軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

11.もうひとつの祠探し

せっかくなので、あるはずだというもうひとつの祠も探してみよう。

探し物の神とセットならやはりかくれんぼの神だし、自由都市の総合神殿と同じパターンなら、なにかしら痕跡が残っているはずだ。

お、木屑発見。

点々と続く屑を追いかけていくと途中で消える。

今度は獣の足跡だ。えーと、こっちか。更に追いかけていくと、今度はなにかを引きずったような跡が続いている。

今回はずいぶん続くなあ。

『猫ちゃんや、それ以上行くと外出ちゃうよ~。なんか見つけたなら一緒に行くからちょっと待ってて~』

おっと。こっち側は早々にフィールドへはみ出るのか。ソロならLV25推奨、そして奥山の方が強い。危ない、危ない。

『祠探しにゃんよ~』

『お~。合流するわ』

『俺も近いから行く』

フーテンさんとエドさんが来てくれるようなのでしばし待つ。

『あ、祠で下に木屑が落ちてるのを見つけてほしいにゃ。そこから木屑を辿って、次に足跡を辿るにゃん。で、今なにか引きずったような跡を見つけたところにゃんよ~』

『にゃん~?』

猫よりエドさんのが追跡能力は高いだろうから、フラグを踏んでないと見えない類いの仕掛けだと困る。

マップ上、二人のマークが祠で止まった。

『 木屑なんてないぞ?』

あれ?? エドさんに見つからないはずないと思うんだが。

もしかして探し物の神に祈ってからじゃないと見つからないのか。

『そこにある祠は『探し物の神』だったにゃん。猫は『闇人形探してますにゃん』てお祈りしたら『鏡月夜に泉で待ちなさい』ていわれたにゃんよ~、『探し物の神』と『かくれんぼの神』はたぶん兄弟神?だから、祈ってからじゃないと見つけられないのかもしれないにゃん』

『突っ込みどころが多すぎますなあ!』

『探し物の神ってことは『発見』か?』

『そうにゃん。知らないにゃ??』

『知らんなあ。祈ってみる』

斥候系加護かと思ったら違ったのか?

エドさんが祈ると無事声を聞けたらしい。フーテンさんも『発見なら無理そう~』と言いつつ祈ってみたところ、ちゃんと声を聞けたそうな。

『もうひとつの祠はどこか聞いたら『探しておいで』だったわ。これでフラグ立ってんのかね?』

『俺はせっかくだから3つめの祠聞いたら『今はない、今はいる』て言われた~。リドルかね? お、『探し物の神』、感知系にもボーナス入るんだねえ。もうけたわ~』

そうなのか。

猫まだ『魔力感知』出てないから知らんかった。きぃ!

おや、祠に誰か合流してる。アライアンスチャットで話してたから、近くにいた人が来てるみたい。

『今、おばあちゃんの探し物っていうクエストが出てて、お手上げだったんだぁ! これで進められる! ありがとー!』

『あっずるい! 感知系加護なら俺だってほしい!』

『私もー!』

続々と祠に人が集結している。

『にゃん~、探し物してないとたぶん加護くれないにゃんよ~』

『探し物の数なら負けないにゃんよー!』

『年取るとどうしてもねえ』

『そういう話だった!?』

『人生を…探しています…』

人生は…探し物の連続にゃんね?

ともあれ、詰まってたクエストが進むのはよいことだ。

その後、エドさんは木屑を発見できて、痕跡を追うことが出来た。そして猫と合流。

「お待たせ~」

「お待ちしてましたにゃーん」

待ってたことが明らかなので様式美出来ない悲しみ…。

「ランは『かくれんぼの神』なんてどこで見つけたんだ? 存在を知ってるってことは加護も持ってるんだよな?」

「持ってるにゃん。 自由都市(マケット) の神像巡礼で加護もらったにゃんよ~」

「おお~、ギミック系?リドル系?」

「にゃん? リドルはなかったから、ギミックになるのかにゃ?」

「特殊な行動を起こすと取れるやつはギミック系っていわれてるね~。神像の前で100回祈るとか一晩眠るとか、そういうやつね。リドル系は神像の特徴とか周囲の環境から憶測してふさわしい捧げ物や行動をする、みたいなやつかな」

「それでいうとリドルのような? 祠が続いてる道で、祠の間隔がおかしいところがあったにゃん。なんでか調べてたら獣の足跡があって、御神体持ってかれたのかと思ったにゃん。でも巡礼中に道を外れるのもな~て悩んでたら、その前に祈ったところが『探し物の神』で、『探しておいで』って加護をくれたにゃん」

「それで探しにいくと『かくれんぼの神』か」

「そうにゃん!」

話しつつ、引きずったような跡を追う。 村の外(フィールド) へ出てしまったので「念のため~」とフーテンさんが猫とルイに回避を上げるバフをかけてくれた。事故死防止だ。

自分には移動を補助するバフをかけている。…山道だもんね。ごめんよ貧弱魔法師を呼んでしまって…。

バフかけてもらったが、戦闘は出来る限り避ける方針だ。猫も人のことはいえない貧弱さで防御は紙。それにエドさんは『かくれんぼの神』について聞いてから来ているし、戦闘せずやり過ごす方がよさそうだねって話になったのだ。

引きずったような跡が途絶えた。

「……泥にゃん?」

「水溜まりでも通ったのかね?」

今度は水が滴ったような跡と、泥だ。足跡とかではなく、ただ転々と泥が落ちている。

うーん、なんなんだろ?

しかし神像巡礼のときのように神さまが隠れられそうな暗がりもないから、ひたすら追いかけてみるしかなさそうだ。

「これ、もしかして本当に『闇人形』を追ってるのかもしれないね~」

「にゃん~? でも『鏡月夜まで待ちなさい』って言ってたにゃんよ?」

「これから辿り着く場所で待つのかね?」

水の跡は小さくて猫は見失いそうになるけど、さすがベテラン斥候は違う。きっちり辿って、次は…、なんだろうこれ?

「金属片…?」

「なんか削ったカスみたいだな」

明らかに山道には似合わないものなので、これはわかりやすい。

鈍色だが、くるんと丸まった裏側は青みを帯びた虹色に輝く。なんかチタンっぽい? あれは被膜による構造色なんだっけ?

キョロキョロと周囲を見回していると、レトがテテテッと猫の肩から降りていき、ルイの尻尾を伝い下りた。

レトは進化したらちょっぴりどんくさくなってしまい、ルイの背から飛び下りると半分くらいの確率で着地失敗するようになった。ルイは進化で尻尾が伸びてフサフサになったので、レトは最近、それを伝って慎重に下りている。

レトはてってけ走っていくと、砂利の間からなにかを拾ってがま口に入れた。

なんだろ?

インベントリを開いて確認すると、『魔真鍮のネジ』らしい。

あ、『マジックセンス』しとこ。レトが見つけたの、たぶん『魔力感知』だ。

エドさんもなにか拾い上げている。

「『魔真鍮のネジ』だったにゃん~」

「こっちは『魔真鍮の欠片』だな。『闇人形』は金属製なのかね?」

「魔金属ってやつだろうね~、鍛冶屋の領域かな? 連絡入れとくねえ」

フーテンさんがアライアンスチャットで呼び掛けると『鍛冶』持ちは大喜びで、すぐにこちらへ向かうそうだ。

今のところ魔金属は、魔鉄しかレシピが公開されてないらしい。アイテム自体はそこそこ出てるけど、「買って研究するにはクソ高い」のが魔金属界隈らしい。素材レシピって重要なんだねえ。

鍛冶師たちは合金ヤッホイ!とワクワクが止まらないっぽい。楽しそう。

「それからこっちは『魔陶片』だな」

「陶片?」

「『闇人形』はビスクドールにゃん?」

「あ~、そういう」

金属剥き出しの部分とビスクドールなとことあるんだろうか? それともだいぶ傷んでて下地から崩れてる?

「写真からするとドレスが金属っぽい感じだったねえ」

フーテンさんが『闇人形』オークションの画像を見せてくれる。商業ギルドで調べたときに保存しといたらしい。

「思ったより小さいにゃん」

「BOSSって聞いたら巨大なの想像するよね~」

全長は150cmくらいだろうか? 等身大っぽい。

上半身はかなり損傷が激しく、あちこちバラけており、下半身は鈍色の金属ドレス。ちなみに顔は同じような金属で、ペストマスクみたいな仮面がついている。元々こういう顔として作られてるのかな?

板金鎧(プレートメイル) ではなく、 薄片鎧(ラメラーアーマー) っぽい。フォールド(鎧の腰部分)がロングスカートのように長く、裾を伸ばしている。

連なる 小札(こざね) がダガーのような形状で、たぶんこれを針ネズミのように飛ばしてきたり、回転攻撃とかしてきたんじゃない?と想像できる。なかなか凶悪。

裾に隠されているので足がどうなってるかは不明。

「これを修理か…。どの程度直したんだろうな」

「修復出来る人がいないから売りに出すって話だったし、出来たとしてもどうにか繋げるだけって気もするねえ。この辺に散らばってるのを見るに、表面とかそのままっぽいし」

「動く人形はロストテクノロジーがド定番にゃんね~」

「それな」

駄弁ってるうちに鍛冶班が到着したので、ここはお任せして更に辿っていく。

なお『魔陶片』で陶芸の人は呼んでいない。だって…硝子連合なのにガラスないんだもん、ちょっと気の毒で…。

ガラス見つかるか、終わってから呼びます。『魔陶片』は全然数が少なかったから猫のポッケにイン。

金属片の落とし物はすぐになくなり、今度は小さい…なんだろ、これ? 豆粒のような何か。

しかし手に取ろうとするとクシャッと崩れ去ってしまうので、鑑定が出来ない。小石と同じに見えるし、肉眼では見落としそうなんだけど、マジックセンスではすごく光ってる。

「『パウダー』とか『ジュエル』みたいな、魔法で生成されたものに似てるにゃん?」

「あ~、ね」

とりあえず消えない内に追いかける方がよさそう、ということで、猫は『マジックセンス』し直して追いかける。エドさんとフーテンさんは自前の『魔力感知』だ。いいな!

「『パウダー』にしては粒がでかいし、いったいなんだろうな?」

手に取ると消えてしまうので目を細めて眺めつつ、エドさんが首を傾げる。

猫にも謎。パウダーは魔力拡大しても粒の大きさ変わらず、サラサラの粉だしね。

地面に落ちてる痕跡はBB弾サイズ。そしてころころと丸い。ダンゴムシか、糞とか、なんかの卵のようにも見える。うーん??

ちなみにエドさん、『パウダー』は教本習得したらしい。

生産スキル持ちだしMPもそれほど高くないので、召喚妖精を出しつつ生産してMP尽きたら本を読みつつちょいちょいクリーンやら拡大で放つ方式でちまちま教本を読み進めているそうだ。

アクアリウムがあるし、薬草も育ててるから、浄水はいくらあっても困らないって。

なおフーテンさんは普通に『水晶玉』利用で教本を覚えてるらしい。

「魔法師ギルドの、魔法をいくつ覚えるってあれが消化出来るから、すっかり止まってたランクアップも近々出来そうよ~」

「よかったにゃん~!」

「ありがとにゃん~!」

とはいえ、やはり『属性魔法』スキルを持たない魔法は威力が格段に落ちる、というのがフーテンさんの実感だそうだ。「インプットだったらがっかりレベル」らしいので、かなり落ちてるっぽい。

元々、教本売店は基本的に自分の持つ『属性魔法』スキルの魔法しか出ないから、ここまで違うとは思わなかったらしい。

「それでいくとどの属性持ちでも出てくる聖属性やら無属性、空間属性は『属性魔法』持ちじゃなくてもしっかりした効果が出るんだな~って感じよ~」

「『ピュリファイ』に『マジックセンス』、『テレポート』系列か。言われてみればそうだな」

「スキル持ってるともっとパワーアップするのかもしれないにゃんね~」

「ポユズとリーが『ピュリファイ』覚えてみたら、リーよりポユズのが浄水量が多かったって言ってたねえ」

「『神聖魔法』てやっぱり聖属性にゃん?」

「かもな…、と森へ入るか。どうする?」

あれこれ話しつつ光る痕跡を追いかけてきたが、ここからは昼でも薄暗い森の中へ続いている。