軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

550回目 アイドル軍団

ケイリオンに次に案内されたコンサート会場は、「え? コンサート会場?」と首を傾げたくなる様な場所だった。

そこは確かに広く造られた建物であり、グルリと一周する壁の内側には階段状に観客席もあった。その観客席は、すでに客でいっぱいだ。

この建物の形としては楕円形で、地上部分に観客席は無く芝生に囲まれた広い舞台がある。

楕円の両先端部には半月形の三段に分かれた舞台があり、円形の舞台を一段下がって半円の舞台が囲み、さらにその外側にはもう一段半円の舞台が広がっていた。膨らみを内側に向けた半円形の舞台の中で、一番広く造られているのが、この外側の舞台だ。

ちなみに天井には屋根は無く、今は青空が広がっている。屋外コンサート会場ってのもあるのは知ってるが、こういうのでは無いよな?

…………うん、やっぱりおかしい。こんなのコンサート会場じゃないよ。どちらかと言えばこれはコロシアムの会場だろう。

そんな感想を抱きながら、俺達はケイリオンの先導でVIP席へと案内された。流石は第三王子だ。先程のコンサート会場は裏側だったが、こうして真っ正面からも自由に行ける訳だ。

「さて、ではVIP席に到着した事ですし、ここで行われるコンサートについて説明をしましょう」

「「お願いします」」

「はい。まずここで行われるのは普通のコンサートではありません。ここで行われるのは『バトルコンサート』です」

いきなり出て来た不穏な言葉に、俺達はつい地上にある舞台に目を向けた。

え? バトルって事は戦うのか? 誰が? まさかアイドルでは無いだろうし…………。

「ああ、『バトル』とは言いましたが、それはあくまでも『対戦』と言う意味でして、アイドルが戦う訳では無いですよ?」

「あ、違うんだ…………」

「我が国でアイドルとは宝ですからね。大事にしていますよ。まぁ、荒事が無いとは言いませんが。おっと、始まりますよ」

そのケイリオンの言葉に前後して、観客席から歓声が沸き上がり、会場に設置されたスピーカーからは実況の声が響き渡った。

『レディーース! アーンド! ジェントルマーーン!! この度も『バトルコンサート』の熱い舞台にようこそおいで下さいました!! 今日! 熱い戦いを繰り広げる二組のアイドル軍団ーーっ!! まずは西のアイドル軍団の入場だーーっ!!』

実況の声が切れると同時に、片側の舞台の周囲から爆発音と共にキラキラと光を反射する紙吹雪が舞い上がった! そしてその紙吹雪が収まると、舞台の上には何人もの人が、段を分けて立っていた。

一番上の丸いステージには、青に白のフリルが大量に付いて、さらにスパンコールがキラキラと輝くフリフリのドレスを着た、ポニーテールに何らかの動物の耳…………いや、触覚? を付けたアイドルが笑顔で手を振っている。

二段目の半円形の舞台は、アイドルの為に曲を奏でる奏者の為のステージだったらしく、様々な楽器を手にした男女が、自分の楽器を前にして観客に手を振っていた。

そして、そこからかなり下に下がっての三段目の舞台はと言うと、ここにはやたらと濃い感じの男達が揃いの服、背中に大きくハートと『リリたんLOVE』と描かれた青地に白のハッピを着て、手には団扇や長タオルを持って立っていた。ここが一番大勢で、威圧感が高い。全体的にガリガリな男が多いのに、眼だけはギラギラしているのが…………。理解はできないが、何かスゴい。

その様子は、その後に現れた東側のアイドル軍団もほぼ同じであった。

一段目にはピンクに白のフリフリドレスを着た、ゆるふわ系のアイドルが可愛くポーズを決めており、二段目にはピンクを主体としてデコられた楽器を前にした演奏者達がいる。

そして三段目にはやけにこう、濃いのは西と一緒なのだが、ガリガリな西に対して東の男達はデップリとしている。気合いがメッチャ入っているのは変わらないが、こちらは圧が凄いし何だか湯気まで出ている。着ている『ユミリンFOREVER』とハートと共に描かれたピンク色のハッピも、今にもはち切れそうだ。

西はクール系アイドルで、東がゆるふわ系アイドルか。そして演奏者はともかくとして、三段目はファンクラブなのだろう。

ちなみに実況によると、あの三段目は西が『リリたん親衛隊』で、東が『ユミリンカワユス隊』と言うらしい。

「バトルコンサートって言ってたよなコレ。ひょっとして、あのファンクラブを戦わせるのか? だとしたら東の圧勝だと思うんだけど」

「まぁ、普通に殴り合ったらそうかも知れませんけどね、違いますよ。勝負の方法は幾つかありますが、血が出たりはしない方法ですからね」

まだ良く解らないが、これから始まる事を見ていれば解るのだろう。既に対戦するアイドル軍団も出揃った訳だしな。

『さぁ両者出揃いました! バトルコンサート!! 本日の種目はーー! これだぁーーっ!!』