作品タイトル不明
455回目 なんか、多くね?
世界樹のダンジョンを、素材を集め、モンスターを倒しながら先へと進む。
この世界樹はダンジョン化しているだけあって、『世界樹の花弁』と『世界樹の果実』はモンスターを倒さなくては手に入らないものだったが、本来ならばこのダンジョンにおいては制限的される部分が制限されてない俺達の敵ではない。
何せ、このダンジョンで現れる樹木系モンスターや虫系モンスターが苦手とする金属類の装備や魔法が制限なく普通に使えるからな。
ただなぁ…………。ここはダンジョンである筈なのに、階層が変わらないのが難点だ。ダンジョンの全てが世界樹の表面のみであるらしいからな。階層が変わらないと風景も変わらないから変化に乏しい。
「…………で、ここが最深部か? まだ世界樹の天辺も見えていないのに、こんなうろ穴が?」
最後の素材を求めて進んでいた俺達は、世界樹の幹にぽっかりと空いたうろ穴に降りていた。
メチャクチャ巨大な世界樹からすれば、こんなうろ穴は大した物ではない。全体から見れば、ここは表面を少しへこませた程度のうろ穴だ。
だが俺達から見れば、それは巨大なクレーターの様な穴である。
中に降り立てば、四方を壁に囲まれたようなその場所は、一つの街がそのままスッポリと入ってしまいそうな程に広いのだ。
そしてここに俺達を案内したイマメルバーンは、この場所をダンジョンの『最深部』だと言ったのだ。
まぁ絶対嘘だよね。ダンジョンのクセに最深部にボスモンスターが居ないなんて普通にあり得ないだろ。
「いや、正確に言うならばここまでしか立ち入りを許していないのだ。しかし、『世界樹の樹液』はこの場所で手に入るから十分だろう?」
「…………ええ。まぁ樹液が手に入るのなら無理に奥には行きませんよ。目的は素材ですからね」
最後の素材である『世界樹の樹液』は、ウロの奥の方にあった。
粘り気のある赤茶色の泉であり、その周囲には樹液を飲みに来た虫系モンスターが集まっていた。
「樹液を飲むモンスターには触れないようにな。食事の邪魔さえしなければ襲って来ない」
「了解」
樹液の泉に近づき、その樹液を見てみるが、なんと言うか、粘度の高い水飴のようだった。スプーンで掬うのにも、少し力がいるくらいだ。
俺はそれをグリグリとこねくり回して掬い、採取していく。そして十分な量が確保でき、さぁ帰ろうと言う所で、それらは現れた。
『貴方がガモンかしら?』
『良かった居たわね』
『ここに居るなんて都合が良かった』
『もう帰る所だったのかしら?』
『なら間に合って良かったわ』
『あら、お仲間にエルフがいるのね』
『と言うかガモンだけじゃなかったのね』
『人族は基本的に群れているわよ?』
『用があるのはガモンだけだし、放っておきましょ?』
ちょっ!? 多いって!? ナニコレ!?
突如、世界樹のウロの中に半透明な女性達が現れた。しかも全員が、世界樹から抜け出てくる様に、スゥーッと現れたのだ。
その全員が、服装こそバラバラだが見た目はエルフだった。半透明に透けているけど!
そこで同じエルフであり、この世界樹にも詳しいイマメルバーンに視線を送ったのだが、どうもイマメルバーンにも心当たりが無いらしく、俺と目が合ったイマメルバーンは首を横に振っていた。
いや、って言うか、何でこの薄い人達は俺の名前を知ってるの!? それに、着ている服がどう見ても日本産なのは本当にどういう事なのか。だってアニメキャラの絵が入ったトレーナー着てる奴までいるんだぞ? 日本産でなくて何なんだ。
『ねぇ、貴方がガモンなのでしょう?』
『こういう服とかを作ったのもガモンなのよね?』
『アクセサリーとかもいっぱいあるんでしょ?』
「いや、ちょっ! ちょっと待って下さい! 確かに俺はガモンですが!? 貴女方は何なんですか!!」
『え? 私達は見ての通り『世界樹』だけど』
「ぜんぜん見ての通りじゃ無いですが!!??」
え? 世界樹!? いや人じゃん! って言うかエルフじゃん! ちょっと透けてはいるけど、世界樹っぽさが全然無いんだけど!?
いやそれもだけど、私達って全員が世界樹なの!? 何で複数で出て来たんだよ、一人で良いじゃん!!
「ち、ちょっと待てガモンよ! こ、この気配にこの魔力! そこにいる方々は、間違いなく『世界樹の精』だ!!」
俺の肩を掴んだイマメルバーンが、動揺を隠せない状態でそんな事を言って来た。え? 本当に『世界樹』なの?
『そこのエルフ族。間違わないでくれる?』
『私達は『世界樹の精』じゃなくて『世界樹』だよ』
『本人を眷族扱いは流石に酷い』
「こ、これは申し訳ございません! 『世界樹』様!!」
世界樹を名乗る女性達に平謝りのイマメルバーン。
え、本当に本物なの? 世界樹のダンジョンで、世界樹そのものが出て来たの? いや本当に何この状況、俺にどうしろって言うんだ。
『さぁそこのガモンと言う名の人族! 私達が貴方の手伝いをしてあげるわ!』
『頼りたい事があったら、取り敢えず言ってみなさい!』
『『運命神』様からの言いつけだものね!』
「『運命神』…………?」
あの、取り敢えずこれ以上は情報を増やさないでもらえますかね、パンクしちゃうから。