軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

22.魔法教本

さて次は魔法師ギルドで教本を探す。

教本売店を開くと、なんかすごいことになってた。先日は1冊、生活魔法教本2が置かれていただけだったのに、今はすごい量が表示されている。

属性毎に3冊~5冊くらいずつあって、70冊かな? 驚きの量。

生活魔法教本2は10万したけど、他の教本はそこまで高くない。

生活魔法教本のように複数の魔法がまとまってるのではなく、たとえば『ファイアウォール教本』のように魔法名が書いてあって1魔法1冊になっている。

5000~2万、たまに3万くらいと値段の幅は広い。

安い教本はLVUPと同時に覚えられる魔法で、稀に別の魔法を覚えてラインナップから外れることがあるので、教本が販売されてるらしい。

教本はその属性魔法スキルがないと各属性(7属性)1冊ずつしか販売されないと掲示板で見た。その1冊は同LV帯からランダムで出るので、当たりハズレ激しいとか叫ばれてたような。教本なら他の人に代理購入してもらえるけど、売店に出ないとインプットが出来ないから。

猫はまだ属性魔法のスキルは取ってないんだけど教本は属性魔法を取ったのと同じ冊数で解禁されたっぽい?

あの15属性取ったアナウンスの影響か、あるいは教本から10個の魔法のどちらか、または両方。まあ同じことか。生活魔法教本を2冊読了したから、ということだろう。

どうやら『生活魔法』LVが参照されて、このLV帯で覚えられる本がすべて出てるのだと思われる。

もちろん中には属性魔法スキルに関係なく覚えられる魔法も含まれている。

お、あった、『アンチポイズマ』! これが『魔法使いの毒』に対抗するやつだ。お値段3万z!

…教本、マケボでも売れるんだっけ? マケボで見てみるか…、あらお安い。5000zのがある。

気になったので受付で、教本をお古でもらっても効果に差はあるかを尋ねる。

「既に人手に渡った本だとしても習得に差はありませんよ。2人覚えた後の本は壊れやすくなると言われていますね。ですが覚えた後の本を譲られる方は少ないので、あまり聞かない話でもあります」

「そうにゃん?」

「迷信ですが、10冊、魔法を覚えた本を取っておくといいことがあると言われているので、本棚に大切に保管される方が多いんですよ」

あ、それはアナウンスのやつかな? 1冊1魔法だと10冊になるから、そのせいだろう。

「保管した本はいいことがあると何かに変わるにゃん?」

「そういうわけではなく、あと何冊というのが分かりやすくなるからだそうですよ。魔法を学んでいる人は、天恵でも魔法を覚えますから、本でいくつ覚えたのか忘れてしまうようで」

天恵で覚えるというのはLVUPで魔法が増える現象かな。ほむ。

「お姉さんのおすすめ教本はあるにゃん? 猫は攻撃も防御の魔法も知らないにゃん」

「あら、では回復の魔法を覚えていらっしゃるのですか?」

「回復は『手当』が出来るにゃん」

「なるほど、『生活魔法』を使われている。そして次の一手にお悩みなわけですね」

「そうにゃん!」

「では、おすすめはこちらの『インパクト教本』です。『インパクト』は無属性魔法、前方に直径50cmほどの透明盾を生じる魔法です。持続時間は3秒と短いですが、攻撃にも防御にも使うことができます」

「オールマイティにゃんね。前にしか出せないにゃん?」

「定められた魔法の理を動かすには『魔力操作』や『理力』スキルが必要になりますね」

「なるほど、ありがとうにゃん!」

『魔力操作』と『理力』はたしか『見習い魔法師』では出ない、実績解除スキルだったはず。『魔法師』になると取得可能一覧に出てくるはずだ。クエスト報告をせねば!

ということで『教本から魔法を覚える』『魔法を5個覚える』『魔法を100回使う』『魔法を300回使う』『同じ魔法を100回使う』『魔法で魔物を1体倒す』をクリアしていたので報告した。

魔法で魔物倒すなんてやったっけ??と首を傾げてしまったが、マンドラコラだ。

はい。たしかにあれは魔法で倒しましたね。

ちなみにこの『魔法を〇回使う』は、カウント方法が謎で、ギルドへ報告にいかないと何回かわからないと言われている。基本的には戦闘中に使用した数だそうな。たぶん生産に魔法を使ってもカウントされるんだろう。そうじゃなきゃ猫が3桁もカウントされてるはずがない。

無事『魔法師』になり、取得可能欄に『魔力操作』『詠唱』『理力』が追加された。

種族LVは15になった。もうすぐ上がるところで止まってたから、上がるのはわかっていた。

そして受付のお姉さんおすすめの『インパクト教本』を買う。

これはマケボでは売ってなかった。でも1万zとお安い方。ありがたや。

教本を買って手に取ると、帽子に乗ってたレトが下りてきて本を嗅ぎ回り、開けと言うように手に両手を添える。

「読めないと思うにゃん?」

一応開いて見せると、文字と図形の羅列だが熱心に見ている様子だ。ただ読んでいるというより眺めているという感じで、一応全頁捲ってみせたけど、あまりお気に召さなかったらしい。また帽子の上に戻っていった。

冒険者ギルドにも絵が多い図鑑があったから見せてあげようかなあ。もしかして、図書館ダンジョンの1層にいるというマルモも、本当に 図書館の鼠(トーポ・ジ・ビブリオテカ) してるのかもしれないな。

だとしたらレトも連れていってあげる方がよいのかも。でも先に廃都に行きたいから、もうちょっと先の話になる。自由都市から学園都市への道は推奨LV20以上なのだ。

学園都市をスタート地点に選んだプレイヤーは都市内にある7つのダンジョン(学園の七不思議ダンジョン)でLVを上げるまで外に出ないか、護衛してもらうか、乗合馬車に乗って自由都市まで移動することになるらしい。

ダンジョンも屋外型があるから閉塞感はないそうで、むしろいろいろなダンジョン楽しいって意見のが多いとか。

あとアップデートしたばかりの都市なので人が多く、交流も盛んらしい。ギルドとかの勧誘もあちらが多いそうな。

閑話休題。

ついでに『アンチポイズマ教本』をマケボから購入して、資料室へ。

『魔力操作』と『理力』について調べておきたい。

掲示板では『魔力操作』は消費MPを操作して魔法の拡大縮小をするための必須スキルと書いてあった。

『理力』は魔法の形を変更するためのスキルで、『魔法剣』の前提スキルだったはず。

資料室に入った途端、レトがそわそわして腕に降りてきたのでちょっと待ってもらい、司書さんに召喚獣を放しても大丈夫か聞いてみる。

「あら、マルモですね。なら大丈夫ですよ」

「いいにゃん?」

「マルモは本が好きな子が多いんですよ。すぐ興味を失う子も多いですが、熱心な子は本当にずっと読んでいますね。読むと言っても眺めてるだけですけども」

マルモが本好きなのは、知られた話のようだ。

「絵本が好きみたいにゃん。絵のたくさんある本はあるにゃん?」

「ございますよ」

司書さんが机の上に絵本を広げてくれたので、レトに許可を出すと飛ぶように机の上へ駆けていった。

資料室には誰もいなかったので、司書さんがレトに本を読ませておくと言ってくれた。お言葉に甘えて、あずけて本を探す。『魔力操作』などのさっき取得可能になったスキルについて調べたい。

…はい、ざっくりと理解。

『魔力操作』は文字通り魔力を操作するスキルで魔法に使用する消費MPを増やしたり減らしたりする『拡大』や『縮小』のアーツを使えるようになる。他にも魔力の流れを追う『魔力感知』の前提スキルともなっている。これは生産には必須スキルで、錬金術でも錬成陣で使うようだ。

よし、取ります。これは10SP。

パッシブのラーニングは、取れてもSP消費で取れるスキルではなくその前提スキルで、LVを上げて進化させるとSPスキルになるものが多い。といってもパッシブのラーニングは比較的簡単なので、LV上げもいつのまにか終わってるものが多く、ソロならのんびりラーニングする人も多いのだとか。

しかし実績解除スキルとも呼ばれる、前提フラグのあるスキル――例えば今回のジョブ『魔法師』になったことで取得可能になったスキルなどは、ラーニング出来ない。というか例がない。魔法をよく使うガチ勢は先にSPで取っちゃうから試行例が少ないとも言う。

まあ、取っちゃうよね。使用MPの拡大縮小とか自力で出来る気がしないもの。

それにこの手のパッシブはアクションスキルと違って意識してLV上げするものではなく、その恩恵を得られるとき経験値が入っている。ある意味、共にした時間で伸びていくようなものだ。なので早く取れば取るほどLVが上がりやすくなる。

うん、そりゃ取るわ。

『理力』は単純にいえば杖なしで魔法を楽に使うためのスキルだ。

私は生活魔法しか使ってないから知らなかったけど、普通の属性魔法は、杖がないと難しいらしい。

魔法には、ゲーム的にいえばチャージタイム(貯め)とディレイ(硬直)がある。

チャージ中は移動速度に制限がかかる、魔法使用後は硬直のディレイがコンマではあるが存在する。

これらは魔法を貯めている間はじりじりとしか動けない(早く動くと貯めた魔力を手放してしまう)、魔法を放った後は体に魔力を貯めていた痺れのようなものがあり反応が遅れる、と感じるらしい。

魔法のクールタイムも、魔法を使ってすぐに同じ魔法を使うのはくすぐったい、痒いというような感覚なんだそうだ。痛いという人もおり、とにかく不快感があるそうな?

これを軽減するのが、杖に代表される発動体だ。

発動体は魔力を集めるための道具であり、体から発動体に魔力を移して集めているのでチャージ中に動いても魔力が拡散されない。

更に放った後も発動体から魔力が出るだけなので痺れもない、というわけらしい。

もちろん軽減であって、まったくないわけではないようだが。

発動体の性能が上がると、込められる魔力が上がり、より強い魔法に対応できるようになる。

そんなわけで魔法師は、魔法を使うときには発動体を使いましょうね、その方が体が楽ですよ、と教わるのだ。

逆に、この発動体による効果を、自身の身体能力で補おうというのが『理力』スキルらしい。

理力とは魔力を自在に操る力のことを指す。これを鍛えることによって、魔力をしっかりと押さえ込み、反発を出来る限りなくす。

『理力』スキルがあると、発動体なしでも魔法が使いやすくなるので、武器戦闘と魔法を併用しやすくなるそうだ。

今でこそ発動体指輪が一般装備だが、指輪が台頭する前は武器戦闘スキルと魔法スキルを併用するための必須スキルだったらしい。

とはいえ『魔法剣』に代表される魔法を固めて武器にする戦法や、通称『魔力ガード』と呼ばれるチャージ途中の魔法を犠牲に防御する方法などは、今でもよく活用されている。

理力とはすなわち、魔法の形を変える技術、と表現されるわけだ。

はあん。なるほどわからん…。

『魔力操作』はアーツとかあってまだわかりやすかったんだけど、『理力』は謎スキルじゃない? 魔法を固めるってなに? どゆこと??

私が理解できないのはチャージもディレイもクールタイムもない魔法しか使ってないせいだろうか?

『理力』も10SPするのでちょっと悩む。でも戦闘に魔法使うつもりなら必須スキルらしいんだよ。

今のところ攻撃魔法をばんばん使ったりする予定はないけど、あれこれ便利に魔法を使いたい気持ちはあるので、悩ましい。

とりあえず『インパクト』覚えてみて、チャージやらを体感してからでいいかな?

そういえば、ジョブ『冒険者』は総合的なジョブなのでまだよいとして、『錬金術師』での実績解除スキルがなかったのはどういうわけなんだ?

その辺も『錬金術』は趣味スキルて言われる理由なのかもしれんな…?

本を読み終えて司書さんとレトの元へ戻ると、なんと三冊も読んでもらったらしい。

「ありがとにゃん~!」

「いえいえ、かわいいマルモちゃんで癒されました。この子は本に熱心なタイプみたいですね。本屋さんに連れていってあげるといいかもしれません」

「本屋さんがあるにゃん!?」

「ありますよぉ。裏通りにあるから、地元民しか知らないのかしら? 地図をお書きしますね」

ぽわわんと地図にマークしてもらった。

「欲しい本があるのにどこで買えばいいかわからなかったからうれしいにゃん~!」

「あらあら、飼い主さんも本好きなのね。うふふ、喜んでもらえてこちらこそ嬉しいですわ」

司書さんからレトを受け取ると、レトが礼を言うように両手を揃えて立ち上がって司書さんを見ていて、司書さんをめろめろにしていた。

「またいつでもいらしてね!」