッピーポップ』が好物だったのかもしれない。竜巻の街へいけたら、また差し入れしてみよう。

早速、フーテンさんの力を借りて風の教授に面会。

「竜巻の外へ出る方法? 竜巻を消滅させるしかないでしょうな」

「消滅させる、にゃん?」

風の教授はふんわりウェーブヘアのおじさまだ。おじさんじゃない、おじさまなのだ。おじさんということを許さない気品と風格がある。たとえば銀縁眼鏡とか、蝶ネクタイとか、ぴよんとしたお髭とか。

「気流が発生する原因が途絶えれば、竜巻は消えます」

「にゃあ」

「風のエネルギー源を奪うか、あるいは根本から消失させるか」

「思ったより科学にゃ」

「魔法でどうにかするわけじゃないんだねえ」

「もしそれが魔力で生まれた竜巻であるならば、中で衝撃が加えられれば、魔法が崩れる可能性も高いですな」

「衝撃にゃん?」

「知っての通り、大きな魔法ほど緻密な魔法紋によって編まれているもの。放たれた後の魔法とは、弱いものです」

「ん~、ボール系の飛距離が伸びると干渉しやすくなる法則かな」

「そうです。アローとボールでは魔法紋に差がある。現象系の魔法は強大ですが、維持は難しい。けれど、そこに生じたエネルギーをどう発散させるかという問題は残ります」

「なるほど~~」

にゃ、にゃん……?

魔法紋というのは、教本で覚える各魔法に存在する紋様で、魔法のきっかけになるものだ。言葉で言うところの呪文のようなもの。起点となって魔力を吸って、魔法を形作る。

なのでアローとボールの魔法紋が違うというのは当たり前の話なんだけど、猫は両方ほぼ持ってないので(飛ばしてストライク覚えちゃったから)残念ながら詳しくない。

フーテンさんはわかったみたいなのでまあいいか?

「簡単にいうと竜巻を壊すのは簡単だけど、巻き始めちゃった風をほどくのには時間がかかっちゃうから、狙った位置に降りるのは難しいね~て話かな」

風の教授の部屋を出て、フーテンさんがまとめたところはわかりやすい。

「にゃあ、望む場所に着地するには、残ってる風をどうにかしないといけないにゃんね」

「そそ~。まあ、風の扱いなら任せておいて」

「頼もしいにゃん~!」

もうフーテンさんを呼んでしまったことだし、せっかくだしこれから行ってみようではないか、竜巻の街へ!

「まずはタンブルウィード100個か~」

「にゃん~~」

それがありましたね!