軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

557回目 神々への招待状

『辛そうだな我が友よ。我は構わんから、もう数日ゆっくりしたらどうだ?』

「…………そんな事したら…………毎日飲んじゃうだろ。それに…………皆も待ってる…………だろうからな、…………帰る」

って言うか、あんまり遅くなると宴会とこの二日酔いがバレる。いやアルタティッカと親睦を深めた結果だから、別にバレても良いんだけどな。ちょっと俺が情けないだけだし。

しかし、まさかアルタティッカの生み出す酒が、龍を酔わせる為の特別な物だったとは。

俺の装備アイテムの二日酔いを防げる効果を悉く突破するとか、もはや毒か呪いだろコレ。

「あーー…………頭痛ぇ」

『まぁ、楽しかったのだから、小さい事は良いではないか。酒での失敗など、引きずる物でもあるまい』

「……………………お前、寝ゲロしてたな。極龍なのに…………」

『……………………ディルアークのヤツには黙っておいてくれ。アヤツは我の酒好きを、よく思ってはおらんからな。念話で説教されるのは結構辛いのでな』

ともかく、南の極龍『アルタティッカ』とは、必要以上に仲良くなれた。

お互い飲み過ぎて醜態も晒した訳だが、…………うん、まぁそれは忘れるとして。

アルタティッカは、俺達に全面的な協力を約束してくれたのだ。これで、『双極龍』の力を借りられる事になり、『方舟』との戦いもやり易くなる。

具体的に言うなら、陸地を全て空に上げた後に、海全体を結界で覆ってもらい、足場にする事が出来るのだ。海だけとなった星の表面を全て結界で覆い、さらに『方舟』から溢れる瘴気を海に閉じ込め続ける。これによって、俺達は『方舟』が常に放っている瘴気を気にせず、広い足場でもって戦える訳だ。

「じゃあまたな。今度来る時は、酒とつまみを大量に用意してから来るよ」

『フッ、お主が様々な酒や食い物を次々に出していく光景も面白かったのだがな。また会える時を楽しみにしておくとしよう』

俺はアルタティッカに再会を約束し、俺とアルタティッカの醜態を見たせいで終始呆れた眼を向けてくるアラムを連れて、南極を後にしたのだった。

我聞たちがいる世界とは次元すら違う場所。その中心部には、人が決して足を踏み入れる事の出来ない神々の住む世界『神界』がある。

その中において、季節も時代も関係なく、植物が生い茂る森がある。大きなシダ植物やマングローブの群生、花が咲き誇る桜の木に満開のヒマワリ、その隣には藤の花。

ここにある植物は、すべてここを創り出した『神』が好き勝手に生み出した神の植物である。

『…………こんなもんかな』

そんな植物に囲まれた世界の丘の上にある神殿。

柔らかい風が吹き抜ける、柱と屋根しかない神殿の中央で、赤や青や緑の色違いの房を集めた多色の髪を持つ青年が、指の数倍は長い爪を器用に使って、小さなフィギュアを作っていた。

それは神々の姿を、人間らしく加工して小さくした様なフィギュアで、いま彼が手掛けているのは真っ黒で鬣のような髪をなびかせる偉丈夫のフィギュアだった。

『むぅ? その気配、お主『メルツリンガー』よな? ここはアヤツの神殿であるし、そうであろう?』

『やあ『クロブファイト』。いま丁度、君の体が完成した所だよ』

世界を創り管理する神々において、その姿とは無形である。決まった姿などはなく、各々が自らの望む通りに姿を変えるだ。

いまこの場を訪ねて来た猛獣神『クロブファイト』は漆黒に金の眼を持つライオンの姿をとっているし、フィギュアを作っていた鳥獣神『メルツリンガー』も、理由あって今は人の姿をとっているが、普段は美しい鳥の姿をしているのだ。

そして『メルツリンガー』が人の姿をとっている理由は、広いテーブルの上に並べられた、いくつものフィギュア達だ。

それらは神々の体だ。正確には、神々が下の次元に降りる為に使う体である。メルツリンガーは、それらの体を作る為に、人の姿をとっていた。

我聞の依頼を受け、我聞達のいる世界に関わる神々に届けられた『招待状』。その招きに応じる事にした神が、あの世界に住む人々を神の力で壊してしまわないように作られた体である。

その為、漆黒のライオンを自らの体としている為、人型の体など持ち合わせておらず、かといって我聞達の世界には大いに興味のある『クロブファイト』等の為に、獣神の中では特に器用なメルツリンガーが工作に励んで作り上げたのだ。

『ウム! 良い感じだな、中々に強そうに見えるな! 気に入ったぞ! メルツリンガー!!』

『そうか。気に入って貰えたなら良かったよ。他の神も気に入ってくれると良いんだけどね。…………とにかく、僕は一仕事を終えたから休ませて貰うよ。自分の体だけ持って帰りなよ、クロブファイト』

『おう、解った。礼を言うぞ、メルツリンガー!』

クロブファイトに背を向けて立ち去るメルツリンガーは、ヒラヒラと手を振ったまま、振り返る事は無かった。

そしてクロブファイトもまた、自分の体となるフィギュアを口に加えて、その場を去っていった。後に残されたのは、神の体となる、十数体のフィギュアだけである。