軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

576回目 ☆5『◇神聖樹『ジュダイン』の森』

「浮かべろーーーーっ!!」

「「うおおおおーーーーっ!!!!」」

屈強なドワーフ達の怒号が響く中で、戦艦級の飛空艇が空に浮かび上がった。それが上がった瞬間、その場は熱くて野太い歓声に包まれ、多くのドワーフが自らの誇りとする大鎚を高く突き上げた。

俺はティアナと二人で、巨大な飛空艇が浮かび上がるのを見ており、やがて歓声を上げるドワーフ達の中から、ドアルガンを見つけ出して声をかけた。

「とうとう完成したんだな。おめでとう、ドアルガン!」

「おめでとう! こんなに大きいのを☆5『飛空艇造船所』無しに造り上げるなんて、この目で見ても信じられない! 凄いのね! ドアルガン!」

「おおガモン!! それにティアナ嬢もありがとよ!! この通りよ!! ついにワシらの力だけで、このデカさの飛空艇を造り上げたぞ!! こいつは今日の酒はさぞかし美味かろうぜ!!」

ドアルガンが腕を上げてグッと力を込めると、ドアルガンの側近である老ドワーフ達も近づいて来た。

「これで飛空艇製造の技術はもう十分だな! もうワシらだけでも飛空艇を造れるぞ!」

「おう! 後は若ぇ者を鍛え上げるだけだ! ワシらだけじゃあ、すぐに寿命が来ちまうぜ!」

「違ぇねぇ!!」

「「「ガハハハハッ!!」」」

ここに居るのは、ドワーフの中でも各部族から集まったベテラン達だ。部族が違えばその隔たりも大きくなり、中々協力出来ないのが普通…………であるらしいが、この場にいる彼らは肩を叩き合って成功を喜んでいる。

ひと癖もふた癖もあるドワーフ達を纏め上げたのは、言うまでもなくドアルガンである。見た目では解らないが、ドワーフとしてはまだまだ若輩と言っていいドアルガンは、熟練の腕を持つドワーフ達をその腕ひとつでねじ伏せた。

熟練ドワーフ達と鍛冶勝負をし、その全てに勝って見せたのだ。これは瘴気によって滅びかけていた里を支え続けたドアルガンだからこそ出来た快挙である。

ドワーフ達には、出自年齢など関係なく『腕こそ全て』と言う考え方があるため、熟練の老ドワーフ達もドアルガンを認めて自分達を纏め上げるリーダーとして承認したのだ。

ドアルガンがドワーフを纏めてくれた意味はデカイ。それは、この目の前に浮かぶ☆5『飛空艇造船所』の機能を使わずに完成させた戦艦級の飛空艇を見れば明らかだろう。

この世界は、ガチャアイテムから得た技術を人の手で成し遂げたのだ。同じ事は☆5『技巧神の大工房』でアイテム制作を学んだエルフ達にも言える。彼らは彼らで、既に貴重な技術をモノにしているのだから。

ドワーフ達が歓声を上げるばかりか、ついに酒盛りまで始めたのを眺めながら、俺はティアナを連れて『レナスティア』の上を移動した。

石畳の上を、ティアナと二人でただ歩くのは、俺の中で覚悟を決める為だ。

迫る『方舟』との戦い。その為に創り変える世界。その為に必要だった技術は習得され、必要なアイテムも揃っている。

「準備は全て整った。後は俺が覚悟を決めて、最後の仕上げをするだけだ」

それが上手くいったなら、いよいよ世界を創り変える。そうなれば、俺はスキル『ガチャ・マイスター』の機能を、ほとんど失う事になるのだ。

まぁ今更それを悔やんだりはしないけどな。全てを失う訳でもないし。

「ティアナ、一緒に来てくれるか?」

「ええ。もちろん」

俺の問い掛けに当然だと微笑むティアナの手を取って、俺は飛空艇『アベルカイン』に乗り込んで、西の海の先にある大陸へと向かった。

あの『ヒトガミ』との戦いによって、大きく瘴気に汚染されてしまった西の大陸では、『方舟』の接近に伴って、瘴気が増大し、広がりを見せていた。

それはこの大陸の人々が、全て東の大陸や『レナスティア』に移り住んでから起きた変化だ。

濃密な瘴気によって発生したモンスターが引き起こしているのだと俺は思っていたが。

「この世界に暮らす人々が抱える『不安』や『恐怖』が、この地に集まっているかのようね」

と言うティアナの言葉を聞いて、そうかも知れないなと思った。今、この世界にいる人々は誰もが不安を抱えているだろう。

それは『方舟』の事もそうだが、『世界が変わる』事にも不安や恐怖を持っているはずだ。つまりそれは、俺のせいでもある。

「だから、これは俺が何とかしないとな」

そう口にしつつ、俺はスキル倉庫から苗木を取り出した。

☆5『◇神聖樹木『ジュダイン』の森』

・広野にて芽を出し、あらゆる苦難を経て成長した樹木はやがて精霊を宿した。そして、それでも続いた苦難の数々は樹木を傷つけ続けたが、樹木は神聖さを保ったまま更に成長を重ね、亜神とまで成った。

・神聖さを保ったまま、あらゆる邪気を退けて神に至るまで成長した樹木は、どの世界にでも根を張り、その眷族ですらも、邪気を払い清める力を持つ。

・神に頼りたければ祈るがいい。その祈りはきっと届くから。

・邪を払いたければ枝を拾うがいい。その枝はきっと邪を寄せ付けないだろうから。

・邪に飲まれた者を救いたければ葉を煎じて飲むといい。きっとその身を綺麗にしてくれるから。

「…………まさかクラッシュレアとは言え、『神』そのものが出て来るとはな」

俺の『ガチャ・マイスター』も、行くとこまで行った気がする。