軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

55回目 さっそく商談

「そう、実物があれば再現は可能かも知れない。それが僕らがゲンゴウ殿に持ってきた『儲け話』だよ!」

「…………? それはいったい、どういう意味ですかな? ティム様」

「フフッ、こういう事だよ」

そう言ってティムはマジックバッグを取り出して、テーブルの上に様々な物品を乗せていった。

それは、ボックスティッシュにトイレットペーパー、ボールペンのセットにコピー用紙の束。石鹸にシャンプーとリンス、洗濯用洗剤に洗濯バサミのセット。包丁セットに鍋のセット、電気シェーバーにドライヤー、テント一式に寝袋、果てはマッサージチェアにマウンテンバイクまで。

それらは全て俺のスキル『ガチャ・マイスター』から出て来た品々だった。

「こ、こここっ、これはっ!?」

「ガモンの世界、『ニホン』で作られて使われている製品だよ。ガモンのスキルは、これらの品物を出す事が出来るスキルなんだ。…………対価には結構なお金が掛かるけどね」

「な、なんと!? 金だけでこれが手に入るのですか!?」

おっとスゲェ。 金(・) だ(・) け(・) で(・) ときたぞ。ゲンゴウにとっては、金が大量に掛かる事は大した問題ではないらしい。

「僕のオススメもいっぱいあるけどね! この中なら、このシャンプーとかトリートメントとか、化粧水とかハンドクリームとか化粧品とかが凄くいいよ! これらはぜひ再現できるようになって欲しい!」

「おおっ! これが祖先が求めてやまなかったシャンプーにトリートメントですか! むっ! こっちはもしやトイレットペーパーというやつでは! これらの再現には特に力を入れていたと記録にありましたぞ! ただ、どうしても納得いく物は作れなかったようですが」

ああそうか、ゲンさんも作ろうとはしたんだな。でもまぁ無理だよね。石鹸の作り方や紙の作り方くらいなら俺もなんとなく知ってるけど、シャンプーやトイレットペーパーは無理だ。似て非なる物だもの。

「むぅ!? こ、これは…………!!」

その時、ゲンゴウが声を上げて立ち上がった。

その手にある物はシャンプーが入った容器。そしてゲンゴウが見ている物は、シャンプーの成分表である。

「わ、解る!! この言語は読めなくとも、何故か書かれている意味だけは解る!! こ、これは成分表ではないか!?」

「えっ!? 成分表!? じ、じゃあもしかして、同じ物を再現できるのか!?」

ああ、成分表か。確かに成分表は付いている。日本の製品ならばほぼ確実に付いている。そしてゲンゴウが日本語で書かれたそれを読めるのにも不思議はない。何せ、ガチャから出て来た漫画を、ティムもバルタも読んでいるからな。ガチャから出て来た物は、何故か読めるのだ。

…………だが、読めるだけだ。書いてある事は理解出来ても、その意味まで理解出来るかは、個人の力に掛かっている。

「…………ラウ、ラウリ……ル? ココイル……アラニン…………? ココイル……メチル…………。だ、ダメですな。ワシには何が書いてあるのかサッパリです」

シャンプーの成分表を読んでいたゲンゴウがお手上げとばかりに首を振り、その後この場にいる全員の眼が俺に向けられた。

「いや、期待されてるのは解るけど無理だぞ? そんなの作ってる人か研究者でもないと解んないって」

「…………ふぅ、しかしそうですな。研究者ならばあるいは。祖先は納得していなかったようですが、ウチで扱っている石鹸などもそれなりだと自負しております。その石鹸などを開発している者達ならば、この実物から何らかの成果を導き出してくれるやも知れませぬな」

「ああ確かにそうですね。専門家がいるなら任せた方がいいですよ。俺も大して役には立たないと思いますけど、協力はしますから」

「おおっガモン殿! その時はよろしくお願い致します。…………それでティム様。こちらの品々は売っていただけると言う事で、よろしいのですかな?」

「え? ダメだよ。これは僕が使うんだから。あとは僕の婚約者へのお土産にもするし、売れる分は無いよ」

「…………え?」

ティムの言葉を聞いて、ゲンゴウの笑顔がピシリと固まった。えーー? ティムは化粧品の類いや、シャンプーとか石鹸とかトイレットペーパーとか、かなりの量を持ってる筈なのに分けてあげないのかよ。

「これらの品々なら、ガモンのスキルからいっぱい出て来るからガモンから買うといいよ。対価を払えば、沢山手に入るから」

「本当ですか! ガモン殿!!」

「あ、はい。…………まあ、結構な大金が掛かりますけどね」

「金など幾らでも!!」

この日、俺は豪商の凄さを思い知った。何せ、俺が自分のスキル『ガチャ・マイスター』の能力と、いま引けるガチャの話をした直後には、俺の前に『白金板』が五枚並んだからだ。

…………白金板って、一枚の価値が日本円にして一億ですよ? それが五枚だ。しめて五億円。一回十万のガチャ五千回分をポンッと出して来やがった。これには横で見ていたティムやバルタも引いていた。シエラは場の流れについて行けずに、ただ驚いてた。

そして、俺がこの金でガチャを引く条件は。

・出て来た物の内、レアリティの低い物の七割は無条件でゲンゴウに引き渡す事。

・残りの分から、俺が売っても良いと判断した物はゲンゴウに売り渡す事。

・☆4は要相談。☆5は引き渡し不可。

という、俺的にも損の無い内容だった。って言うか、この条件だと俺には得しか無いよな。☆4と☆5が手に入るチャンスだし。

「…………本当にこの条件でいいんですか?」

「ええ、もちろんです。ガモン殿とはこれからも末永く深い付き合いをして行きたいですからな。商談の大前提は互いに信頼できる事です。自分だけが儲けようとしては、不信感しか持たれませんからな」

と言う訳で、史上最大のガチャ祭りが開催される運びとなりました。