軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

40.ドロー!

「風景画っぽい栞はたぶん土地カードにゃんね」

「無さそうな風景は今みたいにトレードすると使える栞にしてもらえそう」

「そうなるとトレードしてくれそうな人を探すってのも大事にゃん」

「問題はそれが栞持ってないと見えないことだねえ」

「にゃん~~」

そう、こればかりは人海戦術が使えない。残念!

「トレード用NPCが今みたいにフード被ってる人なのか、それとも種類があるのかも謎にゃんね」

「そうね~、さっきのは完全にイベント用NPCって感じだったから、量産型の気もするけど」

量産型というのはイベントとかで大量に増える同タイプ色違いみたいなNPCのことだ。肉祭などでも、店の売り子は量産型NPCだった。

「普通に話せるNPCもいてほしいにゃんね~」

「そお?」

「猫、説明書はパラパラ読みたいタイプにゃん」

「あ~ね~~」

カードゲームのチュートリアルとか、説明とか、ちょっとは欲しかった。ルドルフさんが説明をサボったんだろうか。いや、たぶんその辺は学園都市のイベントを先にやっておかないといけないところだったんだろう。まあ今更である。

ポクポクとルイで進みキョロキョロと探しつつ、わちゃわちゃとしているアライアンスチャットを眺める。

人数が多いのもそうなんだけど、補充系のクエストもかなり錯綜しているようでアレがないコレがないと会話が飛び交っている。さらに受け渡しのために待ち合わせしたり伝達したり、なかなか大変みたいだ。

『直送便』スキル持ちのモルタさんやオードリーさんがいても、送れるのはフレンドの商人のみって制限はなかなかきついものらしい。アイテムがメール添付不可のゲーム、こういうとき不便。まあその不便さゆえに起きてるイベントでもあるわけだが。

さて、猫たちはしばらく歩いたけど何も見つからなかったので、ひとまず休憩。

ついでに『不思議な栞』のうち、ブーケの栞のようなアイテムの組み合わせでどうにかなりそうなものを試してみることになった。

「まずこのブーケは小さい黄色い花と布とリボンさえあればなんとかなりそうにゃん。猫、黄色い花とリボンは持ってるにゃ」

黄色い花は『キキ草』、リボンはあれこれ買っておいたものが役に立つ。

「じゃああとは布か~、ハンカチか何かでいいのかね? ハンカチ……あ、『愛のハンカチ』ある」

「そういえばそんなものもあったにゃんね!」

なにやら既に懐かしい。猫は刺繍しないし買わなかったんだよね。わりとなんでも持ってるなフーテンさん、さすが大商人。

早速『愛のハンカチ』を借りて、『キキ草』をくるんでリボンでまとめてみる。お、『黄色い花のブーケ』になった。これもある種の生産てことになるのだろうか。もしかして『園芸』?

「うんうん、それっぽい。よさそうよ~」

「じゃあ、やってみるにゃん!」

ブーケを取り出し、『不思議な栞』を差し出すとまたキラキラと栞が光り始める。ついでにブーケもシュワッと消えていった。元になるものがアイテムの場合は消えちゃう系か。

『アイテムタイプ:ブーケ この栞が場にあるとき、以下の状態異常を無効→毒、魅了、麻痺。火系アイテムが置かれると消失』

「おお、アイテムカード」

「なかなかいい効果にゃんね~」

火系アイテムは猫の手持ちの『不思議な栞』にはなさそうなので、気にしなくてもよさそう。

早速アライアンスで報告すると、お祝いと同時に指摘が来た。

『待ってこれ敵味方書いてない』

『あ』

『にゃあ』

『ニャ』

『まじだ』

そんな罠があったか。……これ、やはり出す前に効果の一覧が欲しいな! 無い物ねだりではあるが。

『まあ毒薬、解毒薬両方いらんてことでいいんでない?』

『んだんだ』

『にゃん~』

『猫ちゃんは気にせずやっちゃってにゃ』

『やるにゃ!』

『やっちまえにゃ!』

『わかったにゃん~!』

チャットがにゃんにゃんしたところで、気を取り直して次の栞へ取りかかる。

「猫、思ったんだけど、モンスターカード?らしきものがないにゃん」

「……言われてみればそうね?」

そう。猫の手持ちには、肝心の妖精召喚らしきカードが1枚もないのだ。風景画シリーズが5枚(内1枚消費)、植物類の精密画シリーズが7枚、アイテムシリーズが5枚(内1枚消費)、それから夜空の書かれた栞が2枚。

この夜空の栞のうち、1枚は月が描かれている。これは暗黒夜だから出番がないだろう。次回のトレード候補だ。

…とまあそんな感じで、人物とか動物とか、いきものの描かれている栞が残念ながら、ないのである。

「ルドルフさんは『妖精を召喚してほしい』って依頼だったから、新たに栞を手に入れた方がいいのか悩むところにゃん~」

「なかなか由々しき問題にゃん~」

フーテンさんと話し合い、トレードに回す栞を決める。月、アイテムシリーズの順で消費していくことになった。

アイテムは剣や杖、銃などがあったのだが、フーテンさんいわく「これ、どれもわりとレア装備よ~、消えちゃうなら貸してってわけにもいかなさそう」とのこと。これらはあきらめることに。

もしアイテムが消費されないんだったら、積極的に使う栞だったんだけどね。

『ランさん、見つけました~!』

さてそれじゃあ移動再開、と思っていたらペチカちゃんから連絡が来た。アライアンスチャットじゃなくてメールだ、 写真(スクショ) が添付してある。

なんと崖の写真だった。

「にゃあ!?」

詳しくメールを見てみると、どうやらミニチュアショップがあったらしい。

な、なるほど盲点…!

さすがペチカちゃん、目の付け所が違う。

『ありがとうにゃん、早速いってみるにゃん~!』

『どういたしまして! 私も『不思議な栞』少し持ってるので、回ってみてるところです』

ペチカちゃんのメールには、彼女の持つ『不思議な栞』の一覧写真が添付されていた。そうか、ペチカちゃんも図書室巡りしてたもんね。

『もし他のプレイヤーが誰も話しかけてないNPCがいたら、栞関係のNPCの可能性があるにゃん~、猫の時はフードを被った人だったにゃん』

ペチカちゃんも月の栞を持っていたので、トレードするのもありだろう。

『わかりました! 見かけたら話しかけてみますね』

うらやましいことにペチカちゃん、妖精っぽい栞を持ってらっしゃる。いかにもレア感のあるちょっときらめいている栞。SRくらいだろうか。SSRかもしれない。あの輝きはRではない。いいな!

でもペチカちゃんが妖精召喚を達成できる見込みがあるなら、アライアンス全体で達成ってことでいいのかも?

「……と猫は思うにゃんね~」

「それもよさそうね~」

フーテンさんも今からNPCと交渉して栞を増やすより、ペチカちゃんの達成を手助けする方がよさそう、との意見だ。

ペチカちゃんの妖精栞は、茨に咲く薔薇の輪っかの前に羽根のはえた妖精が立っている絵柄。用意すべきは茨の輪っかだろう。

「茨や薔薇は持ってないにゃんね」

「『園芸』になるだろうから農家も期待出来なさそう、まあ一応アライアンスでも聞いてみようか」

聞いてみたところ、やはり反応は芳しくない。

『薔薇はエンドコンテンツ』

『あれは『園芸』の沼』

『種類がすごいあるし掛け合わせもすごいあるらしい……と噂にだけ聞く』

『手を出すと野菜が消える領域よ…』

なるほど理解。薔薇は店で買うか、野生のものを探すしかなさそうだ。

猫たちは、ペチカちゃんがGPSを送ってくれたミニチュアショップへ移動。幸いにしてそこまで遠くなかったし、混雑している通りでもなかったのですぐ辿り着けた。

オープンな屋台だったがとても小さかったので、事前に聞いてなければ見逃していただろう。遠目には観葉植物の寄せ植えとか売ってる店に見えたもん。

ひとつひとつは手のひらに載るような、風景画を切り取ったようなミニチュアだ。こういうの、なんていうんだっけ。箱庭、ヴィネット?

村の風景だったり街角だったり、いろいろな風景がさまざまな季節、時間帯で用意されていて面白い。

「…これってアイテム扱いだと思うにゃ?」

「あ~~、かなり微妙なとこだねえ」

景色なら消えないけどアイテムなら消える。つまりアイテム扱いなら購入は必須だ。

「一応買うか~」

「猫が買うにゃんよ~。猫、こういうの好きにゃん」

フーテンさんが買うと言ってくれたが、猫が始めたことだしな。それに実際、残るのだとしたら猫は欲しいアイテムだ。効果は謎だが、家具として部屋の棚の上に飾りたい。

「ん~~、じゃあもしアイテムとして消えちゃったら半額払うねえ」

「にゃあ」

そういう話で一旦はまとまったのだが、その後、お城のヴィネットも出てきたので、そちらはフーテンさんが買うということで落ち着いた。

お店の外で失礼して『不思議な栞』をかざしてみると、キラキラと栞が輝く。

『土地タイプ:崖 地・木の妖精を召喚するとき風のマナを5発生』

おっと、アイテムじゃなくて土地カードだった。つまりアイテムは残留。やったぜ。

そしてターン毎にコストを生むタイプじゃなくて、召喚毎タイプか。召喚コストの低い妖精と組み合わせると鉄板なやつ。

ちなみにこのヴィネットのお値段は1つ1万。ただの飾りにしてはお高いが、栞の効果も含めるとありかなという具合。

『わりと壊れ性能な気がします』

『ローコスト召喚と組み合わせないと使えないんじゃない?』

『こいつはハイコスト召喚の伏線…ッ!』

『おそらく召喚した大量の妖精を犠牲に相手に大ダメージを与えるやつが出てくる!』

『生贄ありがち』

それからフーテンさんのお城ヴィネット。

『土地タイプ:城塞 築かれた城壁が味方に与えられる攻撃を肩代わりする。ダメージ軽減30』

これはまた……カードゲームにおけるダメージの単位にもよりけりだけど、わりと壊れ性能じゃないか?

『シンプルに強いやつきた』

『この手のカードは確実に封じ技があるはず』

『攻城兵器『バリスタ』とか』

『ありそう』

『味方指定もちゃんとあるし、軽減しょぼめとはいえなかなかいい性能』

『レイドだとdotみたいなしょぼダメージ蓄積うざいからありがたいやつよ~』

『dot軽減めっちゃありがた~い』

『ヒーラーにとってもありがた~い』

『鐘が防げるー!』

『それな』

「……鐘って何にゃん?」

「純魔が事故死することだね~、ほら、シンデレラは12時の鐘が鳴るとおうち帰っちゃうでしょ」

「にゃん…!」

や、やわらか魔法師…!