軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

5.タマゴの孵化から進化まで

ドゥーアの農業ギルドから、畑へやって来た。

猫の畑は一面の『ポンポン草』で覆われているのでわかりやすい。クローバーに似た緑の葉にところどころ咲く白くて丸い花。

『ポンポン草』の収穫はカサッとして大きな花の部分。これが緩衝材の代わりにされているとかで、納品用のLV上げ兼、畑の調整アイテムというわけだ。他にハチや蝶類のテイマーにはおやつ用とも認識されている。

そんなわけで花のまだ咲いていない一角は、モンシラのおやつ用に少し残しておく予定。

タマちゃんの孵化まであと1時間ほど。さくさく収穫してさくさく赤ラコラやらカンラ菜やら植えていくぞ!

特に虫型に顕著だが、植物を食べる従魔は食べるだけで経験値が稼げる。草食動物タイプもわずかながらその傾向がある。肉食獣タイプが狩りをしてLVを上げるように、草食的にも命を狩っているという扱いになるとかなんとか。そんなわけでタマちゃんのレベル上げは、畑で安全に行えるのである。

草原でも出来るらしいけど、食べられる草が生えてるとは限らないので大変なんだそうな。なので食べさせるより、普通に戦闘に加えて経験値を吸わせるのがオーソドックスな育て方らしい。

まあ、猫はせっかく畑があるのでね!

『ポンポン草』の収穫は『タイムパス』をしながらの手作業で、ちまちまやっているとレトやルビー、ラージも手伝ってくれる。

ラージはたまに食べてる疑惑もあるが、作業効率はいちばんいい。ぐわっと草ごと飲み込んで花だけ採っていくので早いのだ。農業用ジェリとか、この分だといそうだなあ。ちょっと気になる。

ルイはのんびり草を食んでいる。つまりポンポン草も食べちゃうけど、まあいっぱいあるからいいや。好きなだけお食べ。

畑は1面だけでもなかなか広くて、一人で作業するのは大変だ。もちろんレトやルビーも手伝ってくれるけど、なにしろサイズが小さいのでな…。1個1個花を採ってはドヤ顔で掲げたり、2匹で自慢しあってる?のはかわいいんだけどね。仲良し。

収穫を終えたら今度は『ティルソイル』で耕していく。手作業よりは楽だけど、これも広いと大変。ルイに取り付けられる鋤などもあるようだけど、レンタルでもなかなかいい価格がする。畑何面も持ってるような大地主なら借りる価値もあるけど、猫のような零細農家ではあまり意味がない。タイパとるならありだろうけど。

ロニもぷるぷる『トランスファー』して手伝ってくれるけど、猫のMPはこの辺で限界、小休憩。

部屋着(自由なる魔法師セット)を着てもMP問題はやはり大きいなあ!

『ポンポン草』は600個ほど収穫。1つの種から10本くらいまとまって咲く花なので、花期が多少ずれてても一度にこのくらいは収穫できる。1回あたり100個納品の花なので6回分。

運送ギルドにも地方色があり、これの納品依頼があるのは自由都市マケットとドゥーアだけ。農業ギルドではどこでもあるけど、運送ギルドの方がちょっとだけ高い。とはいえ作業量の割に納品価格はお安いし、地方限定アイテムとあって貢献値も低い。

畑のチャージアイテムじゃなきゃ育ててなかっただろう。

休憩を挟んで耕し終えたら、今度は種まき。これはルイに乗りながら出来るので楽ちん。

赤ラコラやカンラ菜の種は品質さえ通常なら『グロウシード』はいらない。これは猫の『農業』LVも関係しているんだろう。LVが上がると種の発芽率が上がる! 緑の手ってやつだ。

種を植えたら『ピュリファイ』と『ミスト』の二重詠唱で水撒きして……やることが、やることが多い!!

畑って本当に大変だ。やればやるほど畑用の従魔が欲しくなる。どんな子たちがいいんだろうなあ。夢は広がるが、いざ揃えるとなると、猫が捕獲にいかないとならないから大変だ。

力仕事の出来る子と、水撒きの出来る子と、あと収穫の出来る子が欲しい!

などとぼやきつつ、水撒きを終えて、次は端から『タイムパス』をかけていく。地道!

これはレトも手伝ってくれるので少し楽。レトの方がMPが多いのでちょっと悔しい。

畑が青々としてきた頃、チンと音がして、タマちゃんの孵化を告げた。

タマゴポケットからコロンと飛び出してきたのはきれいな緑の青虫。かなりデフォルメされており、とても丸っこい。手のひら大で、背中に青い菱形模様がある。モンシロチョウとはまた違うみたいね?

『従魔が誕生しました。名前をつけてください』

「ラモ」

モンシラから取りました。安直というなかれ。

そろそろラ行縛りも限界を感じてきた。この子までかなあ。

「いっぱい食べるにゃんよ~」

畑に放すと勢いよく食べ始める。さすがに畑一面食べることはないだろうから、しばらくは大丈夫だろう。

食べ終えたところから『赤シスル』を植えていけばいいな。

よしよし、しばらくは休憩、休憩。

ラモの種族は『夢蝶』。敵対してきたときより小さめサイズになるのはお約束だ。あんまり巨大でも困るから、小さいくらいで逆にちょうどいい。

いっぱい食べると大きくなる系かもしれないと観察してみたけど、特に大きくなるわけじゃないみたい?

あ、脱皮した。……脱皮してもサイズはあまり変わらんな。このまま成虫までいくっぽい。

ラモは魔法タイプで、初期から持ってるのは『光属性魔法』と『風属性魔法』となかなか破格。そういえばタマゴを生んだ(?) 悪夢蝶(モンシガ) も風魔法を使っていたっけ。

『光属性魔法』なのは意外だ。タマゴ特典だろうか。

所持魔法は光が『インビジブル』と『レイ』、風が『ウィンドブロウ』。

『インビジブル』はヘイトを下げる魔法、『レイ』は光の単体攻撃魔法、『ウィンドブロウ』は範囲攻撃魔法。

おお、待望の魔法アタッカーだ! やったぜ。

ステータス確認しているうちに1畝食べ終えた。かなりのスピード!

青々丸々としているラモを次の畝に移動させて、こっちで赤シスルとポンポン草を育てる。どっちが好きかわからんしね。

見た感じ、赤ラコラとカンラ菜でどっちが好きとかないみたい。お、また脱皮。レベルが上がっても脱皮するっぽい。

ラモに興味津々なのはルビーだ。食べられるようなサイズじゃないからいいけど、つつかないでくださいよ。

レトは怖がってる、というか勢いがよすぎてびっくりしているんだな。「!」の吹き出しが出ている。その顔で猫を見られても何をアピールされているのかわからん。……自分もおやつたくさん欲しい!とかだろうか。

ルイとラージは我関せず。ロニは「?」が出ていたので、気になってはいるみたいだ。

赤シスルが咲いた頃にはラモはもう1畝を食べ尽くしていたので、念のため赤シスルの方へ移動させると「!」の吹き出しが出た。

おお、もう吹き出しが出た。やはりタマゴから育てると好感度が最初から高いのかもしれない。

そして赤シスル、というか『花の蜜』が好物判定が出たようで、進化の準備が整った。LV上がりきってないからまだだけど。

というか赤シスルって『花の蜜』が採れるのか。いや蜜が採れるのはわかるけど、普通に収穫すると『赤シスルの花』になって、園芸花としての納品になってしまうのだ。

『花の蜜』は納品素材として牧畜ギルドで見たことがあるので、出来るなら手に入れてみたい。

うーん、ハチじゃないし、ラモに頼むのは無理そうか? いや、ラモに鞄を持たせればあるいは…? 蝶に鞄を……???

ちょっと見た目的にはダメな気もするが、でもゲームなんだからその辺の制約はないはず。ルビーのノーマル『郵便鞄』のお下がりがあるし、進化したら試してもらおうかな。

『従魔の進化が可能です』

「はや!?」

休憩してたらあっという間だった…。

一度も戦闘を経験させずに進化させていいものか?ともちょっと悩んだが、今更である。

進化先はこう。

『星夢蝶』

『花夢蝶』

ざっくり見ると、『星夢蝶』は光属性の魔法アタッカー。『花夢蝶』の方は『受粉』『畑の恵み』などの特殊スキルを持つ生産タイプ。

こ、こうきたか…!

生産お助けタイプ従魔も魔法アタッカーも両方欲しいー!

ああああ…、悩むけどそういえばモンシラのタマゴはもうひとつ持っていたっけ。てことは両方飼える!

それなら最初は『花夢蝶』かな。

装備はしていないので、準備は特にない。菱形の辺りをちょんちょんとくすぐると、ころころと転がってハートマークが出た。かわいい。

『花夢蝶』を指定して進化させると、しゅるると白い光に包まれてサナギになったあと、背中が開き、そこから光輝きながら蝶が羽化する。

妖精みたいなのが出てきたりして、とちょっと思ったけどそんなことはなく普通にチョウチョ。デフォルメされたモンシロチョウだ。

心配していたサイズも手のひら大のまま、思ったより全然小さい。普通のモンシロチョウに比べればまあまあでかいけども。

羽の真ん中に薄い水色の菱形、青虫の頃の名残がある。

ステータスとしては『風属性魔法』が消えて、『受粉』『畑の恵み』になり、『光属性魔法』は『水属性魔法』に変化している。なんと使える魔法は『ミスト』だ。水やりが楽になる!

元が魔法アタッカーだったせいか魔力やMPはかなり高い。代わりにHPや素早さ、筋力や耐久は紙である。猫の仲間こういうの多いな。畑の害獣に気をつけなくては…。

『畑の恵み』はプレイヤーの代わりに収穫を出来るスキルらしく、蝶の体で無理だろって思うようなアイテムでも収穫できる。たとえばもぎる作業が必要な『ポンポン草』でも、指示しておけば収穫してくれる。

みていると花に止まるとフッと花が消えて、指定した場所まで運んでくれる感じだ。

ためしに『郵便鞄』を装備させてみると、収穫したアイテムは鞄の中に入った。筋力がないので収納は少しだけどね。

それに『花の蜜』も収穫を選択出来るようだ。もちろんおやつとして保存しておくことも出来る。

これからよろしく、ラモ。