軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

19.猫の店~キラキラしてるものの店~

観光には先立つものが必要だと思います!

ということで、今日も露店を開こうと思う。いつもの買い取りは懐が寂しいので控えるとして。

しかし売り物もあんまりないな。『ニャルコール』って売ってもいいやつ? やめておいた方がいいやつ? …やめておくか。ちゃんと納品しよ。

あとは~『闇ホタル草』『発光茸』がちょっと残ってる。『ゴーレムの鍵』は買い取ってもらっちゃったのでない。

んにゃ~~。めぼしいものがない。

売れるかわかんないけど『 無魔硝子(クリアビジュー) 』『 雷魔硝子(クリアサンダービジュー) 』と、属性 宝硝子(ビジュー) 各種がやっぱり鉄板かなあ。

精霊のおうちとして属性魔宝石もなかなか人気になってきたみたいだし、ここらでドーンと売れてくれるかもしれない。

それにしても最近、ちゃんと仕入れが出来ていないなと反省しきりである。猫ったら面白いアイテムを探すのをちょっとサボり気味でしたね。

目先のイベントとクエストに釣られがち、猫だもの。

さて、売り物が決まったら露店通りの流れに乗ってどんぶらこ。誘惑は多いけど懐が寒いので見てないことにする。……くっ、貧乏が憎い!

誘惑を振り切って店舗予定地に飛び込んだら、ポンと露店を設置、商品を並べて、と。

『猫の店、開店にゃん!』

開店お知らせGPS付メールを希望者各位に送って、開店!

たぶんあまり人は来ないだろうし、露店中は読書でもしてようっと。

『ミラー』と『インビジブル』の教本がある。

『ミラー』は光属性。魔法を跳ね返す魔法。タイミングがシビアだが使えると強い。味方の魔法も跳ね返すので注意が必要。

『インビジブル』は光属性、見つかりにくくなる魔法。ヘイト避けで鉄板、と思いきや逆に狙われやすくなることもあるので、迂闊に使うと危険な魔法。弓職の潜伏狙撃に使われることも多い。

ふむ、両方使いどころは限られるけど優秀な魔法っぽい。さすが大商人のおすすめ。

魔法ギルドのお姉さんにもオススメを聞いたんだけど、たぶんランク5を越えたからか「そこから先は自分で選んでいくものですわ。ご武運を」て微笑まれてしまった。無念~~。

単純に猫に何がオススメ?ていうんじゃなくて、○○したいけど何がオススメ?とかっていうなら答えてくれるんだろうけど、おまかせ出来なくなったのがちょっと悲しい。成長とは痛みが伴うものだな…。

さてまずは『ミラー』。……お、MPはジュエル1個でちょうどいいみたい。ラッキー、読める読める。

無形の盾を出すという点ではちょっと『インパクト』に似てる。物理には『インパクト』、魔法には『ミラー』と使い分けが必要になってきそうだ。

不可視の鏡を出すには光を出すのではなく魔力の塊を出してからそれを光属性に染める。ふむふむ? 新しい概念だな。魔力の属性変換って、魔法を使うときにすでに属性に変換してるものじゃなかったっけ?

基本六属性以外のちょっと上の魔法って、ちょっとややこしくなるんだなあ。

魔力の塊は『インパクト』だろうから、それを光属性に変換するだけでいい。一度外に出した魔法の属性変換はこう……、おお、解説があった。ありがたい。

ええと術式がこうなって、時計回りに…、ほうほう、で、こっちをこう……あ、なるほど!

『ミラー』を覚えた!

にゃふん、久しぶりにちょっと苦戦する教本だったね。満足して本を閉じる。

「先輩さん、こんにちは!」

「にゃあ、シズクちゃんにゃ。いらっしゃいにゃん~」

魔子族の初心者錬金術師、シズクちゃんだ。

相変わらず魔女帽子だけど、服が紺地に銀のラインの学園都市装備に変わっている。おお?

「課金したにゃんね」

「ついに20LVを越えてしまったのよ。仕方ない決断だったわ…!」

「楽しんでるようで何よりにゃん~」

「ありがと! 今日のラインナップも不思議ね」

「今日はなんかキラキラしてるものの店にゃん」

「くっ、風猫族のロールプレイさすがだわ…!」

いや、これは別に風猫族のロールプレイというわけではなくてですね、単純に売るものがなかったというか。

……まあロールプレイということでいいか!

「オススメは属性 宝硝子(ビジュー) にゃんね~、精霊の住み処に、ちょっとしたアクセサリーに使いどころは多いにゃんよ」

「こっちのクリアってついてるのとは何が違うの?」

「魔石と魔宝石の関係にゃん。こっちの方が属性値が高いにゃ」

「へええ…、あっ、そういえば、『貝殻』の買い取りは今日はいいの?」

「『貝殻』なら買い取るにゃん!」

買取を設置すると、早速『貝殻』を納品してくれた。まいどあり~。

「にゃあ、でも『圧縮』するアイテム、いまはもう初心者シリーズ卒業しちゃったにゃん?」

「最近は、釜で長時間『圧縮』するアイテムにはまってるからいいのよ。使うのは『錬成陣』が多くなったわ。……そうそう、『真円錬成陣』のこと、ありがとね!」

後半はキョロキョロしてからのこっそり、で相変わらずリスのようで可愛い。

聞いたところ、まだ中級釜にはいっていないらしい。ランクアップしたいし釜を買いたいが、資金繰りが大変だとのことだった。

ふむふむ。

「にゃん~、魔子族ちゃんならドゥーアのゴーレムは余裕にゃん?」

「ドゥーアの? はじまりのダンジョンのゴーレムならまあ全然行けるわね」

「あのゴーレムから出る『錆びついた鍵』が次に来るアイテムだと猫はにらんでるにゃん~」

「にゃ、にゃん…!?」

こそこそ、と耳を近づけてくるのが面白い。

「あにゃ、金属性は持ってるにゃ?」

「金属性、ていうと噂の18属性のやつね? まだ持ってないけど、やはり錬金術的に必要になるかしら」

「生活魔法的に、18集めるのが王道っぽいにゃんね。設定的に元々18だったみたいだし」

「くっ、が、頑張るわ。それで? 金属性で『錆びついた鍵』を『圧縮』すればいいのね?」

「話が早くて助かるにゃん~! 『ゴーレムの鍵』っていうアイテムになるにゃん。これがあると廃坑ダンジョンの攻略が進みやすくなるみたいにゃん」

「地人族の種族進化に関わってくるのね! たしかにそれは売れそうだわ」

なにせ地人族は『鍛冶』の純生産や半生産が多い。半生産がゴーレムを一撃で倒せるアイテムを知ったら、自力で廃坑ダンジョンを行く気になるだろう。そしてそれを可能にする資金力がある。

資金力が、あるのである…!

率直にいって羨ましい!

「廃坑ならレア狙いで通いつつ『圧縮』も出来ていいわね。ありがと、参考にするわ!」

「にゃふふん、当たるも八卦、外れるも八卦にゃん~」

猫の予想と違って全然売れないこともあるかもしれないが。まあ『鉄の鍵』はともかく、『ゴーレムの鍵』はそれなりにポテンシャルのあるアイテムだと思う。

消耗品だもの。どんどん作ってどんどん売られる方がいいに決まっている。

「もしかしてこの『闇ホタル草』とかも、廃坑産のアイテム?」

「これは別ルートで仕入れたアイテムだから、厳密にはどこ産かわからないにゃん。でもたぶん廃坑関連品だと思うにゃんね~」

手に入れた場所が最初のダンジョンではあるし、その可能性が高い。

「だとしたら、この2つはもうちょっと高く売っていいアイテムだと思うわ!」

「にゃん??」

攻略情報大好き(自称)なシズクちゃんによると、廃坑の奥には暗闇エリアがあるという。火魔法厳禁、光魔法には大量のゴーレムが寄ってくるというちょっとめんどくさいエリアらしい。

「火でもない、光でもない明かりアイテムがあるんじゃないかっていわれているのよ。それはおそらく周辺で手に入れられるんじゃないかって」

「なるほどにゃん~」

そのまま使ってもいいけど、発光する性質をどうにかしてアイテムに転換出来れば攻略が楽になるやつか。

「『鍛冶』か『調薬』あたりにゃんね~」

「あたしは『ガラス工』が怪しいと睨んでる。地人族は『ガラス工』にも適性があるもの」

あ、なるほど。

これはティアラさんたちの「アクセサリーにしたらいいかも」が当たりかもしれないな。

多めに預けてきた猫、正解?

「にゃん~、その辺りの生産なら伝手があるからちょっと相談してみるにゃん。ありがとうにゃん~」

「どういたしまして!」

『闇ホタル草』『発光茸』を一旦下げることにした。

シズクちゃんは悩みに悩んで属性 宝硝子(ビジュー) をひとつお買い上げ。

新しい子の精霊の住み処に悩んでるっていうから住居相談を受け付けたら、精霊が気に入った石が出ちゃったのだ。

「うう、一気に貧乏だわ…」と背中を煤けさせて去っていった。猫も気持ちはとてもわかる…。ごめんよ。

シズクちゃんが帰った後、それじゃ次は『インビジブル』でも、と思ったら新しいお客さんが。

「こんにちは、ランさん!」

「にゃあ、ペチカにゃん! いらっしゃいにゃん~」

なんだかずいぶん久しぶりな気がしちゃうぞ。一応、魔道具マーケットで会ってるけど、別行動でほとんど一緒にいられなかったもんね。

新しい青い髪飾りが銀髪に似合っている。そしてますますでっかくなったマッスルミミットのピピちゃん。その腕には、相変わらず小さいフェアリーペングーのペペちゃんが抱っこされている。

「こないだ会ったのに、なんだかお久しぶりな感じがしちゃいますね」

「猫もそんな気がしちゃったにゃん~」

ペチカちゃんとは近況を文通する仲なので、ようやくアルテザでの修行を終えてまた旅を始めている話は聞いている。

前回の赤月夜は自由都市周辺の、最近発見された精霊スポットへ行ったそうだ。ペチカちゃんもついに精霊枠が埋まってしまって困っているとのことだった。同士よ。

「実はちょっと探し物をしてまして…、ランさんならもしかして知ってるんじゃないかとお伺いにきた次第です」

「にゃん??」

「『切れた妖精リボン』というアイテムをご存知ないでしょうか…!」

「にゃあ」

『切れた妖精リボン』。

なんか最近そんなアイテムを買ったような気がします。

「持ってるにゃん」

「にゃんと!?」

はい。

骨董品店で心引かれて、バロメッツと一緒にうっかり買っちゃったアイテムだ。

フレーバーテキストが微妙だったので、もしかしたら使わない方がいいのかも、と思っていたのだけども。

さすがペチカちゃん、またなにか拾ってきたんだなあ。