軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

89回目 ランクを上げる為の依頼

冒険者ギルドのランクがFランクに上がったので、ギルドのアルバイトからは解放された。今日からは依頼書の張られた掲示板から依頼を選ぶスタイルである。

フッ、冒険者らしくなってきたな。

「ガモン様、トルテくんが来ましたよ」

「あ、本当だ。おはようトルテ」

てっきりトルテは、兄であるザッパ達と一緒に来るかと思っていたが、一人だった。

「おはよう。ガモン、シエラ」

「はい。おはようございます」

「おう。トルテ、ザッパ達は一緒じゃなかったのか?」

「うん? ああ、兄ちゃん達なら仕事で共同墓地に行ってて、昨日は帰って来なかったんだ」

「共同墓地? 依頼でか?」

共同墓地はタミナルの街から北に少し行った所にある、タミナルに住む住人の亡くなった家族を埋葬している土地である。

タミナルの街に住む貴族用と住人用、それに冒険者用と身元不明者用まであるためかなり広く、街程ではないが壁に囲まれているらしい。俺はまだ見た事ないが。

「ああ、共同墓地ってだけあってスケルトンとかレイスとかがたまに出て来るんだよ。だからそれを定期的に倒しに行ってるんだ。兄ちゃん達は村にいた時も似たような事をやってたからな、得意なんだよ」

…………スケルトンにレイスかぁ。しかも共同墓地で出るたぁ本格的だな。でもそれって、元はこの街の住人じゃないのか?

なんでいう当然の疑問が頭に浮かんだのだが、シエラの解説によると実際に人がスケルトンやレイスになる事もあるがそれは極々稀な事で、大体の場合は魔素が骨に宿ってモンスター化したか、集まった魔素が人の残留思念の影響を受けてレイスと化したかであり、人の魂とは関係無い場合がほとんどだそうな。

よく解らないけど、シエラが言うならそれらのモンスターは幽霊とは関係ない純粋なモンスターなのだろう。…………ってか、そうじゃないと怖すぎるだろうが。なんだよスケルトンにレイスって。出て来んなよ反則だろうが。

「それで? もう受ける依頼は決まったのか、ガモン?」

「いやまだだ。だってあれ見ろよ、あそこに入れねぇだろ」

俺が指し示した掲示板には物凄い人だかりがある。もう押し合いへし合いだ。さすがにあそこには入っていけない。

「おいおい、いいのか? あそこに入ってかないと割りのいい依頼書は取れないだろ」

「それでいいんだってさ。そうだろ、シエラ」

「はい。あそこで取り合いがされているのは、EランクとDランクの依頼の中で、比較的楽で依頼料が高い物です。Eランクの依頼でも割りに合わないと思われる物は残ります。割りの良い依頼を受けるだけなら、あの取り合いに参戦するべきですが、ランクを上げたいのなら話は別ですわ」

この街の冒険者のほとんどはEランクとDランク。それもDランクの冒険者には、Cランクの依頼は手に余るのがほとんどだとシエラは言う。そしてそういう奴らは、面倒なEランク依頼にも手は出さない。

だから慌てなくても、面倒くさいEランクの依頼は残る。そしてそういう依頼をこなした方が冒険者ギルドへの貢献度は上がり、ランクアップには有利に働く訳だ。

現在Fランクの俺達はEランクの依頼まで受けられるので、俺達が狙うのはランクアップに繋がりそうなEランクの依頼である。

「なるほどなぁ。そういや兄ちゃん達もそんな事を言ってたな。兄ちゃん達もAランクの更に上を目指してるからな」

「まあ墓場の依頼なんて、ふつう受けないもんな」

ちなみに、Aランクの上はSランク…………って訳ではない。確かに歴代の勇者はそんなランク付けを自分達で言ってたらしいが、だからこそSランクは勇者のランクと言われている。

普通はAランクを越えたと言われるパーティーはAA(ダブルAランク)、その更に上はAAA(トリプルAランク)と言われ、基本的に個人には付かずにパーティー単位で付くランクだそうな。

トルテの兄ちゃん達が目指しているのはそれだろう。詳しい条件は知らないが、バルタですら個人でBランク、パーティーでAランクな訳だから、バルタを越える化物の集団にしか成れないランクなんだろうな。

…………『ガチャ・マイスター』がある俺なら目指せるか? いや、俺も一応は勇者の端くれ、目指すならSランク?

…………いやぁそれは恥ずかしいなぁーー。歴代の勇者達が自分で名乗ったSランクだろ? なんか他人の中二病設定に乗っかるみたいで恥ずかしい。

「ガモン様、そろそろ良さそうですよ?」

「お、そうだな。いくか」

と、そうこうしている内に掲示板の前から人が捌けてきた。これなら無理に取り合いしなくても依頼が見られそうだ。

そして、シエラとトルテの二人と相談して、俺達が受ける依頼が決まった。今まではほとんど冒険者ギルドのアルバイト状態だったから、初めての依頼と言っていいだろう。

俺達は掲示板から依頼書を剥がし、受付のミミナの所に持って行った。が、依頼書を受け取ったミミナは、依頼書と俺達の顔を見比べて少し眉を寄せた。

「…………これは、Eランクでも難しい部類の依頼で、おそらくこの依頼料では不満が出る内容だと思います。危険もありますし、正直なところ私としてはオススメできません。それでも受けますか?」

「はい。もちろんです。この依頼は、俺達が受けます」

「…………わかりました。では期限にはまだ余裕がありますが、早めに行って下さい。依頼が達成出来なかった場合、依頼失敗として違約金が発生し、それは今後の同じ依頼での報酬に加算されます。そして一度失敗した依頼を受けるには、他の依頼を三件こなすのが条件となります。何か質問はありますか?」

「いえ、特には」

「では『ヘテナ村:アカメアリの駆除、及び蟻塚の撤去』を受注した事を確認しました。お気をつけて」

俺達が最初に扱う依頼の相手は『アカメアリ』と言う蟻型モンスターの駆除に決まった。