軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

79回目 強くなりたい? なら本を読め!

『おや、いらっしゃい。ちゃんと顔を付き合わせるのは久し振りだね。気づかぬ内に何かしでかしてしまったかと、気を揉んでいたよ』

マイスター・バーに入り、久し振りにちゃんとマスターと対面すると、マスターは前と変わらずに、グラスを磨いていた。

…………うん、見た感じは普通だ。マスターの雰囲気が変わったあの時は、まるでこちらの心情すら見透かしているような嫌な気配があったが、今はソレが無い。

俺はその事に、心からホッして息を吐いた。

「いや、そういう訳では無かったんだけど。…………すいませんでした。情報を売って貰えますか?」

『もちろん。ここはそういう場所だからね。何を知りたいんだい?』

☆5の装備に関する話は金貨一枚を取られた。そして、その結果として手に入れた情報は、俺の想像を裏付ける物だった。

☆5装備は強力だが、強力であるが故に使い手を選ぶ。『七星の盾』の説明文で見たレーダーチャートはその目安であり、全ての能力があのレーダーチャートを上回らない限り装備が出来ないそうだ。

うあぁ…………。やっぱりかぁ…………。本当のチート装備が手に入ると思っていたのに、現実は厳しいなぁ。

「ステータスかぁ。あれってどうやったら上がるんだよ。普通に鍛えるだけで上がるとは思えねぇんだけど」

だってなぁ、俺のレーダーチャートは真ん中にキュッと寄ってるんだぞ? 平均的な二十代サラリーマンであれってどういう事だよ。

言っとくけど俺はそれなりに動けるぞ? 趣味でボルダリングだってやってるのに、そんなに弱い訳が無いのだ。…………ジムに通ってたら違ったのだろうか?

『ステータスの上げ方か。君の場合はこの世界の人間とは違うからね。だが、既に知っていても良さそうなものだが、気づいていないのかな?』

「…………なんか気になる事を二つ言ったな。この世界の人間と違う? それに、俺が何かに気づいていてもいい?」

『そうだね、じゃあ順番にいこうか。君とこの世界の人間との違いについては少し高いよ? 白金貨一枚だ』

「白金貨ぁ!? たっっか!! 白金貨って一千万だぞ!?」

『これは普通には知り得ない情報だからね。この世界で生きている内に、もしかしたらそうかも? って思うような話だ。この世界の住人にも、確信を持ってそうだ! と言える者はいない情報だ。だが、知っておけばきっと君の助けにはなる』

「……………………ちなみに、もう一つの方は幾らですか?」

『そっちは銅貨一枚でいい』

ぐうぅぅ…………。白金貨一枚かぁ…………。ガチャ百回分だぞ? …………取り敢えず、銅貨からいくか。

俺は銅貨を一枚スキルに放り込んで、安い方の情報を買い求めた。

『うん、まあこちらは簡単な話だね。君のステータスは既に少し上がっているよ。ほんの僅かだけどね、確かに上がっている』

「え? …………いや、そんな気は全くしないけど?」

『それはそうだろうね。数値にして1~2しか上がってないんだから。だけど、大切なのはどうやって上がったのか、だろ?』

まあ、確かにマスターの言う通りだ。しかし思い当たる節が無い。何だろう? モンスターを倒したから、が一番ありそうだけど、俺は初めてスライムを倒した時と、コボルトを倒した時にステータスを確認している。微動だにしていなかった。相変わらず真ん中にキュッと寄っていて、ガッカリしたのを覚えている。

じゃあオークを倒した時? 確かに確認はしていないが、強くなった気はしなかった。ほとんど作業だったし。

他にはなんだろう? ガチャ装備の熟練度か? 確か、ランニングシューズのスキルがそれだったな。熟練度20で体力値に+10。今は熟練度が60になって体力値に+12に変わっていた。…………でも、1~2しか上がって無いってマスターが言っていたから、違うか。

他の装備の熟練度MAXが原因なら、もっと上がっているだろうしこれも違う。ヤベェ、マジで解らない。

『解らないだろうね。でも本来なら解っていて良い筈なんだ。君は新しいアイテムがガチャから出ると説明文を読むが、それらに関しては読んでいないから、解らないんだよ』

「…………説明文を読んでいない?」

『そうだ。君にとっては馴染み深いものだったから、説明文を読むまでも無かったんだ。ティムにも内容についてネタバレに気をつけながらスラスラと説明していたよ』

…………俺に馴染み深い物で、ティムも知ってる? そんでネタバレに…………ああっ!?

『気付いた様だね?』

「漫画か!? 俺のステータスは漫画で上がったのか!?」

『正確にはガチャから出て来る書籍だね。☆3の書籍ひとつを完全に読破する毎に1、決められたステータスが上がる。一冊につき一度だけ。例えガチャから全く同じ本が出て、それを読んだとしても、一度は一度。再び上がる事は無い』

「…………盲点だった。確かに『書籍ガチャ』解放の条件がクエストに出ていた! 取り敢えず冒険者としてEランクに上がるのが先だと思って後回しにしていたクエストだ。『書籍を五冊読破する』それで貰える報酬が『書籍ガチャの解放』だった!!」

そうだ。食品ガチャの野菜ですら料理にする事でバフを付ける効果があったんだから、書籍ガチャがある以上、何かあるのは当然だった。

うあぁぁ…………! 何で気付かないかな! 俺!!