軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

57回目 これから住む場所

五千回ものガチャを引きまくり多数のアイテムを手に入れた俺達は、いつの間にか夜になっていた事もあってタカーゲ商会のデパートの裏にある社員寮へと移動していた。

社員寮とは言っても見た感じは豪邸である。昔この街で顔役だった貴族の屋敷を改造したものらしく、タカーゲ商会で働く者達は、ほぼ全員がここで暮らしているらしい。要はメッチャでかいシェアハウスだ。

この屋敷は真ん中の建屋を共有スペースにして、向かって右側を男性寮、左側を女性寮としているらしく、俺とシエラも取り敢えずはここに住まわせて貰う。

家賃は朝食付きで月あたり銀貨一枚(一万円)と格安。お昼に弁当が欲しい人は当日の朝までに申告をし、夕食は各自で用意する。当然、自炊ができる環境は整っており、共有スペースに何人か集まってワイワイと料理する事も自室で軽い料理を作って食べる事も可能である。

…………こんなに環境がいいと、ずっとここに住みたくなってしまいそうだが、商会としては社員に辞められないように福利厚生に努めているのだろうから当然と言えば当然の環境なのかも知れない。…………日本のブラック企業にも見習ってほしい所である。

「と言う訳で、しばらくはゲンゴウ殿の所に厄介になります。当然、俺とシエラの分の家賃は払いますので、よろしくお願いします」

「よ、よろしくお願いします。ゲンゴウ様」

「ホッホッホッ。固いですな。この寮に住む者は家族と同然とワシは考えております。ガモン殿もシエラ殿も、自分の家だと思ってくれてよいですぞ」

ちなみにゲンゴウとその家族は、社員寮とは壁を挟んで隣にある屋敷に住んでいるようだ。ゲンゴウとしてはこの社員寮で社員達と住んでも構わないのだが、四六時中も雇用主と顔を合わせていては社員の気が休まらないだろうと、隣に家を建てたと言っていた。

「さて、じゃあガモンとゲンゴウ殿の顔合わせも終わったし、僕達はお暇しようか、バルタ」

「そうでやすね。あんまり遅くなるとメラルダ女史に文句を言われてしまいまさぁ」

「え?」

急にティムとバルタが立ち上がったかと思えばそんな事を言ったので、俺は思わず二人を見てしまった。あれ? 二人もここに泊まってくんじゃないの?

「何を変な顔してるのさガモン。僕はこれでも侯爵家の人間だよ。よく足を運ぶ場所には屋敷くらいあるさ」

「まぁ、あっしらも旦那と一緒に居たいのはやまやまなんですがね。この街で屋敷を管理しているメラルダ女史って使用人頭が厳しい人なんすよ。あまり到着が遅くなると、ドデケェ雷が落ちるもんでね。…………いや、比喩じゃなくて本当に落ちるんでやすよ、あのババァ雷魔法専門の魔導師でやすからね。おっかねぇんですよ」

「私も事情は承知しておりますので、貴方が余計な事を口走らなければ、雷など落としませんよ?」

「…………ヒィッ!?」

唐突に、本当に唐突に現れたその老婆は、いとも容易くバルタの背後をとって微笑んでいた。…………ただし、その身体にはパリパリと薄い雷を纏っていたが。

「メ、メラルダ女史!? な、なんでここに!?」

「なんでも何も、迎えに来たのですよ。貴方が屋敷に馬車を置いてゲンゴウ殿の所に行くと予定を伝えていったのでしょう? …………それよりも。カラーズカ侯爵家に仕える者として言葉使いと言葉選びには気をつけるようにと、あれ程言っておいたと言うのに。これは再教育が必要ですね」

「い、いやいやいや! あ、あっしも気をつけているんですぜ!? た、たまーにポロッと出ちまうだけで!」

「ええ、ですからそれを教育し直すというお話ですよ」

「うえぇぇ…………」

…………あのバルタがタジタジになってる。あの婆さんは一体何者なのだろうか、機会があったらティムに聞いてみようかな。…………なんか聞くのも怖い気はするけども。

まあとにかく、迎えが来た事もあってティムとバルタはカラーズカ侯爵家の屋敷へと帰っていった。いや、バルタに関しては『連行された』の方が正しいかも知れないけどな。

ああ、ちなみにティム達には明日また会える。カラーズカ侯爵家の屋敷を訪ねるように言われたからな。迎えも寄越してくれるそうだ。

「ではティム様方も帰られましたし、そろそろ始めましょうか」

「おう。出てきた物の検証だな。任せてくれ」

ティム達を見送ったゲンゴウが手を叩き、空気を変えた。まあ検証とは言っても難しくはない。要は自分達で使ってみようってだけだからな。

ゲンゴウはまず部下達を数名ずつのグループに分けて、俺と相談の上でアイテムを振り分けていく。

例えば石鹸やシャンプー、リンスにトリートメントに入浴剤を持った風呂チームや、芳香剤やトイレットペーパー、清掃用具を手にしたトイレチーム。包丁やまな板にフライパン、鍋やお玉にピーラー等を持った台所チーム。鉄アレイにベンチプレス、ランニングマシーンなどの鍛練チームなどだ。

何せ五千回もガチャを回したからな。出て来た物はまさに千差万別。その量も半端ないのだ。

「ふおぉぉぉっ…………! これはこれは…………! むおぉぉぉ…………!」

そして各チームに指示を出したゲンゴウは、俺達の横でリクライニングも出来る『マッサージチェア』の上に横になり、全身マッサージを受けていた。

「あぁぁ…………! これは良いですな…………! こ、これだけで…………! 白金板二枚は回収できそうですぞ…………!」

「…………気に入って貰えて良かったよ」

ちなみに俺とシエラは、ガチャから出てきた二人用のボードゲームを遊んでいる所です。そこで解ったのは、シエラは俺より遥かに地頭が良くて、ルールを覚えたばかりなのにボードゲームがメッチャ強いって事でした。…………理解力の高い人って、羨ましいよね。