軽量なろうリーダー

作品タイトル不明

500回目 纏まる世界の裏側は

「『方舟』! 『世界の滅び』! 「世界の改変」! 『神との会談』! どれ一つ取っても頭のおかしい者の妄言としか思えないものではないか! そんな妄言を吐く者に何故全面協力などせねばならないのか!! 王よ! 考え直して貰いたい!!」

「……………………無理だな」

「そんな!?」

我聞から、と言うより『レティア』から様々な情報と、テレビと言うこの世界には存在しない物から流れる映像を見せられて、各国では集められるだけの重鎮を集めた会議が開かれた。

先の台詞は、その際にある程度の力を持ち、かつ更なる権力を虎視眈々と狙っている貴族から出てきた言葉である。

どの国でも現れたこういった者達の頭にあるのは自分の利益だけであり、『レティア』という常識を越えた存在と、天空の城や数々の飛空艇を所有する者達となど敵対するのはバカしかいないと言う事実に気づきもしない。

常識的に物を考える貴族達からすれば、ため息しか出ない手合いだった。

まぁ彼らは、こういった馬鹿げた反論をさせる為にわざと呼ばれた者達なのだが。

何せこの場には、常軌を逸した存在である『レティア』のキューブが浮いている。様々な証拠を映像で出せる超高性能AIに、人間が口で勝てるだろうか? その答えは『無謀』の一言である。

結局どの国においても、このような反論は即座につぶされ、王はバカな貴族を左遷する事を決めて、幾つかの条件を提示すると共に我聞への協力を約束した。

その条件とは、まず一つ目が情報の共有。二つ目に我聞とのフレンド登録。三つ目が神々との会食への参加だ。

当然と言えば当然の条件だ。いや、これ以外にも色々と出た事は出たのだが、全て却下されている。フレンド登録も一つの国で三名までと絞られた。戦力として『方舟』と戦う者はこの限りでは無いが、重鎮として国を代表するのは三名が上限である。

協力体制を取るとは言っても、事実として我聞側の力が大き過ぎる。決して対等には成り得ない協力体制なのだが、各国としては我聞に協力をする以外の選択肢が無いのも事実なのだ。

救いがあるとすれば、対等の関係であると言う体を我聞側が保とうとしている事だろうか。力関係で見れば見せかけではあるのだが、これは向こうが折れてくれている形だ。しかし、調子に乗ってそれを利用しようとすれば、有無を言わさずに関係を切られるのも解りきっているので、各国は我聞とのフレンド登録をする人選にも頭を悩ませていた。

「…………よいか、向こうはこの世界の在り方を『神々と協議』をすると言っている。これがまかり通ると言う事は、世界の滅びは現実的にあると神々が認めたと言う事でもある。そしてもし、神々との話し合いで世界の在り方を変えるとなったならば、この世界の陸地を全て空に浮かべると言う、あの奇想天外が実現するとなったならば、我々はそれを受け入れる他にない」

「反対すれば良いではないですか!! 陸地を空に浮かべるなど! そんな話は聞いた事もない!! その行き着く先こそ『滅び』に違いありませんぞ!!」

反論する貴族の気持ちは、王や宰相にだって良く解る。陸地が空に浮かび、魚が空を泳ぐ世界など想像もできない。

まさに荒唐無稽、驚天動地。あのような奇想天外な案を出したばかりか、それを現実にしようと言う『勇者ガモン』とはどういう者なのか。どれほどの途轍もない力を持っているのか計り知れない。

だが、あのレティアと言うキューブの説明を聞くに、『方舟』と戦う為には海を犠牲にするか、この東の大陸を犠牲にするかと言う選択になる。しかし、たとえこの東の大陸を戦場にしたとしても。海が汚染される危険はあるのだ。

そう考えるのであれば、陸地を空に上げて世界の在り方を変え、その生物すらも空に逃がした広大な『海』を戦場にする案は、確かに有効な手段ではある。…………奇想天外に過ぎるが。

「…………いずれにしろ、神々をも関わる事に反対はできぬ。いや、例え反対をした所で変わらぬだろう」

世界の滅びを回避する方法は限られている。その中で我聞の案を否定するのならば、別のもっと良い案を出さなければならない。でなければ、世界が滅ぶのだから。

…………こうして、世界にある国々の者達は我聞達に対する協力を決めた。反対意見も多いが、ならば世界が滅びないように別の案を出せ、と言われると黙ってしまう。

それは、ほとんど強制のようなものではあったが、『世界の滅亡』などと言う物を現実に突き付けられた国々は、協力するしか道はないのだ。

だが、形はどうあれ世界は纏まりを見せた。そして地上にある『郷愁の禍津像』もまた、その全てが見つかり、破壊された事で世界から『魔王』も姿を消した。

滅亡に瀕している世界は、今この瞬間が一番平和だった。